Fukushima 50 2020公開
【監督】
若松節朗
【出演】
佐藤浩市、渡辺謙、緒形直人、吉岡秀隆、安田成美、火野正平、萩原聖人、平田満、堀部圭亮、小倉久寛、段田安則、篠井英介、ダンカン、佐野史郎、金田明夫、富田靖子、吉岡里帆
【物語】
2011年3月11日午後2時46分。東日本大震災が発生。
福島第一原子力発電所1・2号機当直長の伊崎(佐藤)は、揺れが収まるとすぐに緊急停止の指示を出す。電源は落ちたが、非常用ディーゼル発電機が稼働し、取りあえずの処置は成功した。
吉田所長(渡辺)も、緊急時対策室に移動し、職員全てに緊急態勢をとらせる。
しかし、想定を超えた大津波が原発を襲った。海水は建屋に流れ込み、全交流電源喪失(SBO)となった。息を呑む吉田所長。
東電本店でも緊急時対策室が設置され、現場の吉田と連絡を取り合う。日本政府もこの事態を憂慮し、菅直人総理(佐野)と枝野官房長官(金田)が、東電を呼び出し説明を求める。
伊崎たちは、車用のバッテリーを集め、重要なメーターを動かすことにした。それは、原子炉格納容器の圧力を調べるメーターだ。その数値は深刻なものだった。このまま圧力が上がれば爆発を起こし、放射能はまき散らされ、東日本が住めない事態になってしまう。
圧力を逃がすために、多少の放射能は漏れるもののベントをするべきだと吉田所長は覚悟を決める。しかし、菅総理は承知せず、また、手動でベントをするためには、すでに放射能漏れが起きている現場に、誰かが行かねばならないのだ。
【オビ☆ワン チェック】
東日本大震災の犠牲者、被害者の方々に哀悼の意を表します。また、Fukushima50をはじめ復興に御尽力頂いた方々に深い感謝を申し上げます。
門田隆将さんのノンフィクション「死の淵を見た男」を原作とする、福島原発で起きた事実を映画化した作品です。多くの取材規制にめげず、門田さんは90人以上に独自取材され、当時の様子を掘り下げて真実に迫りました。素晴らしいジャーナリストです。
映画の展開は、事実ながら非常にドラマチック。家族とのメールに涙し、所員たちや消防、自衛隊さんの責任と覚悟に頭が下がります。心震える久々のハンカチ必須映画です。
実話を淡々と描写するイーストウッド監督でも、本作の内容ならドラマチックにしか作れないであろうと思われます。
あの過酷な状況、日本が終わるかもしれない大災害。それから9年が経ちました。9年が経っても、映画のシーンからあの時の不安が蘇るものですね。でも、あの時、私たちは確かに、悼み、心を寄せ合い、助け合ったものでした。苦境を共に乗り越えようとする日本人の姿を忘れることはできません。
本作は、オープンセット、CGを巧みに取り入れた、原発現場の再現も見事でした。帰りを待つ女性を演じた女優さんたちの耐える演技も、ベテランと若手の所員さんたちのやりとりも、数多くの俳優さんたちが登場し、皆、演技に力が入っていて良かったです。
原発の是非は置いておいて、あの場で苦闘された方々の真実を、日本人として見ておきたい映画でした。アカデミー作品賞で良いと私は思います☆