コロナ最大の謎 | 私、BABYMETALの味方です。

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★今日のベビメタ
本日3月30日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

■武漢ウイルス関連データ
●累計
・感染国 206か国・地域(香港、台湾、マカオ、欧米諸国の海外領を含む。)
 うち1000人以上42か国、うち100人以上106か国
・世界 感染確認者634,835人/死者29,957人
・日本 感染確認者1,866人(206か国中29位)/死者55人(206か国中23位)
●10万人当たり
・世界 感染確認者8.23人/死者0.388人
・日本 感染確認者1.48人(106か国中77位)/死者0.043人(106か国中56位)
●現在治療中(感染確認者-回復者-死者)
・世界454,549人 日本1,378人(206か国中33位)
出典: WHO「Situation Report」、厚労省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況について」、NHK「NEWS WEB」

今日もクイズからスタートです。
問い TVでコメンテーターが次のような発言をしました。この中で誤っている点を3つあげなさい。
発言 「日本は比較的感染者が少ないようで、ちょっとホッとしますけど、それは検査数が少ないからと言われてますよね。実際には10倍くらいいるということだったらドエライことですよ。しかも日本は他国と比べると死亡率が高いじゃないですか。いやー本当に怖いです」

今回は答えを先に書いてしまう。
答え 次の中から3つ。
・他国に比べて日本が少ないのは「感染確認者」であって、「感染者」ではない。
・日本でPCR検査数が少ないのは、CT検査などで予備検査を行い、疑わしい患者だけに最終確定診断としてPCR検査を使っているためである。しかも、厚労省では、1人の患者が何度か検査を行っても1件とカウントしている。したがって日本の検査数が少ないというのは、実は正しくない。
・実際の「感染者」が現在の感染確認数の10倍、累計で2万人いたとしても、10万人当たり16人程度に過ぎない。ちっとも「ドエライこと」ではない。インフルエンザ患者は725万8000人もいる。
・「死亡率」と「致死率」は違う。日本の「死亡率」は、10万人当たり0.043人=230万人に1人の割合で、先進国中最低である。怖がる必要はない。

