東日本大震災による福島原発の爆発事故で、福島県は原乳から放射線が検出され、牛乳が1ヶ月出荷停止となりました。その間、しぼった原乳はみんな捨てました。もちろん捨てるだけじゃなく、牛には餌を食べさせていました。その上、稲わらから放射性セシウムが検出され肉牛が出荷停止となり、町は二重の打撃です。肉牛はいま、通常の10分の1以下の値段です。それすら出荷できたらの話で、今は出荷そのものができない。

肥育というのはただ餌を与えればいいってもんじゃない。出荷時期にあわせて霜降りになるよう調整し、製品にしている。出荷が延びれば、体調維持のため痩せさせ、商品価値をどんどん落とすことになる。もちろん、そのあいだも餌代だけはかかります。

政府は、そんな状況の農家の気持ちも分からないで出荷停止なんて、簡単に言わないでほしい。農家は被害者ですよ。農家が悪いかのようにいわれて、畜産も稲作も、ほとほと困っています。落ち度があるのは、なんでもかんでも後手の対応になっている政府です。何か起きてからあわてて対応して、手遅れになってしまう。

1日も早く補償し、生活を守ってもらいたい。そして、全頭検査もきちんとしないと、消費者は納得しません。それらをやらなかったら、和牛そのものが日本からなくなってしまう。肉だけでなく、稲にも被害がおよびかねません。今年は気候も極めて良好で、きっと豊作になる。しかし、今のままなら、たとえ残留放射能が一切なくても、ほとんど値がつかない。出荷停止にでもなったら致命的です。町の基幹産業が存亡の危機なんです。

少なくとも福島県には、もう原発はいらない。事故でこれだけの被害を出しておいて再稼動だなんて、とてもありえない。収束するどころか日に日に悪い情報ばかり出て、被害区域が拡大している。一日も早く事態の収束と被害の補償をしてほしい。そうでないと、われわれは一歩も前へ出られません。