さいたま市北区のアパートで20日、60代の夫婦と30代の息子とみられる男女3人の遺体が見つかった事件で、3人は餓死した可能性が高く、埼玉県警は住人とみて身元の確認を進めています。この3人は同市に住民登録しておらず、生活保護の申請もしていませんでした。捜査関係者によると、息子が以前建設関係の会社に勤務していたとみられる書類が見つかりましたが、最近の3人の就業状況は不明です。

アパート所有者の男性(57)によると、3人は11年前に秋田県大館市から引っ越してきました。アパートの間取りは2K、家賃は6万円。2年ほど前から家賃の支払いが遅れがちになり、昨夏は女性が「支払いが厳しくなった」と繰り延べを求めてきました。「それまでは遅れてでも払ってくれたので、何か事情があるのだろうと思った。お金には困っている様子だったが、健康上は特に問題はなさそうに見えた」といいます。しかし、それ以降、滞納が続きました。

さいたま市北区福祉課によると、住民登録がなくても生活保護を受けることは可能ですが、3人は生活保護申請はしていませんでした。同市は対策検討会議を設置し、今回のケースを検証した上で、どこにも相談していない困窮世帯をいかに把握するか、具体的方法の検討を始めます。
【2012年2月26日付「しんぶん赤旗」に掲載】