『なんとなく、クリスタル』 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

今朝は7時に起きたが、もう暑いやないかい。寝汗掻いとった。

牛乳ゴクゴク飲んでから、朝食は昨夜スーパーで半額やった鰻蒲焼き弁当。デザートは茨城産メロン1/2。

洗濯し、ダイアナ・クラールのCDアルバム「ザ・ルック・オブ・ラブ」を聴いた。

「王女未央-BIOU-」第37話と「エージェント・オブ・シールド シーズン5」第21話をギャオで見た。

ぬるい風呂に一時間浸り、NHKから国民を守る党が性急に節操無い勧誘しとるの考えとった。NHKは改めなければならぬ事多いが、立花孝志のやっとる事には疑念ある。

郵便局で国民健康保険料払うてから、昼食に蔵前「ビストロ モンペリエ」へ歩いたんやが、満席の札が掛かっとって、「ゴローゾ」へ急いだら間に合った。食えるの店主の骨折完治以来や。日替わりパスタランチを麺大盛にしてもろた。今日のパスタはシラスとコーンのスパゲッティ トマトソース。ミネストローネとハーブティーが付いて変わらず900円やった。

汗滴らせながらゆいの森あらかわへ歩いた。新聞や本読みにちゅうより涼みに行きましたんや。

スーパーで食料買うて帰宅し、ゴクゴクとりんごジュース飲んだ。

 

 

先週、オーさんとワイン飲みながら四方山話しとる時、彼が田中康夫のミリオンセラー『なんとなく、クリスタル』の話をし出したんや。洒落者オーさんは、年下の著者が書いた『なんとなく、クリスタル』なライフスタイルに憧れ抱き、あないに出来るようそれから仕事頑張ったんやて。「それで今日の私がある」と彼は語ったわ。

『なんとなく、クリスタル』は、田中康夫が一橋大学の学生の時に書いた小説や。商社マンの娘として育った東京暮らしのファッションモデルする英文科の女子大生が語る物語でんがな。彼女と共に暮らす彼は化学関係の会社経営者の息子として育ってフュージョンバンドのメンバーしとる。そう、ふたりは子供の頃から豊かな暮らしで、そんな暮らしが更に続くのを疑っとらんようなんや。でも、作者は最後、少子高齢化を示すんや。ここが味噌でっせ。

この物語には、ブランドのみならず東京の地名や遊び場、それにミュージシャンなど固有名詞が仰山出て来よるんで、東京暮らしのしかも遊び人やないと知らんもん多いんですわ。

大いに話題になった『なんとなく、クリスタル』が出た当時、ワテの周りでも回し読みしたりして侃侃諤諤語り合ったもんやが、それは物語の内容よりも描れとる風俗が専らのようなもんやった。

当時、ワテの周りではその本を誉めそやす者は居らんかった。ワテが勤める会社では嫉妬気味に語る者が何人か居ったわ。

ワテの友人達に絞れば、東京に暮らし、出て来る土地に行っとっても、出て来るミュージシャン達の曲は聴いてても、ブランドのみならずワテ等とはかけ離れた世界が描かれとるちゅう印象語る者がほとんどやった。ワテも含め友人達のほとんどには描れとるのが羨望の暮らしには思えなかったんや。

ワテがどう評価したかちゅうと、半端なく付いとる注釈は為にもなり面白かったが、物語はダサいと思うとった。つまり本文の方より注釈の方が数倍ええと思うた。それと、本文の後に少子高齢化が進む我が国を示しとるのがええと思うたが、友人達は唐突だと云う者多かった。

評価では、江藤淳がごっつ誉めとったのが記憶に強く残っとる。江藤淳が誉めるとは思えんかったさかい吃驚したが、記憶が間違いなければ、それはワテ同様注釈とタイトルの間にある読点やったはず。読点の指摘には、成程なあ、と感心したわ。

時は進み、ブランドブームが到来した。それは我が友EI君が『なんとなく、クリスタル』の感想云うた時、先取りを予想しとった。

EI君は、80年代半ばから日本経済にバブルが訪れてから田中康夫を盛んに誉めそやすようになった。EI君が云うとったのは、『なんとなく、クリスタル』はバブルになるのも先取りしとったようなもんやちゅう事や。そこ迄は深読みのように思うが。

でも現在、少子高齢化は厳しく、それ指摘しただけでも田中康夫はえらいわな。

兎も角、バブルが破裂し、その後長いデフレから脱却出来ぬ我が国。今の若人が『なんとなく、クリスタル』読んだらどない感想漏らすやろ?