厚生労働省は9日、薬事・食品衛生審議会のBSE(牛海綿状脳症)対策に関する部会を開き、専門家らから、国内検査や牛肉輸入規制など対策全般を再評価すべきかどうか意見聴取しました。会合で再評価することへの異論はでなかったことから、同省は輸入規制緩和などにに関し、内閣府食品安全委員会への諮問内容の検討を急ぎます。
「食の安全・監視市民委員会」と日本消費者連盟は同日、「米国の肉骨粉の規制、検査態勢などの改善がみられたという証拠はない」として、見直し開始の撤回を求める抗議文を発表しました。
同省はBSEが2001年に国内で発生してから10年が経過している上、世界的にも発生が減少していることなどを踏まえ、科学的知見に基づき対策を見直す考えを示しています。米国産牛肉については、現在、月例20ヶ月以下に限定している輸入規制を30ヶ月以下に緩和する方向で検討される見込みです。
米国産牛肉は、03年に感染牛が見つかって輸入禁止となりました。ところが、米国の圧力を受けた日本政府は05年、国内の反対を押し切り、月例20ヶ月以下で危険部位を取り除いた牛肉の輸入を容認。今回の緩和はそれを拡大するもので、オバマ大統領は、9月の野田首相との首脳会談でも日本側に圧力をかけていました。首相は11月のホノルルでの首脳会談で、「BSE対策全般の再評価を行うこととし、食品安全委員会への諮問の準備を開始した」と説明していました。
【2011年12月10日付「しんぶん赤旗 」に掲載】