当ブログでは、植草一秀さんの論説について、ことある毎にとりあげているが、解説者の中でも「この人の解説は見習うべきではない」と思う方もいる。

だが当然、その人のファンもいるので、ここでは名前を取上げずに、その人の変遷を考えてみたい。

まず、その方は、メディア露出が多い方だ。方々で、発言も多いが、一方で「?」と思う発言もある。

よく考えれば、ごくごく当たり前の内容を「実は○○だから、○○なんだ」と、あたかも大げさに話す。

そのため、聴いている側は「そんなこと知らなかった」となるのだが、物事の道理を改めて知ってしまうと「大したことはないのだな」という話になってしまう。

また、ある番組に、その解説者が出演したことがあった。

その際は、番組の出演者サイドからどうしても出て欲しいという要請を受けたとのことで、真摯な論戦をされていた。

私もそれを見て「私の思っていた印象と違っているし、いままでの私の捉え方は違っていたかもしれない」と思っていたら、後々になって、見事な手のひら返しを行い「そんなにやりたかったら、どうぞお好きに」というような文面を臆面もなく書いてしまう。

私は、この人の論説を読む度に腹立たしい気持ちになるし、論旨が一貫していないのに、なぜ多くの支持が寄せられ、さらに相手にされているのかが理解に苦しむところだ。

さて、そんな中、その人のような見事な手のひら返しを見せた知事がいた。

神戸空港視察を提案=普天間問題で沖縄知事に-橋下大阪知事
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010113000660
※jiji.com

---(全文)---

大阪府の橋下徹知事は30日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に関連して、同県の仲井真弘多知事が関西国際空港を視察する意向を示したことについて、「将来性が全く見えない海上空港だから、神戸空港を見ていただきたい」と述べ、神戸空港の視察を提案した。府庁内で記者団の質問に答えた。

橋下知事は、関西空港について「残念ながら大阪国際(伊丹)空港と統合し、事業運営権を民間に売却するという話がスタートしてしまった」と強調。「今はもう(関西空港が沖縄の)基地負担軽減の受け皿になることはない」との認識を示した。同知事はこれまで、関西空港への一部移設案に関し、「はじめから拒否はしない」との姿勢を示していた。 

28日投開票の沖縄県知事選で、普天間飛行場の県外移設を訴えて再選した仲井真知事は、29日の記者会見で「橋下知事が関西空港はどうかと言っているので、1度見に行こうかと思っている」と述べた。(2010/11/30-15:54)


---(全文おわり)---

民間に売却しようが何であろうが、移転を受け入れる民間を探せばいい話である。

特に、ここで見過ごしてはならないのは「基地移設受入は金になる」という事実だ。金にならないことは民間は受け入れないだろうが、金になることは話が別だ。受け入れる余地が出てくるだろう。

また、軍民共用空港が存在しているのだし、そうした観点から発言を捉えると、橋本徹知事は約束をもともと守る気がなかったと思われても、致し方ないと私は考える。

特に不憫なのは、仲井真知事だ。伊波知事に勝利したとは言え、基本的に県外移設を求めているのだから、橋本知事の言葉をどう受け止めただろうか。

私がその立場なら、怒りを禁じ得なかったに違いない。話を聴いてくれそうな、数少ない知事だと考えて頼りにしようとしていたかもしれない。それをいとも簡単に手のひらを返した橋本知事。

こうした小さな裏切りは、沖縄から本土へのさらなる不信感を呼び起こすことだろう。

また、こうした記事を読むと、鳩山総理が、知事会で県外移設を受け入れる場所がないか提起を行ったり、また徳之島への移転についても、マスコミに漏洩してしまうなど、危機管理の点で多くの問題があったにせよ、取り組んだことはやはり特筆するべき事だ。

そうした懸命な努力を行う姿があったからこそ、多少なりとも仲井真知事は鳩山総理を評価していたのだと感じるし、その期待は鳩山総理の沖縄訪問で失望に変わったとは言え、沖縄の人達も、そう考えが転換せざる得ない理由は理解しているはずだ。

しかしいくら理由を理解しても「最初の約束と違う」ということで怒りを表す気持ちもわかる。

だが、本土側で受け入れる先はない。そうなってくれば海外移設と言うことになるが、日本の国土を守る観点から考えて、いまは最適解と言えるのかどうか。

また普天間基地の移設先が海外になったのなら、自衛隊を増強し、空母や原子力潜水艦を導入する必要が出てくるが、それを受け入れる土壌がいまの日本にあるのだろうか。

改めて、鳩山総理が退任する時の言葉を取上げたい。

民主両院総会での鳩山首相発言全文
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010060200644
※時事ドットコム

「私はつまるところ、日本の平和、日本人自身でつくり上げていく時をいつかは求めなければならないと思っている。米国に依存し続ける安全保障をこれから50年、100年続けていいとは思わない。そこのところも、ぜひ理解をいただいて、鳩山が何としても、少しでも県外に(米軍基地を移設する)、との思い、ご理解を願えればと思っている。その中に、今回の普天間の本質が宿っていると思っている」

「私の時代は無理だが、あなた方の時代に、日本人の平和をもっと日本人自身でしっかりと見詰め上げていくことができるような環境をつくること。現在の日米の同盟の重要性は言うまでもないが、一方でそのことも模索をしてほしい」


公約を踏みにじったと批判するのはたやすい。だが、鳩山総理が県内移設に基軸を移した時、少なくとも沖縄に行き、率直に発言を行った。

そうした行動を当時の多くのマスコミは批判していたが、一番言いにくいことを、東京の地ではなく沖縄で発言したことは、評価されて良いと考える。

私も発言を聴いて失望したことを、いまも鮮明に思い出すが、手のひら返しと言っても、率直に詫びた上での手のひら返しは、まだ許されて良いのではないか。

様々な選択肢がなくなり「どうしても出来ません。でも必ず負担を軽減したい」という姿は、みっともないなどと言われるが、そうしたことを率直に謝る内閣は、あまり記憶にない。

橋本知事の発言を聴いて、信用できる発言とは何かを考えさせられた。