お迎えの車の中で、渡辺貞夫さんと僕は二人きりになって、いきなりサインをいただいてしまった。このままで終わってしまったら単なるミーハーだ。次に話すこと、いよいよ「中学生にジャズを!」である。これまでの椎名さんとの交流を話した。
 急に貞夫さんの表情が緩んだ。初対面の固い表情から一変して優しい笑顔になった。やはり貞夫さんは想像通りの人だった。音楽に厳しく、人に優しく、笑顔がまぶしい方だった。
 まもなくメンバー全員が飛行機から降りてきて、車に入ってきた。みんな、とても紳士的な雰囲気である。物静かな感じの人が多い。
 マネージャーの人とたくさん話した。親戚が釧路にいらっしゃるとのことで、車内でもいろいろな話ができた。
 ライブ会場ジャズ喫茶「this is」についた。僕にとってのジャズの聖地である。また、今日ここでの思い出ができるんだ、と感慨無量だった。