体外で反復不成功の方に読んでもらいたい本を1冊:「The Power of Regret」 | 銀座PIOART相談室/プライベートBLOG

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受精卵を作る胚培養士による体外受精コンサルテーションを国内外でしています。分業化された医療に患者視点の一本の道を通し、患者さんにとって納得できる!そして意味のある生殖医療に繋がる「あたらしいふつう」の実現を目指しています。

   【日本語版】        【英語版】

 

昨日、ある患者さんが実質最後の完全胚盤胞と初期胚盤胞を2個戻しをしました。

今までトラウマになっていたことが、ALLクリアになっての大ジャンプ。

彼女のトラウマは、超高齢のために内膜が厚くならないことだった。

海外のクリニックで採卵移植した時の内膜UPテクニック、

日本でのクリニックの内膜UPテクニックをすべてやってみたが

内膜は全くはならなかった。

 

結果的は、その両方のクリニックの「よいこと取り」をして今までのギネス内膜厚を

叩き出してもらいました。主治医が言った「もう年齢的にはこれ以上厚くはならない」
しかし、その今までの限界の内膜厚の・・2倍を叩き出しての大ジャンプでした。

 

主治医の見解、サブのDrの見解、患者さん自身の見解をテーブルに3つ並べてみてから

サブのDrのところで薬剤テストを繰り返していくという地道なことを彼女はやった。

 決してラッキーだけを神仏?に手を合わせることはしなかった。

というのは、高齢患者の妊娠は「判定(+)」の先が本番だからです。

いかにその先を進める『胎嚢形成』の期間を通過するかだけを考えてもらいました。

 

途中で流産をしたら・・もう戻す卵なんてないのだから。

だから、テストそしてテストを繰り返しサブのDrたちの意見を聞きながら

移植HRTプロトコルのβ版を改良していったのが、その彼女だった。

 

■ このブログ記事を読むとなぜ?いいのか?

 

なぜ?こんな話をするのか?というと

トラウマは消えるということを知ってもらいたいからです。

特に体外受精の失敗への不安と恐怖。

 

うちの患者さんたちだから、全国のいわゆる有名クリニックに通っている方しかいないのですが

そこでも、どうして超えられない壁というものは存在します。

 

そのトラウマの向こうには、「後悔」が存在します。

それが大事な時に顔をみせます。

鬱っぽくなる方もいるでしょう。

もうこれ以上は、何をやっても問題解決はしないと思い込み、「万歳玉砕の移植」を

決行したがる方も当然いるでしょう。

(治療から解放されて)自分が楽になりたいだけで・・。

 

でも、少し待ってください。

飛び込む前に・・ 一度 過去の体外の成績とプロトコル、カラダ作りを振り返って

もらいたいのです。

振り返るから前に進めます。

 

 

■ 本の紹介

 

写真は、日本語版と英語版の「The Power of Regret」です。

英語版は2022.2/1に ダニエル・H・ピンクによって書かれましたが

やっと日本語版が1か月チョイ前の2023.12/6に発売されました。

どうしても 翻訳の大人の事情で数年 遅れてやってきますねぇ。

 

この本は何が書かれているのか?とうと2つでしょう。

「(失敗を)振り返るからこそ、前に進める」こと。

「『後悔(Regret)には最短で成功に導く力がある」ということ。

 

これは妊活の本ではないですが

人生を豊かにしてくれる自分の感情の正体にメスをいれた本です。

 

■ 私が伝えるサマリー(要約)は4つ

   行動に起こせないと知識なんて、まるで犬も食わない概念なので

   ステップ・バイ・ステップの4つに書いてみました。

   

 

ステップ1:

  「後悔していることを紙やメモに書き出す」

    ↓

  これは頭の中のぼんやりとした悩みや思考を「自分の具体的な言葉」に

  変換する意味があります。

 

ステップ2:

  「自分と同じ失敗をしている人は他にもたくさんいる」と考える。

    ↓

  これは失敗やミスを犯した自分に優しく接することで、

  自分を責めて精神的に病んでしまうことを防ぐ効果があります。

 

ステップ3:

  「後悔の原因を冷静に分析して、そこから次に活かせる自分だけの教訓を

   導きだす」

    ↓

  これは、自分でじっくり考えるのもいいが、

  視野を広げるためにオススメなのが

  自分がやってしまったミスを友人がしたとして仮定して

  自分ならば友人にどう?アドバイスをするか?を考えるとよい。

 

ステップ4:

  「未来の痛みや後悔を予測して動き出す」

    ↓

   このようにステップ1.2.3は分析に過ぎないので、それから何か行動タスクを

   書き出すことが重要です。 このステップ解析です。

 

 

■ まとめ

   私は体外受精の失敗の解析をした上で、体外医療従事者として第三者の視点を

   思ってもみなかった方角からライトを照らします。

   でも、実際は上記のステップ4の解析(つまり打ち手)まで出さないと意味がない。

 

   そして、あなた今通っているクリニックのDrに、次はこうしたい!というのは

   あなたです。 そこで重要なのは話の切り出し方とタイミングです。

   もし、「ああ それは・・」と言われたときの切り替えし方も全体がみえて

   いないとできない。あなたがドクターに伝えるというのはテクニックがいるのです。

 

   知識だけでは対処はできないし、先生の感情や治療方針の考えまで想定した

   「智慧」までがいるのです。

 

 

■追伸P.S

 

   私はカトリック者ですが、ある縁があり今年の頭に本願寺のお坊様しか入れない

   聖域に住職さまがいれてくださいました。

   本願寺は聖徳太子を大事にします。智慧といえば聖徳太子ですね。

   ユダヤ教・古代キリスト教をルーツをもつながれを重んじた聖徳太子。

   その日本版キリスト教を流れをくむのが 本願寺の「親鸞(しんらん)上人」でした。

   

   写真のバックには、その聖徳太子の御絵があります。

   ここの聖域で写真を撮らせてもらったご住職夫婦に感謝です。

 

   

 

   ここの前にて 皆様の今年の妊活の成功をお祈りしてきました。

   

   皆様が、失敗という「後悔のパワー」を成功大ジャンプにつなげることが

   できるようにお祈りしております。

 

   あなたは、どんな智慧を今年得ることができるでしょうか?

   それがあなたの妊活の延長線上の向こうにあるものと結びつけることが

   できるでしょう。

   それが家族としてどうありたいか?仕事キャリアはどうありたいか?

   様々な人間関係、そして経済的なこと、健康上の問題。

 

   ぜひ 今回紹介させていただいた「The Power of Regret」をオススメします。

   そしていつか、あなたの可愛い未来のお子様と食卓を囲むときには

   ママ(あなた)の失敗から学んできたことをわかりやすく教えてあげてください。

   ある人はそれをママの帝王学と呼ぶかも知れません。