私は今年37歳になる所謂団塊Jr世代に属している。また別の言葉では就職氷河期世代の走りだし、ロストジェネレーションといわれる世代と言っても良いだろう。でもこの世代をマスで捕らえることは出来ないだろうと私は思う。
まず、私の友人関係でも、未だ独身の男女がいる。非正規雇用等の経済的な理由の人も中にはいるけど、結婚する気はあるけど、周りに結婚したいと思える人がいない、という人もいる。高学歴で条件の良い人でも結婚できない、していない、という人がいる。中には父親が最近亡くなり、実家に帰ると一人で住んでいる母親の相手をしなければならないという人もいて、結婚よりも介護の問題にそう遠からず直面しそうな人もいる。
子供の数についても違いがある。私の記憶では、同世代で一人っ子というのはどちらかと言えばマイノリティと言ってよかったと思うが、こと私の友人関係に限定しても一人っ子で良いという人が結構いる。別に経済的に困っているわけでもなく、私よりはるかに多くの年収と安定した職場であるにも関わらず、である。勿論年齢的な問題もあるのだが子供は一人でいい、という意見を結構聞く。
今、息子は幼稚園に通っているが、運動会等で親達を見ると非常に年齢層に幅がある。20代前半と思しき人もいれば40どころか50代ではないかというお父さんと呼ばれる人がいたりする。勿論標準偏差で中心点が一番多いわけではないが、感覚的に20代半ばと30代半ばに収斂しそうな気がした。親の年齢層が違えば色々な価値観・思考方法に違いが出るだろう。今は幼稚園だからそれほど違いを認識しないで済むだろうけど、中学校ぐらいになると多分その差が成績や進路に影響を与えるかもしれない。
住宅業界は団塊Jrが住宅の一次取得期だと言っていたが私の周りで家を買わない選択をした人も多いし、新築にこだわらなかった人も多い。こと私に関しては10年後には恐らく実家を相続することになるだろうと想定されるのでいまさら家を買う気もない。
確かに団塊の世代、その下の世代、というのは勿論世代の中で格差は存在したものの、ある程度総中流意識を持っていた。だから皆が家を買えば買ったし、家電製品も買ったし、車も買い、子供を複数生んで、混んでいるにも関わらずレジャーに出かけ、受験戦争に備えて塾にも通わせた。それが普通のこととして捉えられていたと思う。
ところが世代間格差以前に同じ世代においても格差が拡大している。正社員になれた人となれなかった人、結婚した人としていない人、子供がいる人といない人、今はそれほど大きな格差と感じなくても消費行動や思考法、価値観に違いが出てきている。
所謂均一のマス市場があまり大きくない幾つかの小集団に分かれて、ある部分では重なり、ある部分では全く違うことでなんとなく大きなマス市場が存在しているように見えているだけになっている。
今までは世代である程度のグルーピングが出来たが、これからは世代だけではなく、年収、職種、居住地、学歴、親の職種・学歴等の様々な要素で構成される社会的階層(階層という言葉が駄目なら集団)に細かく分類しないとグルーピングが出来ないことになるのではないか。と常々申し上げてきた。
だから今まで以上にマーケティングは様々な要素を考慮しなければならない。
マス市場がなくなれば、マス・コミュニケーションの力が弱くなる。そして広告が効かなくなる。むしろ細かい雑誌やターゲットを明確にした広告手法や媒体、セールスプロモーションやマーチャンダイジング活動により注力する必要があるだろう。
ところが、まだマーケティングはその対応策をきちんと出していない。企業も流通も対応できていないのが現状ではないだろうか。
今までの手法が効果が出ない=マーケティングが無意味、という安易な結論になるのは間違っているし、昨今の資本主義の終焉論等は無知蒙昧な意見だと私は思う。
実はこの問題、私が学生の頃からマーケティングの限界と言われていたような気がする。口コミマーケティングを真剣に研究しようとした友人を叱り飛ばしたこともあった。15年以上たつのにまだこの問題について真っ当な意見を聞いたことがない。IMC(統合型マーケティングコミュニケーション)も今はあまり注目されない。
今まで自由資本主義が間違っていない、ということについて考えてきたが、そろそろマーケティングのことを考え、発表する準備が整ってきた。しばらくはこのことについて考えたい。