豊洲市場問題から1年が経った。
そろそろ熱も冷めてきた頃なので解説しようと思う。

先日、地下ピットの写真が撮れたので、その写真と当時報道されていた内容を比較して説明して行きたいと思う。

まずは共産党の発言を検証しよう。

共産党議員団が豊洲市場に視察に入る。



そして記者会見で強アルカリ性であることをアピールする。









そして報道はこんな事を伝える。



何も知らない人がこうした報道を見れば、地下の水が強アルカリなのはおかしいと思い、東京都の雨水との説明に疑念を抱くだろう。

そして共産党の大山議員のテレビ出演。





水の中に砂のような物が入っている事をアピール。



更に木屑が有った事をアピール。



何も知らない人には、それがさも怪しげに感じる事だろう。

そして日本環境学会の元会長の畑氏が登場。



コンクリートに触れる事によってアルカリ性になるんじゃないかとの専門家の指摘もあるようなんですけど との質問にこんなコメントをする。

セメントを打った時にはアルカリ性なんですけど、段々炭酸ガスを吸って炭酸カルシウムになるんですけど、コンクリートになると中性の方に近づいて行くので、時間が経っているのでコンクリートの影響は少ない

ここまで来ると、何も知らない人なら疑いが確信に変わるだろう。


では、豊洲とは全く別の海から遠い工事現場はどうなのか?

先ず、10階建ての分譲マンションの地下ピットで水を抜き乾かした状態の床。



床がムラムラになっているのだが、これは溜まっていた水を抜いた時に出来る、いわゆる侵食痕だ。

この粉塵を掃き集めた物がこれだ。





この粉塵はコンクリートが固まった時に出るセメントの粉だ。

下の写真の黄色い物は、型枠パネルの剥がれた塗料だ。

この塗料が何所に付いていたかと言えば、天井だ。



所々ささくれになっているのがパネルのベニヤ。

型枠をばらす時にこうしたペンキや型枠パネルから剥がれた木材が出る。

それらが、大山議員のビンの砂や木片の正体で、何所の現場でも普通にある物だ。

そして、こうした物が混ざった水を純粋な雨水と比較する事がそもそもの間違いである。


さて、地下ピットの水なのだが、これは何所の現場でも普通にある。
何故水が溜まるのかを理解するには、完成した地下ピットを見ると理解し易いだろう。

報道では謎の溝と言っていたこの溝。



これはどの地下ピットにもある。



その先には釜場と呼ばれる穴が有り。



そこにポンプが設置される。



完成後は溝に水が集まり、溝を通って釜場に流れる。
釜場に水が溜まれば自動的にこのポンプが排水する仕組みだ。

なぜ、自動稼動のポンプが常設されるかと言えば、そもそも地下ピットは水が溜まり易い場所だからで、ポンプが設置されていない段階の地下ピットに水が溜まるのは当たり前の光景なのだ。


この地下ピットの水を汲み出し乾かしたのは私なので、水が溜まっていた時の事も良く知っている。

地下ピットの清掃とポンプ設置の流れだが、先ず仮設ポンプで水を吸出し乾燥させる。

その後、一度目の清掃をするのだが、床とは別項目で釜場の清掃がある。
私がこの釜場を清掃した時、ヘドロは20センチほど溜まっていた。

もし、最初から常設ポンプを設置していたらヘドロに埋まり詰まってしまう。
何故なら、水の中のセメントの粉はヘドロ化し「ノロ」と呼ばれる状態で存在する。
そのノロは時間が経つと硬化を始めるので、ポンプや配管の内部がノロで固まってしまうのだ。

そして何より、外構工事をするまで排水菅が下水に繋がっていないので排水出来ない。
その外構工事は外周部の地面を掘削するので、建屋が出来なければ掘れない。
何故なら、建屋の周りを掘削したら搬出入の車両が入れなくなってしまうからだ。

その為、ポンプは完成間近距でなければ付けられない。

なので水が溜まる。

これは地下ピットの有る構造物なら何所も同じなのだ。

こうして他の現場の状況を知っていれば、共産党の議員の強アルカリだとか木片だとか砂だとか言って騒いでいた事の無意味さや愚かさを知り、風評被害を出した張本人である事を理解できるだろう。


日本環境学界の元会長さんは、一つ大事な事を見落としている。
それは、このコンクリートの粉塵が水の中に沈んでいると言う事だ。

炭酸ガスを吸って炭酸カルシウムになるのは空気中での話し。
水の中で空気と遮断されている事は考慮されていない。

現場作業員の証言も出ていたのだが・・・







恐らくこの作業員は職人ではなく人夫。

一言で現場作業員と言っても、専門職の職人と人夫がいる。

「コーヒーの缶くらいの直径の穴に蓋がしてあって」と言う言動から、この人が人夫である事が分かる。
職人なら配管とか塩ビ管などの言葉を使うからだ。

恐らくそれは60径配管にしてある蓋の事だろう。
何故なら、湧水の穴に蓋は出来ないからだ。

そして、そうした配管から水が出てくる事は良くある事だ。

理由は、配管が繋がっておらず、雨が降ったり水を使ったりするとその水が流れ込んできたり、元々が樋の配管であったりするからである。

それを知らないと言う事は、専門職ではなく専門知識の無い人夫と言う事だ。


またリポーターのこんなリポートもあった。






では他の現場ではどうか?





完成状態でも同じ様に吊り下げられているだけ。

つまり、それが普通なのだ。


豊洲市場の問題は、完成形を知らず、通常の工事現場の状態も知らない人が押し寄せて、知らないが故に騒ぎ立てた事と、コメントを求める人の人選のボタンの掛け違えに問題が有ると考えられる。

テレビに良く出ていたのは一級建築士の肩書きを持つ人達だが、彼等は設計の専門家であって施工の専門家ではない。

同じ建築に携わる人間でも、一級建築士と言えど施工に関しては素人に近い。

私の知る限り、施工会社の監督なり所長なりのコメントは聞いた事が無い。
当時の報道で出てくる人達は、全て直接施工に関わる専門家ではなかった。

つまり、報道のコメントを求める人選の段階でボタンの掛け違いが起きていたと思われる。

報道も視聴者も、専門家と言う権威性に踊らされ信じ込んで行った訳だ。
そうした権威性に踊らされている人に、施工業者が地下ピットの必要性や現場の状況を説明しても聞く耳を持たず、擁護とか言い訳にしか受け取られなくなってしまう。


共産党やマスコミは良かれと思ってやっていたと思うのだが、知らない者が騒ぎ立てた結果、都民に不安を与えて扇動する事となり、豊洲の迷走状態を生む結果となっている。


PS. 地下ピットの水に関する写真を入手したので追加掲載しておく。

まず、斫り及びケレン作業をする為に水を抜いた状態の写真。



これが釜場と呼ばれる水を集める所で、この中に水中ポンプを入れて水を抜き、水が抜けたら送風機で風を送って乾かす。

この時点では、まだ初期なので配管はされていない。
その配管が何所と繋がるかと言えば、ここだ。



この写真でも分かる様に、壁には穴が開いている。



穴の向こうは外周の地表だ。

この作業をした数日後に1日雨が降った。

すると、一日の雨でこうなる。





長靴の半分まで水に浸かっている。



これが工事現場の常識なのだ。

日頃からこうした光景を見ていれば、地下ピットの水を地下水だと騒いでいる人は現場を知らずに騒いでいるとしか思えない。