ペットを巡る問題で、二つの管理組合より相談を受けた。
Aマンションは、管理組合内で議論を重ねて、
「ペットの飼育禁止。ただし、現在存命中のペットに限り存命期間中の飼育を認める」
との確認を総会で行い、その手続を定めて飼育中のペットの写真を掲示していた。
しかし、数年を経過した現在、「一代限り」のはずが、新たなペットが飼育されていたり、新たに飼育を始めている方もいることが判明した。
決議は事実上、形骸化してしまっていた。
理事会は、再度届出を出してもらう等、決議を徹底しようとしている。
Bマンションでは、エレベーターの中で犬がオシッコをし、さらに他の犬がマーキングするという悪循環が続いた結果、エレベーターのマットはもちろんのこと、カゴの中から悪臭が漂うと状態になってしまった。
このマンションには、ペット飼育細則があり、これを遵守していれば「放尿事件」は起きるはずはないのだが・・・・。
理事会は、「当分の間、ペットと同伴のエレベーターに乗り込むのは禁止の措置」をとろうとしているが、ペット飼育者からクレームも寄せられるだろう。
理事長は、「まず、ペットを飼っている方が共同生活に迷惑・被害を与えている実態を理解し、話し合って、ルール厳守を再徹底してもらいたい。」と考えているようだ。
このように、「ペットをめぐるトラブル」は、理事会、相談を受けるマンション管理士、管理会社泣かせの問題である。
マンションの共同生活は、まずは相隣関係で成り立っている。
「ペットは家族同然」との主張は、犬猫が苦手な方にとっては「何言っているの」ということになる。
マンションという共同生活の中で、お互いを慮る(「ペットと一緒にエレベーターに乗ることを拒否される方もおられるので、相乗りのときは承諾を受ける」とか)ことが忘れられると、このようなトラブルが発生するのでは。
ペットの訓練と同様、あるいはそれ以上に「飼主の社会常識訓練」が必要であろう。
なお、ペット飼育が許されていたマンションで、飼育ルールが守られないために、禁止する規約に改定しようとするときは、「現にペットを買っている方々の同意を得る必要はない」つまり、「ペットが飼えなくなる事は区分所有者の権利に特別な影響を与えるものではない」(ただし、介護犬等の場合は除く)との判例が東京高裁で出されている。(平成6・8・4)
このような事態に至るまでに、解決したいものである。
芝