厚労白書は自殺率の推移をコラムで取り上げています。1997年から98年に急増して以降、13年連続で年間自殺者数が3万人を超えています。中高年が全体の約7割、40歳~60歳代の男性で自殺者全体の約4割を占めています。

 コラムで「20~40歳代前半の、社会で活躍する若年~中堅層の自殺死亡率が近年上昇する傾向にある」と取りあげ、1980年代からの比較で2010年のデータでは、70歳以上の自殺率が下がる一方、20歳~40歳代前半が増加傾向にあることが示されています。

 白書は、その背景について「終身雇用が揺らいで雇用の流動化が進む中、非正規雇用が増加するなど、若い世代を支えるセーフティーネットが脆弱になっている可能性がある」と控えめなコメントをつけています。

 近年といえば、2008年のリーマン・ショック以降、大企業の派遣切りによって職を失うと同時に住まいまで失う若年・中堅層の労働者が大量に生みだされました。派遣労働を拡大する労働法制の改悪が行われ、今国会では「使い捨て雇用」の派遣労働を温存する骨抜き法を民自公3党の成立で賛成させています。

 自殺者数が急増を始める97年といえば、消費税率が3%から5%に引き上げられた時期です。その後に続く小泉・自公政権による社会保障の切捨て路線が、自殺率増加に寄与したことは間違いありません。

 今国会で民自公3党談合で強行成立させられた「一体改革」法は、消費税増税と社会保障改悪をいっそう突き進むものです。

【2012年9月5日付しんぶん赤旗に掲載】