2018年は政局混乱の一年、国際政治を振り返る! | ぼんじゅーるから始まる一日

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毎週土曜日随時更新!国際政治を追うブログ

 新年明けましておめでとうございます!

 

 といっても、もう2月ですね(笑)。更新がかなり久々となってしまったことをお詫び申し上げます。今週から「ぼんじゅーるから始まる一日」再開致しますので、2019年もぜひよろしくお願い致します!

 

 今週は、2018年の総括、そして、2019年の展望、二つに分けての更新となります。本日は第一弾として、世界的に影響があった2018年の政治的イベントを、第5位から第1位まで、ランキング形式でピックアップしていきます。昨年はまさに政局混乱の1年であったように思えます。多くの先進国のリーダーたちが難しい舵取りを担うこととなり、四苦八苦した印象でした。同時に、様々な歴史的イベントもありました。その中で、あくまでも僕の個人的な視点からですが、これからご紹介する5つのイベントは大きなインパクトを与えたと思います。ではさっそく見ていきましょう。

 

 第5位 トルコの存在感

 

 まずは、世界を震撼させたカショギ事件。ジャーナリストが何かと話題になった年でしたが、やはりこの事件には色々と驚かされました。

 この事件において、政治的に存在感を示したのが、トルコです。トルコのエルドアン大統領は、この事件の調査において主導権を握り、サウジアラビアやアメリカを相手に徐々に情報をリークするなど、他国がトルコに逆らえない状況を上手く作り出しました。トルコは、これからも中東政治のキーになると思われます。

 トルコという国は、そもそも地理的に非常に政治的バランスのとりにくい場所に位置する国です。上にはロシア、左にはEU、右には中国、下には中東、もはや四面楚歌ですね。そのため、その独裁者ぶりは批判されますが、エルドアン大統領の比較的バランスの取れた政権運営には、一定の支持があります。

 カショギ事件についての真実はわかりません。そして、様々な組織勢力が入り乱れている地域なので、誰が誰を支持して、どの国がどの組織のバックについているかなど、実に分析が難しいのが、トルコとその周辺地域です。僕自身も現時点では勉強不足でありまして、あまり踏み込んだことはわかりません。しかし、今後は、この中東問題についても、把握できる範囲で皆さんに情報提供をしていけたらと思っております。

 

 第4位 アメリカ中間選挙と政権内部の混乱

 

 11月に行われた中間選挙は、与野党共に想定の範囲内という結果に終わったと思います。そのため、大統領選挙時ほどの熱もなく、メディアの盛り上がりにも欠けました。当初は重要イベントと言われていましたが、それほどのインパクトはなかったようにも感じます。

 しかし、未だ衰えないトランプ人気には改めて驚かされました。そして、これは2020年の大統領選挙にも若干の影響を与えると思います(「中間選挙はトランプの勝利と分断の象徴、2020年まで時間はない!」(11月20日))。

 それより気になるのは、政権内部の混乱であります。今までトランプ政権を支えていたマティス国防長官が辞任の意向を示しました。彼は、軍人や共和党内で圧倒的な人気があったことから、彼の辞任は、いよいよトランプ政権の内部崩壊の序章ではないかと言われています。これまでにも、影響力を保持していた多くのキーマンの辞任・解任が相次いだトランプ政権でありましたが、その政権内部の安定のなさに、支持者も不安な気持ちを抱いていることでしょう。今後、2020年の大統領選挙に向けて、トランプとしてはどうにか乗り越えたい難題の一つであると言えます。

 

 第3位 南米政治の混乱

 

 このブログを通しては、あまり取り上げる機会がありませんでしたが、昨年の南米政治は混乱を極めました。特にベネズエラでは、マドゥロ政権と野党との対立が激化しました。そして、遂には野党代表者が自らを暫定大統領と宣言し、対外的に見て、大統領が2人いるというコントのような出来事が起きています。このベネズエラ問題は非常に厄介でありまして、現職を支持するロシアや中国、そして野党側を支持するアメリカとの対立も裏で起こっています。つまり、今の国際政治は、主にアメリカ・中国・ロシアの主権争いが色々なところで大きく影響しており、このベネズエラ問題からも、その一端を垣間見ることができます。

