2019年を迎え、2018年を振り返ると、中国の環境規制はますます厳格化された。

 

一部に、「2018年は大気環境規制が緩和され、その結果11月~12月初め頃の大気汚染が悪化した」との報道があったが、その後は北京では大気環境は比較的良好であり、2018年12月北京PM2.5平均濃度は40μg/m3と前月より激減、2017年12月より改善していた。通年でも、2018年は51μg/m3であり、2017年の58μg/m3より約12%改善していた。大気環境規制を緩和したならこのような大気環境改善はあり得ない。
(参考)
http://japanese.cri.cn/20190104/27832435-eecc-2b74-f47b-e83cc238b0c2.html
http://www.bjepb.gov.cn/bjhrb/xxgk/jgzn/jgsz/jjgjgszjzz/xcjyc/xwfb/844164/index.html

 

特に中国の環境法令はこのところ制改定が急増している。環境法令に詳しい人材のいない日系企業では、おそらく単独で漏れなく適時情報収集するのがほぼ困難になっている。

 

例えば法令最上位の「法律」のレベルで言えば2018年の1年間で、土壌汚染防止法が制定されたほか、6件の環境法が改定された。この6件とは大気汚染防止法、環境影響評価法、環境騒音汚染防止法、循環経済促進法、環境保護税法、省エネ法である。全人代立法計画にあった固形廃棄物環境汚染防止法は2018年改定に間に合わず、2019年に改定の見込みである。さらに、長江保護法、資源総合離お湯法、湿地保護法、ゴミ分別法、地下水資源保護法、新エネ車管理法、生態文明建設促進法、グリーン建築法、湖沼保護法の制定や、再生可能エネルギー法、環境保護法の改定も審議される。

 

法律が改定されれば、それに合わせて下位法令(国務院が定める行政法規、省庁レベルで定める部門規章や各種標準、地方法規・地方標準)も次々に改定される。省級地方政府でも環境法規の改定が膨大である。

 

例えば2017年12月頃から2018年末頃に、進出日系企業の多い地域の省級地方議会が公布した環境条例の状況は下表の通り。

 


(出典:各種ウェブサイトを当社でまとめる)

 

これを見ると、2018年にどの地方でも環境条例の改定が相次ぎ、特に天津市、江蘇省、山東省、広東省ではほとんどの環境条例が1年間で改定されている。しかもこの表はあくまで省級地方議会(地方人民代表大会及びその常務委員会)が採択・公布したものだけであり、これ以外に省級地方人民政府の公布した環境法規、省級生態保護庁の環境法規、市級の各種環境法規、地方の排出基準等の標準、地方の各種環境通達はまた別に存在する。さらに中央の法令や省級地方条例の改定に伴い、下位法令がどんどん改定される。

 

さらに面倒なのは、環境法令とは別に、環境政策文書が多数あることである。環境政策文書とは、例えば五ヵ年計画、行動計画、実施方案などであり、企業レベルへの直接的法的拘束力はあまりないが、社名が添付リストに入っていれば、実質的に強制力を持ちうる。2018年~2020年は環境対策の中でも特別な期間であるとし、2018年に多くの重要な環境政策文書が出された。これらも企業としてはウォッチしておく必要がある。

 

環境政策文書は、中央レベル、省・市等の地方レベルで定められるが、各種環境五ヵ年計画のほか、現在その最高峰に位置するものは、「中国共産党中央委、国務院;生態環境保護の全面強化、汚染防止攻略戦の徹底に関する意見」であり、その下に「国務院;青空保衛戦勝利3年行動計画」が来る。2018年、各地ではこれに基づき、地方版の環境政策文書を続々公布した。
http://www.mee.gov.cn/xxgk/hjyw/201806/t20180625_443663.shtml
http://www.gov.cn/zhengce/content/2018-07/03/content_5303158.htm

 

例えば天津市人民政府は、以下の8件の環境行動計画をまとめて公布した。
・『天津市青空防衛戦勝利3年作戦計画(2018~2020年)』
・『天津市クリーン水防衛戦徹底3年作戦計画(2018~2020年)』
・『天津市土壌浄化防衛戦徹底3年作戦計画(2018~2020年)』
・『天津市ディーゼル貨物車汚染対策攻略戦徹底3年作戦計画(2018~2020年)』
・『天津市都市悪臭水除去防衛戦徹底3年作戦計画(2018~2020年)』
・『天津市渤海総合対策攻略戦徹底3年作戦計画(2018~2020年)』
・『天津市水源地保護攻略戦徹底3年作戦計画(2018~2020年)』
・『天津市農業農村汚染対策攻略戦徹底3年作戦計画(2018~2020年)』
http://gk.tj.gov.cn/gkml/000125014/201808/t20180820_79403.shtml

 

以上まとめると、2018年は環境法令の改定が激増し、2019年も下位法令等の制改定が膨大な数に上ると見込まれ、2018年に出された環境政策文書も2019年に細則を出すなど本格的に動き出すと見込まれる。

 

環境規制情報を漏れなく、適時収集することは、環境法務に詳しい人材がいない企業にとっては非常に困難になりつつあり、実際に当社が2018年に日系製造業8社を環境診断した際に、環境規制情報を漏れなく収集できている企業は1社もなかった。

 

日系企業の中には、開発区・工業団地等地元の環境保護局などに環境規制情報を依存しているケースも多いが、この場合も情報の漏れや遅れが非常に多い。一部、中国内の有料環境規制情報サービスを利用するケースもあるが、この場合も情報の漏れがあるケースがあり、全面的に頼るとリスクがある。中国系のサービスだと日本語がなく、日中で共有困難というケースもある。企業単独では漏れない環境規制情報収集が難しいが、当社サービスは以上の問題にしっかり対応できる内容となっている。