大震災後、25年勤めた北海道新聞社をやめてフリーのジャーナリストに。「権力の仮面を徹底的にはがしていくんだから面白かった」。道警詰め記者たちを指揮しました。「日本のメディアがどこもやってない組織的な裏金づくりを認めさせようというわけですから。やればやるほど情報が集まったし」「そんなことしたら出入り禁止になります」と弱音をはく新人記者には、事件・事故取材より絶対面白いよと励ましました。「始めると“面白い”ってなって。だって向こうが口封じしても、翌日の新聞にそれが出ちゃうわけですから」

それが、なぜ退社に。「ニュースの流れを大きく変えたかった。霞ヶ関で誰かが言えばニュースになるのに、福島の原発労働者が言ったことはならない。東京一極集中型のこの流れを」

米のインタビュアー、故スタッズ・ターケルの手法にならっているんですね。「そう。通常見えている風景をつなぎあわせると、普段みんなが見ている風景が全く違って見えてくるってことがある。そのためには普通の人にひたすら寄り添い、生の声を聞く」

退社後、出した編著書は3冊。うち2冊ーあなたの希望はと聞いた『希望』、原発事故被害者の胸の内を引き出した『@fukushima』はこの手法です。裏金追及の調査報道と違いますね。「似てるじゃないですか。大手メディアがやってないところが(笑)」