メディアによれば、世界中に武漢ウイルスの感染が広がる中、日本は緊急事態宣言もせず、人々は相変わらず通勤したり、買い物したりしているのに、感染者数も死者数も少ないことに世界各国が驚愕しているという。アメリカではこれを「コロナ最大の謎」と言っているらしい。
その理由としてよくあるパターンの一つが「感染者が少ないのは検査数が少ないからだ」「東京オリンピックを控えていたから、政府が感染者数を隠蔽しているのだ」という悪意に満ちたプロパガンダである。これはもはや論外だろう。
もう一つのパターンが、「日本人は公衆衛生観念が高く、挨拶で握手やハグやキスをしない」「強制されなくてもマスクをし、人との距離をとり、よく手洗いする」といった国民性に理由を求めるものである。
厚労省から発表された国内感染確認者の中で外国籍の方の比率が高いことから、このことはある程度裏づけられるが、これは防疫上の決め手でも「謎」の答えでもないだろう。
何度も繰り返すが、感染確認者の実数には意味がない。どの国でも、検査で陽性が確認できるのは、実際の感染者の一部に過ぎないからだ。
したがって、「日本の感染確認者数が少ない」ことを「謎」だととらえること自体、誤っている。
さらには、それを「日本の防疫体制=アベ政権がダメなこと」の理由にしようとしても無駄である。
感染確認者のうちの死者数=「致死率」も、感染確認者数を分母とするのだから、あくまでも「その国の医療体制の中で、確認された感染者の死亡しやすさ」をはかる臨床的な意味しかない。日本では、重症化しやすい患者を優先的にPCRで陽性診断しているから、「致死率」が高くなるのは当然である。
中国国内のデータだけの時期なら、「致死率」は、未知のウイルスだった武漢ウイルスの「危険度」を示すと考えてもよかったが、世界中に広がった現在、「致死率」は各国の感染確認状況と医療体制によって意味はまちまちであり、それを防疫体制の国際比較の指標にするのは大間違いである。
以上を踏まえれば、先ほどのコメンテーターの発言は100%間違いだということがわかるだろう。
発症までの潜伏期間が長く、致死性が低い=感染力の強い風邪やインフルエンザのようなウイルスを人間が制御することはできない。だから「感染確認者数」が増えることに一喜一憂しても無意味だ。
大事なのは、重症化して主に高齢者が亡くなる「ことがある」という武漢ウイルスの特性をふまえ、死者をどのくらい減らせるかということである。
つまり、防疫体制の可否や武漢ウイルスの「怖さ」は、「感染確認者数」ではなく、人口当たりの死者数=「死亡率」で評価されるべきなのだ。
ところが、日本でも世界でも、マスメディアは感染確認者の累積数ばっかり報道して不安を煽るから、一般視聴者や、言論人も含めたネットユーザーも、大半がこれに気づかない。
特に1都3県で「外出自粛」となった土日は、すべてのマスコミが「日本でも感染爆発」と報じていた。有名コメディアンが集中治療を受けていることで、日本も武漢市やイタリアのような「地獄絵図」になるかのようなイメージが広がっている。
だがあえていおう。一世を風靡した有名コメディアンと一般の高齢者は等価である。
インフルエンザと、風邪をこじらせた肺炎で亡くなる高齢者は、毎年合計10万人いる。有名人も亡くなっている。たまたま、そうなるかもしれない病状になっている一人が有名コメディアンだというだけであって、それもまた「平時」の状態なのだ。ぼくはいくら非難されてもかまわない。有名人が罹ったからといって、「自分の身が危ない」「日本全体が危機である」ということはないのだ。
感染者の広がりは危機そのものではない。人口当たりの「死亡率」が問題なのだ。
例えば、人口3万3,000人のサンマリノでは、感染者確認者数はわずか233人だが、22人が亡くなっており、これは1,500人に1人の割合だ。1学年250人の小学校やご町内で必ず1人が死んでいる。これは怖い。
PCR検査を大規模に実施したため医療崩壊してしまったイタリアでは、死者実数が1万人を超えた。
10万人当たりでは16.572人=6,034 人に1人が亡くなっている。これは、ひとつの村あるいは都市の1ブロックや大規模マンションで必ず1人が死んでいるということだ。イタリア人にとっては、「武漢ウイルスによる死」が身近に迫っている感じだろう。
しかし、感染確認者数世界一になったアメリカの死者は、10万人当たり0.745人=13万4,270人に1人である。小さな市で1人亡くなっているという感じだが、交通事故やその他の病気を考えると、武漢ウイルスはまだそれほどの脅威とは受け止められないだろう。トランプ大統領が「早く経済活動を再開しよう」と言っているのも当然なのだ。
2月に感染確認者の爆発的拡大をした韓国では、3月から軽症者を病院とは別の施設に隔離する方針をとり、重症者の手当に集中した。その結果、死者の実数は144人だが、10万人当たりでは0.288人= 34万7,566人に1人というレベルに抑え込まれている。これは評価されるべきだろう。
発祥地の中国に関しては、感染確認者数も死者数も実際の数とは違う可能性が高いが、統計上は、10万人当たり0.234人=42万6983人に1人である。この数字を見れば、中国人は、自分が死者の1人になるという恐怖感は抱かないだろう。
正確な情報公開が感染症法で定められている法治国家日本の人口は1億2600万人だが、武漢ウイルスの国内感染で亡くなったのは55人。10万人当たりでは、0.043人=230万人に1人の割合である。「国家存亡の危機」にはほど遠い。
繰り返すが、国の防疫体制の評価基準は、国民がその病気に罹って死ぬ確率を低く抑えることである。
日本政府、厚労省、専門家チームはそこから対策を構築し、全国各地の医療従事者=コロナファイターたちもその方針に従っている。
もちろん、他国の保健当局もそうだったろう。だが、他国が検査キットを大量に使って罹患者をできるだけ多く発見し、隔離するという方針をとったのに対して、日本のとった戦略は明らかに異なっていた。
まず始めに、政府は国民に向けて「手洗い、消毒、マスク着用といった医療マナーを守る」「発熱した場合は、高齢者は2日、健常者は4日間様子を見てから、保健所に連絡して指示に従う」というアナウンスを行った。
その後、クラスターの存在が明らかになると、「密閉した空間に多くの人が集まらない」ことも加わった。
