『アメリカン・スナイパー』 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

『アメリカン・スナイパー』☆☆☆

今朝は8時半に起きた。

ジョン・コルトレーンの演奏をユーチューブで聴いた。

朝食は北海道産ゆめぴりか米でご飯炊き、くめ納豆、海苔で二膳。デザートは福岡産あまおう。
小雨降っとるせいか、くしゃみは出ぬが鼻水はちょっち垂れる。
アート・アンサンブル・オブ・シカゴのアルバム「ライブ パート1」をレコードで聴いた。

筋トレ小一時間した。
昼食は「ラ・ミニョネット」の後にいつの間にか開店したビストロが気になっとったんやが予算オーバーなんで入るのをためらっとった松が谷「ル グルニエ 」で初め食うた。昨夜、東陽「夢乃家」で二千円使わんかったからと己に云い訳しながらな。入ってみるとレイアウトはほとんど変えとらんけど「ラ・ミニョネット」と雰囲気がかなり違うとった。注文したんは1780円也のライトランチコースで、メインに牛ハラミのバべットステーキ 赤ワインソースを選んだが旨かった。ただ、サラダに量は多いもののドレッシングに工夫無く途中で飽きが来たのが残念。他にパン、コーヒーが付いた。マダムの目配りに感心。
帰宅途中に地場のスーパーが止めた後に開店したチェーンのスーパーに入ってみたんやが、レイアウトとか価格の表示方とか改善点が目に付いた。今流行りなのか酒スペースの割合が高い。とは云うても、「常陸野ネストビール」は置いとったが、スペースにしたら飲んでみたい酒の割合は低い。それで、買うたのはヨーグルト、豆腐、草大福。
雨が止んだんで、小さな庭の草むしりした。
草大福食いながら「NIKITA/ニキータ シーズン1 」第14話をギャオで見とったら、黒澤明の「用心棒」の話が出て来た。
それから格闘技をユーチューブで見た。

夕食はカナダ産豚肉、群馬産ほうれん草、北海道産玉ねぎを炒めご飯と食うた。デザートはグレープフルーツジュース入りヨーグルト。
脚本家ポール・ハギスの初監督作品「クラッシュ」をギャオで見て唸った。脚本家が初監督でここ迄の作品撮れるとは。
牛乳飲んでから風呂に一時間半ゆっくりと浸かって、このところ米国に言動を釘刺されとる安倍晋三政権の自衛隊海外派兵の事考えとった。


昨日は木場へ歩いて行き、名匠クリント・イーストウッドの最新作をM君と観て来た。
劇場を出て遅い夕食に行く途次「これでアカデミー作品賞も監督賞も無いんかいな。平和なハリウッドのアカデミー会員の皆さんには受けなかったんやなあ」と溜息混じりでM君に云うたら、「政治的立場がそれを許さない人が多く居るから」と云われた。
戦争により徐々に蝕まれてゆくレジェンドと呼ばれた実在の兵士の伝記ドラマやった。何が蝕まれてゆくのか。それは頑健な男の精神であり、愛する家族との関係や。
ブラッドリー・クーパーが、頑健だったがPTSD患ってゆく主人公の心情を理解した演技で務めとるのがええ。
最強の狙撃の腕を持ち狼から米国を守らなければならぬと責任感強いイラク戦争に四度出征した海軍特殊部隊ネイビーシールズ所属のクリス・カイルは、味方にとっては頼もしい狙撃手や。イラク戦争において160名以上の敵を射殺したんやから英雄や。
しかしながら、既にイラクが大量破壊兵器持つと偽って始めたブッシュの戦争が愚かしい事は知られ亘っとる。
手練れのイーストウッドやから描き方は巧妙や。
子供の頃クリスは父に云われる。「人間には三種類ある。羊と狼と番犬だ。お前は番犬になれ」
長じて狙撃手となったクリスは、照準器の中の子供がアルカイダの自爆要員であるなら排除すべき物と見做し容赦無く撃ち殺さなければならない。そこは殺意が乱れ飛ぶ煉獄なのやから。
また、巻き込まれてアルカイダと米兵との板ばさみになり殺されるイラク庶民の憐れな姿も描かれとる。
状況考慮せず自分達を危険に晒す米兵の振る舞いに怒り非難するイラク庶民の姿も描かれとる。庶民に反米意識が浸透してゆくんや。
戦争により蝕まれてゆく人々は、戦闘エリアだけに止まらぬ。出征兵士の留守家族が抱える不安や鬱屈なども描かれるんや。
そして、家族が直面する問題は兵士が無事帰還しても無くなりはせぬ。戦場で心に負った深い傷がトラブルを引き起こすからや。
英雄であるクリスも帰国すれば夫であり父親であり普通の人間に戻らなならぬ。そやからこそ、バーに立ち寄りカウンターで一時を過ごさなならんのや。そうせぬと家族に会えぬシーンがあり、クリスの心境が痛く響いて来よった。
ところが、不安を抱える者同士やから、次第にパートナーと軋轢を生んで行くねん。生きて戻っても帰還後には負傷の問題ばかりやないねん。
戦場で体の一部を無くした者の中にも命のある事に感謝し前向きに生きる人も居るが、戦場において生じたPTSDに向かい合えない者達の中には、はるかに安全な母国に移ってから自殺する者も居る。
安倍晋三政権が我が自衛隊に課そうとしよる戦闘活動にはこうした大いなる負の重荷が圧し掛かる。その事をきっちり把握し対処策をしっかり講じとかなあかんのやが、安倍晋三政権はどうか?
戦争は、小さなきっかけを理由にして政治によって始まる。政治携わる者の思惑によって始まる。
しかし、実際に戦闘の地へ赴くのは政治に携わる者ではありえず庶民である兵士や。
紛争地域に入れば遣る事が後方支援であろうとも敵対行為やさかい狙われる。
そして、統計に出る死者と統計に出無い屍、心に深く傷負った人々を生み出すと事となる。
イラク戦争に派兵された米海軍特殊部隊最強の狙撃手は、己がPTSD問題を抱えながらも萎えずに退役すると同じく心の傷を抱える退役軍人の支援活動に取り組む事に決めた。クリスは、銃後でも番犬たる事を続けるんや。
クリスが息子にじゃれる犬に殴り掛かろうとして妻に止められた時、ワテの目から涙出始めたが、父の願い通り番犬たろうとしたクリス・カイルの迎える思いがけぬ結末は悲劇としか云い様が無いが、彼は息途切れる時神を信じたやろか?
国の英雄は死してなお盛大な葬儀で為政者のプロパガンダに利用された。これが更なる悲劇でなくて何であろう。