先日、伊丹廃止論を考える際に私は関空を活用するか、廃止するかどちらかという選択肢を出したが、今朝の報道を見る限り、関空発着便が減便することになりそうだ。
そもそも、関空をどう捉えるか、ということが大事なことで、関空を単なる関西の玄関口と見るか、日本全体のゲートウエイ、アジアのゲートウエイと捉えるかで全く異なる回答が出てくると思う。
単に関西の玄関口であれば、伊丹も神戸も廃止して関空にいかに関西の交通ネットワークをつなげるかということを真剣に考えるべきだろう。それこそ中ノ島あたりから高速艇でも出した方が良いのではないかと思うし、京都あたりからはジェットヘリを飛ばすことも考えた方がいいだろう。今のままではあの橋が命綱になってしまい、手段もJRかリムジンバスしかなくなる。極端なことを言えば、大阪止まりの列車はすべて関空に行くぐらいのことを考えたほうがよいと思う。
おそらく、関西圏の人口と観光地の需要を考えれば伊丹等を廃止することで関空の利用率は上がるだろう。
でも、それはあくまで国内の需要がメインになり国際線が主要都市に飛ぶようになるか、というのは別問題になる。
では、日本全体の、ないしはアジアのゲートウエイという観点はどうだろうか。
日本の空港にはこういう発想が基本的にない。たまたま成田がアメリカ系航空会社の一種のハブ空港的な機能を担っていたのは航続距離の問題が一番の問題。古くはシャノンやアンカレッジのように給油とクルーレストの為にここをハブにしていたに過ぎない。ところが航空機が高性能化したことで航続距離が伸び、今まで考えられなかった香港⇒ロンドン直行便も実現できる。(ちなみに2万1600km。)
今まで日本に寄港していたのがアメリカ本土から直接アジアの各都市に飛べるようになれば日本に立ち寄る必要はない。むしろ離着陸料が高い日本を避けた方が安上がりになるから積極的に日本以外に直行便を飛ばすだろう。
それを避ける為には国家戦略としてどこをハブ空港にするか、ということを考える必要がある。羽田・成田の一体運用だけでは首都圏は足りない。どちらかを大幅に拡張することが必要だろう。そして次に問題になるのは関空と中部国際空港とのすみわけだ。基本的にはどちらかあれば済む話だったはずだ。
私の友人で長崎からベトナムに出張が頻繁にある人がいる。当初は関空経由便が第一選択、東京で会議後にベトナムということでもなければ成田は使わないそうだ。第二選択はソウル経由、第三選択としてバスで福岡空港に行き、福岡からの直行便を使うそうだ。それが中部国際空港ができたことで第一選択が中部国際空港になり、それぞれ一ランクずつ下がったと聴いたことがある。
確実にカニバリを起こしているのは間違いない。
もっと言うと、地方都市は関空経由や羽田・成田経由で海外に行くよりソウル経由で行く方が安いという現実に慣れている。しかもコリアンエアは賢いことに日本の地方都市からの乗り換えに便利なようにダイヤを組み替えてしまった。運賃が安く、乗り換えが便利であれば何もわざわざ関空に行ったり、羽田からまた荷物を引きずって成田に行くなんてことをしようと思わないだろう。
同じことが上海ではおこらないという保証は全くない。またシンガポールやバンコックも乗り換えの利便性の良さでは定評があるし、それぞれのフラッグキャリアのサービスレベルにも定評がある。そういう国際競争の観点から言えば関空はもはや敗北していつ退場するかというレベルにあるのは間違いない。
では、退場しない為にどうすればよいのか。
成田に行くより、関空経由で飛んだ方が楽、というダイヤ、つまりソウルと同じことをするのは当然としても、それを上回る価値と利便性を提供できなければ意味がない。逆にソウルや上海あたりから関空経由で行く方が良いといわれるくらいを目指すしかない。
その為には関空は致命的な状況にある。
まず滑走路が1本しかなく、海上にある為、欠航のリスクが高いこと。海上であることは仕方がないので確実に運航できるように複数の滑走路と横風用滑走路の整備が必要だろう。その整備をしたとしても離着陸料はソウル並にするしかない。コストダウンは絶対必要だ。
第二に乗り換えの間のレストスペースの拡充。関空の待合室は意外に狭い。とても椅子の下や床で寝ることが出来る状況ではない。24時間いつでもチェックインできるホテルは複数必要だし、空港内でもバックパッカーが寝られる状況を作ることも必要だろう。
関空の減便は今の状況を考えれば当然の経営判断。真剣に関空をどうするか、国際ハブをソウルに任せるのか、そういうことも考えられない人は国交相だと非常に問題があるだろう。