Turbo HamlogのQSLカード印刷、Digital Sound CWの自動送信、MMTTYの送信などで「マクロ」を使うと、一味違うオリジナリティが発揮されることもある。
アマチュア無線のソフトウェアで、「マクロ」は忙しいQSO中に使われる場合がある。キーボードの習慣に慣れていない日本人にとって、RTTYのQSOで誠に有効と云えそうだ。
MMTTYのマクロは操作方法によって、三種類に大別される。マクロ・グループの呼称は、当局が印象で勝手に付けたので、決して一般的とは言い難いかも知れない。
MMTTY画面の上段に16個のボタンがあるが、このボタンをクリックするだけの操作で、即マクロが送信されるワンタッチ・マクロが手軽なQSOに使いやすい。
受信画面と送信画面の間に、送信文中に定型文節を入れるインサート・マクロ4種のボタンと、1送信分のメッセージを64パターンまで送出可能なドロップダウン・マクロがある。
各マクロは、キーボードのファンクションキー、Ctrlキー、Altキーなどを組み合わせて「ショートカットキー」を指定できる。
それぞれのマクロ・グループには特長があって、キーボードによる手入力を加えてQSOのバリエーションを豊富することが出来る。
マクロによって操作手順は異なるが、ワンタッチ・マクロは、ワンタッチ・ボタンまたはショートカットキーでマクロを呼出す。
CQ、シンプルなラバスタQSO、DX局コールなど、簡単なQSOに向いている。
パソコンのキーボードを使ったQSOで送信画面にキータイピングして、部分的にインサート・マクロで定型文節、「相手コール DE 自局コール」などをインサート・ボタンで入れる。
キータイピングが主になるので、インサート・ボタンより、ショートカットキーが多用される。
送信画面で入力してからTXボタンで送信すると、順次、受信画面に表示されていく。送信画面から受信画面に表示されるまでは、送信画面の編集が可能。
ドロップダウンリストのタイトルにEditボタンで、あらかじめドロップダウン・マクロを入れておいて、ドロップリストでタイトルを選択すると、送信画面にメッセージを表示する。
必要に応じてキーボードのタイピングで編集する。
送信画面からTXボタンで送信する。
最大84個のマクロを駆使すれば、相当高度なQSOも可能だろうが、ショートカットキー、タイピングを織り交ぜてQSOするには、かなりの熟達が必要だ。
マウスが自由に使えない環境(例えば移動運用)や、キーボードのタイピングを織り交ぜた運用では、ショートカットキーが誠に便利だ。しかしショートカットキーの指定にはいくつかの注意が必要だろう。
- ショートカットキーは原則として、普通のタイピングでは使わないキーを使う必要がある。
- システムで使われているショートカットキーは使えない。
- 同じプログラム(MMTTY)内で競合すると使えない。
MMTTYの初期状態で、登録されているショートカットキーを調べたところ、以下の通り。
ID | Name | Shortcut Key | Code |
S9 | Ctrl + A | 321 | |
S11 | Ctrl + O | 335 | |
S12 | Ctrl + L | 332 | |
S13 | Data | Ctrl + D | 324 |
S16 | Alt + C | 579 | |
S25 | TX | F9 | 120 |
S26 | TX OFF | F8 | 119 |
S28 | Call | Ctrl + C | 323 |
S29 | Name | Ctrl + N | 334 |
S30 | Ctrl + Q | 337 | |
S31 | His RST | Ctrl + R | 338 |
S32 | Find | Ctrl + F | 326 |
S33 | Clear | F1 | 112 |
S38 | Home | 36 | |
S39 | End | 35 | |
S42 | PageUp | 33 | |
S43 | PageDown | 34 | |
S50 | Ctrl + ↑ | 294 | |
S51 | Ctrl + ↓ | 296 | |
S54 | Alt + L | 588 | |
S56 | Alt + ← | 549 | |
S57 | Alt + → | 551 | |
S58 | Alt + T | 596 | |
S60 | Band | Ctrl + B | 322 |
S80 | Alt + F | 582 |
MMTTYの簡単なマクロを見てみよう。
%c DE %m K
%c QSOデータ欄に書いてあるコールサインを参照
DE 文字をそのまま出力
%m 設定画面の「Your Callsign」のコールサインを参照
K 文字をそのまま出力
結果として
JH1AQG DE JH1LMD K
上例の赤字部分がマクロ記号になるが、MMTTYのマクロ記号は以下の通り。
\ | マクロ先頭に記述して送信画面に展開して送信 |
\ | マクロ最後に記述して受信に切り替える |
# | マクロ先頭に記述して送信画面に展開する |
# | マクロ最後に記述して先頭から繰り返し送信 |
%c | 相手局のコールサイン(Call) |
%r | 相手局の信号強度(HisRST) |
%R | HisRSTのRST部分 |
%N | HisRSTのコンテストナンバ部分 |
%M | MyRSTのコンテストナンバ部分 |
%n | 相手局の名前(Name) |
%q | 相手局のQTH |
%m | 自分のコールサイン |
%s | 自局の信号強度(MyRST) |
%g | GOOD MORNING/AFTERNOON/EVENING |
%f | GM/GA/GE |
%L | LTR(アルファベット認識)コード強制送信 |
%F | FIG(数字記号の認識)コード強制送信 |
%D | UTC現在日付 (例 2000-SEP-05) |
%T | UTC現在時刻 (例 17:44) |
%t | UTC現在時刻 (例 1744) |
%E | 定義終了 |
^ | 約1秒間のウエイト |
_ | マーク信号の送出 |
~ | マーク信号OFF(キャリア停止) |
[ | Diddle(無信号偽信号)の禁止 |
] | Diddle(無信号偽信号)の禁止解除 |
メッセージの最後に「\」を入れないと、送信状態のままなので、マクロ記述では要注意!
次回から順次マクロの記述の例をあげる。
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