 近くのブラジルでも、大統領選挙に伴い、政権交代が起こりました。こちらはブラジルのトランプと呼ばれるボウソナロ大統領が当選し、アマゾン森林伐採や銃の規制の緩和を公約にしており、環境問題や治安問題が懸念されています。また、彼は選挙中に、刃物による襲撃で重傷を負ったこともあり、南米政治の恐ろしさを感じた年でもありました。

 

 第2位 米朝首脳会談

 

 まさに歴史的イベントの一つが、米朝首脳会談でしょう。そんなこともあったねという感覚の方が大半であるかと思いますが、このイベントは、日本にとっても大きな意味を持ったと思います。

 昨年のこの時期は、北朝鮮問題は日本にとっての悩みの種となっていました。アメリカが軍事介入する可能性も捨てきれず、日本としては最悪の事態に備えなければならないという状況でもありました。

 しかし、6月12日に行われた米朝首脳会談に向けた準備が始まると、今度は平和的な解決を模索する動きが活発化し、なんと歴史上初の米朝首脳会談がシンガポールにて行われたわけです。

 この会談に対しては、賛否両論がありました。僕もこのブログを通して意見を述べているので、ぜひそちらもご覧ください(「口だけ政治家はもういらない、トランプの行動力にあっぱれだ!」(6月17日))。

 今年は、2月中にも第二回目の会談が行われるということで、北朝鮮の非核化やトランプの対応など、注目すべきイベントとなるでしょう。

 

 第1位 ジレ・ジョンヌ

 

 僕なりの2018年第1位は、フランスで起こったジレ・ジョンヌ(Les gilets jaunes) です。ジレ・ジョンヌとは、フランス語で黄色いベストという意味です。フランスでは、どの車にも安全確保用の黄色いベストの設置が義務付けられており、11月17日にマクロン政権が打ち出した自動車燃料増税に対して、増税を強いられた地方生活者が反発し、その黄色いベストを着て抗議活動を呼びかけたものであります。非常に象徴的なデモとなり、12週が経った現在も、続いているようです。マクロン政権にとっては大きな痛手となり、支持率は一時20%を下回るという事態になりました。

 

 このデモは、僕がマクロンを就任直後から注目し続けているから大ニュースというわけではなく、今世界中で起こっている分断を象徴すると言えるので、昨年の第1位にチョイスしました。

 つまり、ジレ・ジョンヌは、今世界中で起こっている社会問題を顕著に表現してくれている政治的イベントなんです。その社会問題とは、分断です。僕がよく話題にしている人種差別やジェンダー関連の分断ではなく(もちろんこちらも問題となっていますが)、貧富という分断です。

 すなわち、世界は今階級社会になってしまっています。大企業は成長して、グローバル化が進む中、海外に進出する。それに伴い、自国の地方の工業は廃れていき、今まであった仕事がなくなってしまう。このような事態がどの国でも起きています。

 これに対する怒りが世界的に爆発し、そこに不法移民の救済など、自国民を後回しにする政治家の姿勢が、特にヨーロッパでは、自国ファーストの政党が支持を得るという形で現れているのです。

 これは、決しておかしなことではありません。極めて普通のリアクションなんです。これに対して、いわゆる偽善リベラル派は、不法移民受け入れ拒否は倫理に反するだとか、保護主義は世界秩序を崩壊させるだとか、一方的に声を張るだけですが、実は、それは全体の問題を捉えられていない証拠です。

 無論、僕は決して自国ファースト推進派ではありません。むしろ、この貧富の問題とグローバル化の調和をどうやったら取り戻していけるかというところを中心に、意見を述べているつもりです。

 この件に関して書き出すと、書きすぎてしまうので(笑)、今後のブログに譲ることにします。

 

 ちなみに、今回のフランスで起こったデモの主導者は、5月の欧州議会に出馬するとのことです。すごい行動力ですね。この件に関しても、後日取り上げていきたいです。

 

 

 いかがでしたでしょうか。こう見てみると、2018年も色々なことがありました。ランキング入りはしなかったものでも、注目された選挙や政治的イベントは数多くありました。ブログを更新する身としては、大変面白い一年であったと感じます。お時間がありましたら、これまで更新されたバックナンバーにも、ぜひ目を通してみてください!

 

 さて、2019年はどんな年になるでしょうか。今週は、第二弾として、2019年の展望をお届けする予定です。本年も「ぼんじゅーるから始まる一日」をよろしくお願い致します!