東野圭吾原作の「レイクサイド」を映画化したこの作品。
中学受験を控えた3組の親子が、受験対策のための合宿で山奥の別荘を訪れる。
そこに主人公:役所広司の愛人が訪れる。
ホテルで待ってる。という愛人のもとへ、仕事だと嘘をつき、一度は行こうとする役所広司だったが、
結局彼は行くのをやめ、家族が泊まっている別荘へと帰る。
しかし、そこで待ち受けていたのは、
ホテルにいるはずの愛人の死体と、彼女を殺したという自分の妻、
そして、子どもたちのお受験のためにこの殺人を隠蔽しようというその他の親たちだった。
またしても、私のお気に入り、東野圭吾の原作。
そして、またしても東野圭吾はすごいと感じさせられる作品だった。
彼は、人間の心理描写が実にうまい。
主人公の男は、自分以外が、不気味なほどに団結し、死体を隠蔽しようとする中で、
一人、警察へ行こうと抵抗を続ける。
そんな中、子どもたちの受験はどうなるんだと、みんなに攻められ続ける主人公。
こういった状況に陥った時、人はどうなってしまうのか。
この映画は、そんな人の心の変化していく過程を、実にリアルに描いている。
あまりにリアルであり、恐怖さえ感じる。
また、この作品は、
他の映画ではあまりない、まるで舞台を観ているかのような、淡々をした、もの静かななか展開される。
普通、映画でこのようなものを見せられては、退屈で、うんざりしてしまうだろう。
しかし、
この映画は、この淡々とした雰囲気が嫌ではない。
逆に、何かに取り付かれたかのように、引き込まれる。
この淡々とした雰囲気が、この映画独特の不気味さを最大限のものにし、
よりよい作品にしている。
不思議な魔力を持っている。
他には滅多に観られない作品であろう。
実にリアルである。