私は常々、会社は株主のもの。経営者は株主の委託を受けて利益を最大化し配当や時価総額や資本蓄積という形で株主の財産を増やすのが任務。で、従業員は株主の委託を受けた経営者によって雇用され、株主の利益になるように、経営者の指揮命令の元に働き、その対価として賃金を受け取ると言う関係。
でも従業員を奴隷労働のように使っても従業員は辞めてしまうだけ。また出てくる商品やサービスがお客様の満足するレベルでなかったり、妥当でない価格であれば売れないし、製造・流通段階でコンプライアンス違反をすれば株主の利益を損なう。だから経営者は様々なステークホルダーのバランスを考慮しつつ、株主の利益の最大化を図る必要がある。つまり、会社が株主のもの、となると単に高配当にしたり、短期間の利益を目指すと言われるが、長期的に利益になることを経営者が株主に説明し証明し続けなければならないと私は常々申し上げている。
京品ホテルの強制執行が行われた。
私は法治国家として不法に占拠して自主営業と称して居座る元従業員に非があるし、そういう戦術しか思いつけない労働組合の経済センスのなさ、そしてそんな組合にしか頼れない従業員の無知の方が問題だと思う。
確かにあの立地は不動産としての価値は相当なものがある。50億を超えると言われていたが地価が下落した今は30億程度の価値があるとみなされているようだ。廃墟のまま持っていても景気が上向けばどこかが必ず買うだろうという立地。それを元手に金を借りて耐震構造に立て直すのではなく多角化に乗り出し、失敗した経営者の経営責任は問われるべきだろう。でもそれを問えるのは株主であり、従業員ではない。
本業のあのホテルは一億の利益が出ていると主張しているが、それは償却が進んだ建物で商売していれば新築の建物より利益はでる。償却費は費用だから利益を圧迫するからね。
もし、本当にあのホテルが一億の純利益を出せるとしても総資産利益率は3%程度。しかも耐震修繕に20億の投下が必要となるとその20億が本当に回収できるのか、という問題が起こる。勿論建物が修繕されればその分償却費が上がり利益は下がるのだから。
で、この数字をまず念頭において考えると、廃業、と言う選択は私は間違っていないと思うし、むしろそうするべきだと思う。出来れば京急と西武ともう一社ぐらいを争わせて高値で売却するという方法を考えただろう。この経営者が致命的なミスをしたのは債権をリーマンブラザーズに売却して廃業というスキームをとったことにあるだろう。リーマンを選んだという事は後知恵で文句はつけられるが、ホテルを現状のまま譲渡して第三者が営業するかのようなスキームは冷静に考えればありえない。あの立地でラグジュアリホテルは建てることが出来ないだろうし。。
自主営業するなんてばかげたことをするくらいなら、自分達でスポンサーを探し、EBO(従業員による買収)を逆提案するくらいのことをやったらどうなんだろうか。廃業・解雇の時点でもリーマンはもう当事者能力をなくしているのだから。そういうことをやった形跡も、組合が後押しした形跡もない。
あえて暴言を言えば、彼らは戦術も戦略も間違っていた。しかも不法占拠という形で自主営業してしまった。多少は生活できる程度のお金になったかもしれないが、当然本来の所有者は損害賠償を要求する権利を持っている。裁判と損害賠償でその程度のお金は吹っ飛ぶだろう。
今からスポンサーを探します、なんていっているらしいが、ますます状況が悪くなる中で誰がこういうトラブルを抱えた案件に手を出すだろう。リーマンの足元を見て交渉は出来ない。本当に破綻していればよかったが民事再生中だから足元を見て、なんてことは出来ない。
煽る労働組合、政治家、活動家の無知はとっくに承知しているが、マスコミもつくづく馬鹿だな、と思う。
日本は経済や経営に無知な人が多すぎて、専門家と称する学者等もとんでもないことを言うことがある。クルーグマンにノーベル経済学賞を与えたことは歴史に残る失態だと確信している。
真っ当に経営を学んでいれば京品ホテルの従業員の主張は間違っているし、もっとうまくやる方法はいくらでもあることを指摘できるはずだ。
日本の企業は知らないうちに国際競争に巻き込まれているし、裏社会のマネーロンダリングにも巻き込まれるリスクが高い。そういう現状をさすがにトップマネジメントは知っていて欲しいが、せめて管理職やそれになろうと言う人はそういう現実を知るべきだろう。