中国からの渡航に関しては、湖北省と浙江省のパスポート保持者のみ制限するという方針をとった。
これに対して、主に保守系言論人から「手ぬるい」「中共の生物兵器かもしれない。今すぐ中国全土からの渡航を禁止せよ」「安倍首相は国民の命より習近平が大事なのか」といった激烈な批判が浴びせられた。
だが、政府は動じなかった。
専門家チームは、2つの理由から、クラスターが起こった場所など、感染者に接触した疑いのある人を優先してPCR検査にかける「積極的疫学調査」戦略を取っていた。
一つは「重症化しやすい高齢者や有病者を早期に見つけて治療する」ため、もう一つは「軽症者や偽陽性の患者を隔離しなければならなくなることで医療崩壊を起こさない」ためだった。
今度はマスコミ・野党が「韓国のように国民全員にPCR検査をやらせろ」と喚いたが、その方針は揺るがなかった。いや、実際には左右からの批判に、政府は相当グラグラしていたかもしれない。
2月の終わりに、安倍首相は、習近平首席の国賓招待を延期し、中国全土と韓国の全面渡航禁止を決め、大規模イベントの自粛と全国の小中高校を一斉休校することを「要請」し、「医師の判断があればPCR検査が受けられるように体制を整える」と言明した。
3月に入って、中国の感染確認者・死者数の増加はぴたりと収まった。3月10日前後になると、中国政府は「このウイルスは中国発祥ではない」「早期収束させた中国は感染国を支援する」として、ヨーロッパ各国への支援に力を入れ始める。現在までに、中国はイタリア、セルビア、フランス、ギリシアなどに医療支援を行い、スペインには550万回分の「検査キット」を提供したことがわかっている。
だが、欧米の感染確認者数が爆発的に増えていくのは、実にこの時期からである。
日本でも「中国企業による簡易検査キット」の売り込みが始まったが、現在に至るまで、厚労省は、簡易キットを確定診断には用いず、PCR法による陽性判定を最終判定としている。
実は日本には、PCR検査を含めた臨床検査・機器メーカーがいくつもあり、むしろ「輸出する側」だった。
例えば、滋賀県草津市に本社のあるタカラバイオは、2月上旬から中国・大連にある工場で1週間あたり25万人分のPCR検査薬を増産していた。
プレシジョン・システム・サイエンス(千葉県松戸市)は、東京農工大と共同で、130分で結果の出る自動PCR検査システムを開発した。これはイタリアでも使われたという。
みらかHD(旧富士レビオ、東京都新宿区)は、全自動化学発光酵素免疫測定システムや迅速診断キットの開発ノウハウを応用し、短時間で解析結果が得られる検査試薬を開発。同社はアメリカ、スウェーデン、中国、台湾、ベルギー、ブラジル、イタリア、ドイツ、スペイン、フランス、インド、シンガポールに支社がある。
キヤノンメディカルシステムズ(栃木県大田原市)は、長崎大学と共同で、傘下の栄研化学(東京都墨田区)が開発したLAMP法を応用し、「最短12分程度で結果が出る」検査システムを開発した。
このように、日本は、PCR検査や臨床検査の「本場」であり、「中国の簡易検査キット」が入り込む余地がなかったのである。
それに加えて、日本にはPCR検査の確定診断を行う前の予備検査として、発熱や咳のある患者の胸部をスキャンするCT装置が世界一多かった。
日本のCT保有数は100万人あたり107.2台である。
G7先進国平均は25.2台、OECD関連国の25.4台。日本では、大病院だけでなく、医師一人だけの町医者=クリニックでもCTを保有しており、日本全国津々浦々、実に1万台以上のCT装置があるのだ。
発熱の症状があり、医師が要検査と認めた場合、日本ではまずCT検査を行って、肺炎様の症状が認められればPCR検査のプロセスに入るが、軽症者の場合、風邪やインフルエンザと同じく自宅療養を勧められる。それで治ってしまえば、風邪かインフルエンザか新型コロナかは問われることがない。
ただし、それは決してテドロスのいうように「手探りでは戦えない」ということではない。ちゃんと医療プロセスに入っており、仮にそこから症状が悪化すれば、PCR検査に回り、陽性なら隔離される。
つまり、日本がとっているのは偽陽性や軽症者に医療リソースをとられることなく、重症者に集中できるしくみなのだ。
それができたのは世界一のCT保有国だからである。隔離後に肺炎がひどくなり、呼吸困難になった場合に用いる人工呼吸器の数も、約2万台と世界最多水準である。
さらに言えば、医療費が安いのに、これほど充実した医療設備が実現したのは、国民皆保険=レセプト制で収入が保証され、町医者でも設備投資ができたからである。
これが、「コロナ最大の謎」=日本の感染確認者数が少なく、死亡率が低く抑えられている主な理由である。
つまり、防疫の本質=「感染者が増えても、感染確認者をむやみに増やさず、重症者に集中できる医療キャパシティの範囲内に抑え込んで、死亡率を低くする」という専門家チームの方針が、世界でただ一国だけ、正しく実現できたということだ。
WHOによるこの感染症の定義は以下のとおり。
「SARS-CoV-2は主として、咳やくしゃみで出た呼吸器飛沫を介して、インフルエンザと同様の経路でヒトとヒトの間で感染する。感染から発症までの時間は通例5日であるが、人によって2日から14日までの幅がある。感染しても無症状のまま経過することも多いが、症状としては発熱、咳、息切れなどを伴うことがある。合併症としては、肺炎や急性呼吸窮迫症候群などを伴うことがある。」
このウイルスは肺炎ウイルスではなく、インフルエンザ同様、「合併症」で肺炎を起こす「ことがある」というだけなのだ。
日本政府や厚労省は、この定義に基づき、インフルエンザや風邪と同じような感染症対策を基本にした。
ところが、武漢市の惨状から、他国の保健当局はこの定義を信用せず、「感染者の隔離が最善」と思い込み、検査数をできるだけ多くした。その結果が爆発的感染確認者の拡大である。
風邪と同じだから、感染拡大を防ぐことは基本的に難しい。だが、一部の高齢者のみが肺炎になるだけならばその対処を行なえばよいと、腹をくくれなかったのだと思う。
医療リソースも整っていないのに、強権で武漢市を封鎖して「武漢の地獄絵図」を作り出した中国政府と、その「地獄絵図」を報道し続け、不安を煽って、世界的「インフォデミック」を引き起こしたマスメディアの罪は重い。