迫るイタリア総選挙、政治的混乱は必至か! | ぼんじゅーるから始まる一日

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 ちょうど今、今年ヨーロッパで最も注目される国政選挙が行われている。その舞台はイタリアだ。イタリアは、EU内において、ドイツやフランスと並び、経済的にも政治的にも影響力を持つ国である。そのため、金融市場には緊張感が漂い始めている。

 

 今回の総選挙で台風の目になると予想されているのが、「五つ星運動」という政党だ。このブログを通しても何度かご紹介したが、「五つ星運動」は、昨年躍進したフランスの「国民戦線」やドイツの「ドイツのための選択肢」などの姉妹政党。ペッペ・グリッロという、もともとコメディアンだったおじちゃんが党を設立し、その人気と知名度を武器に政界へと進出した。だからよくイタリアのトランプとも揶揄される。そんな彼は第一政策として、EU離脱と反移民を掲げ、既存政治に不満を持つ有権者の支持を得てきた。フランスのルペンとは違って、彼は実際に多くの地方議員を抱えている。あの有名な都市、ローマの市長も、この「五つ星運動」からの選出されているんだ。2016年12月の国民投票で大敗を喫して辞任したレンツィの足を引っ張ったのも、ペッペのおじちゃんであった。現在、党首を務めるのが、ディ・マイオ氏。31歳という若さと武器に奮闘している。

 

 この「五つ星運動」に対抗するのが、ベルルスコーニ元首相率いる「フォルツァ・イタリア」と「同盟」を含む中道右派連合である。汚職によるスキャンダルで、政界を追放されていたベルルスコーニだが、今回の選挙で復活を遂げた。彼は現在81歳、しかしそのエネルギーに満ちた姿は年を感じさせない。そしてその知名度と政界ネットーワークを武器に、有利な選挙戦を展開している。

 

 「五つ星運動」と中道右派連合の後を追う形で、与党である「民主党」の存在を忘れてはいけない。前回選挙において、国民の期待を背負い政権の座についたが、憲法改正の否決や党内分裂が影響し、彼らに対する落胆の声は数を増す一方である。

 

 630議席を争い開票が進む中、最新の議席予想では、「五つ星運動」が単独の政党として最大の議席数を獲得する見通しだ。勢力的には、中道右派連合が二つの政党の議席数を合わせ、トップを走る。民主党は大幅に議席を減らす見通しだ。予想議席数の詳細は以下の通り、

 

 中道右派連合 225~265(議席)

 五つ星運動 195~235

 民主党 115~155

 

 政権運営に必要な過半数(315議席)を獲得する政党がいないため、政治に空白が生まれるハングパーランメントの事態が予想される。ドイツでも、連立政権を樹立するのに5ヶ月という時間を要したように、イタリアにおいても、政治的混乱は必至のように感じられる。

 

 最終結果は、もうまもなく発表される。結果によっては、オーストリアのように、極右政党を含む連立政権が発足する可能性があり、EU関係者も警戒を強めている。