CODA 2022公開
【監督】
シアン・ヘダー
【出演】
エミリア・ジョーンズ、トロイ・コッツァー、マーリー・マトリン、ダニエル・デュラント、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、エウヘニオ・デルベス
【物語】
早朝から家族と共に漁船に乗って働くのは、女子高生のルビー(エミリア)。両親も兄も聴覚障害をもっているため、幼い時から家族の通訳係を務めているのだ。
父フランク(トロイ)、兄レオ(ダニエル)は、漁業組合に安く魚を買い叩かれ、手話で悪態をつく。そんな時にもルビーは、家族の思いをそのまま通訳するのだった。
そんなルビーに新学期がやって来た。選択クラブを何にするか友達と迷っていると、ひそかに気になっていたマイルズ(フェルディア)が“合唱”を選択したのをチェック。すぐさま、自分も“合唱”を申し込んだ。
その初めての活動。ヴィラロボス先生(エウヘニオ)の強烈なガイダンスに圧倒される生徒たち。そして一人一人の声を確かめると言い出し、順番に歌うことになった。自分の番が来たとたん、教室から逃げ出すルビー。
秘密の逃げ場所で落ち込みながら、一人歌うルビー。翌日、勇気を出してヴィー先生に謝罪に行き、何とかクラブ活動を始めることができた。
数日後、ヴィー先生に呼び止められたマイルズとルビー。先生は、今度の発表会で2人に特別メニューとして、デュエットを歌うように指示した。2人の息が合うよう練習を積むようにと言われ、ルビーはドギマギする。
その頃、漁協は荒れていた。政府から漁獲制限が課せられたのだ。そしてその確認のために漁船に乗る監視員の日当も、こちらで払えというのだ。労使はにらみ合い、会談が設定された。
フランクたちはルビーを伴い、その会談に乗り込むのであった…
【オビ☆ワン チェック】
聴覚障害の家族の中で、一人だけ健聴者の女子高生が主人公の、ヒューマンドラマです。
本作の特徴は、その聴覚障害の役を、聴覚障害の役者が演じていることです。ヘダー監督の強い要望だったそうです。そして、「愛は静けさの中に」でアカデミー主演女優賞を獲得したマーリーさんが母親役となりました。まあ、癖の強い母親で圧倒されますよ。
私は、役者とはどんな役でも演じられるスキルの持ち主と考えているので、健聴者が聴覚障害者を演じても、通常男性がトランスジェンダーを演じてもOKと思っております。それでも、本作の聴覚障害者3人の手話によるコミュニケーションは、“餅は餅屋”と言うべき説得力でした。
真面目な通訳のような会話ではなく、本音のぶっちゃけトークを手話でやるとこんな感じなんだなあと伝わってきました。
そして一人健聴者のエミリアさん19歳は、この中に混じって手話で演技しているのが、こりゃ凄いんじゃない?彼女は恐らく、本作のために手話を学んだんですよね?
本作はエミリアの歌がドラマの中心となるのですが、その歌唱力に加え、手話演技と、素晴らしい働き。これはアカデミーが押さえるべきですね☆
他にも癖が強い音楽教師も、話が進むに連れ大好きになります。そして、家族の絆。言いたいことを言い合って、それでも壊れない絆。
ストーリーの行き先は見えつつも、素直にこのヒューマンドラマに清々しさを感じたのでありました♪