アイドル戦線の現状(6) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-


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May the Fox God Be with You―

★今日のベビメタ

本日1019日は、2011年、BABYMETALFacebookページが開設され、2013年には、DVDLive LegendIDZ Apocalypse」が発売された日DEATH

 

さて、BABYMETALである。

「アイドルとメタルの融合」をコンセプトとしたBABYMETALは、今年結成以来の危機を迎えることになった。

それは2018年がキツネ様の天敵、戌年だからである。

今年11日のブログで、ぼくはこう書いてしまった。

「今年の「戌」は「滅」(めつ:「ほろぶ」)で、草木が枯れる状態を表しているとされます。縁起でもない。だから、ぼくらメイトには、狐年。古い”何か”が滅びる年なのかもしれませんが、新たな希望が芽生える年、BABYMETALにとっては飛躍のThe Fox Yearということになってほしいですね。」

それから一週間後の18日、小神様が15日に亡くなっていたことが発表された。

5月のWorld Tour 2018in USAでは、YUIMETALの欠場と、BABYMETALDark Sideに変わっていたことが判明した。当初、衝撃が走ったが、SUMOAの頑張りはもちろん、2人のダンスの女神、ISAO神の気合に満ちたパフォーマンスを見たぼくは、ただちに嘆くのをやめ、現在のBABYMETALを絶対に支持すると決め、ファンカムを追い続けた。

新曲4曲を投入した運営の意気込みに心を動かされ、宇佐美神の悲愴なツナギのオケからの2人のダンスの女神による「紅月-アカツキ-」のパフォーマンスがアメリカ人を熱狂させているのを見て、何度も涙した。

6月のDownloadフェスティバルでは、直接Dark Side BABYMETALを見ることができ、欧米のメタル市場で、BABYMETALが間違いなくトップレベルの演奏力、パフォーマンス力、集客力を持つ人気グループであること、欧米で新たな若いメイト層が生まれているのを目の当たりにした。

アンチどもが、YUIMETALの欠場をもって、「オワコン」と揶揄するのが、まったくの見当違いであることが確認できた。

ただ、日本では、今年のBABYMETALは、あたかも喪に服しているかのように、国内ライブも行われず、夏フェスにも出演しなかった。地上波テレビ・ラジオはもちろん、『ヘドバン』以外の国内雑誌には記事すら掲載されなかった。

マニアックな地下アイドルか、海外では有名だが、日本ではニュースバリューのないヘヴィメタルバンドになったかのように見えた。

ところがどっこい、8月にリリースされた『Legend-S-洗礼の儀』のBlu-Rayは当然のようにオリコン1位になるし、ヨーロッパのRecord Day1123日に発売される完全限定30LP盤「Distortion」もアスマートでは在庫切れ、アマゾンでは5000円近いプレミアがついている。World Tour in Japan@幕張メッセ&神戸ワールド記念ホールの一般チケットは、ほぼ一瞬で売り切れた。

要するに日本でのBABYMETALは、2016年のような「すそ野の広がり」はなかったにしても、小さくない規模の固定客=ファンベースが形成された特別なアーティストになったのだ。

そしてぼくが思うに、これこそ「アイドル」の再定義であり、新たなアイドル像である。

かつて、「アイドル」ファンは日陰者であった。

オタクという言葉は一種の、差別用語とまではいかなくても、「自宅」にこもり、通常のコミュニケーションができない「別人種」を揶揄する言葉だった。

欧米でも同様に、オタクという意味を表すNerdsという言葉は、運動が苦手で、パソコンやコミックスやゲームに夢中で、内向的な男性をからかう言葉だった。アメリカ人は、スポーツ万能で、快活で正義感に満ち、クラスのリーダーになるような「大統領タイプ」を理想とするから、Nerdsはその対極だ。

音楽に関しては欧米と日本で違いが出た。

欧米のNerdsは音楽的にメタルと親和性があった。元メガデスのマーティ・フリードマンは、「メタルはモテない男の子の音楽。ディスコへ行って女の子と遊ぶなんて到底できないから、一人寂しく部屋でギターの練習をしている」というようなことを言っていた。欧米ではメタルヘッズはNerdsの属性の一つだったのだ。

一方、日本ではアイドルオタク、ドルヲタという言葉があるように、内向的で、生身の女の子とつきあえない男の子が、アニメや「アイドル」にハマるという現象が起こった。そもそも音楽性にはこだわらず「成長を見守る」「疑似恋愛対象」としての「アイドル」というのは日本特有の存在だった。

しかし、欧米のNerdsも日本のオタクも、2000年前後のネットバブル以降、社会の表舞台に浮上してきた。パソコンやインターネットは、経済のけん引役であり、PCや携帯のアプリケーションソフトやゲームを作ったり、ネットをベースにした新ビジネスを「立ち上げ」たりしたオタクは大金持ちになり、オタク的感性は「クリエイティビティ」として評価されるようになった。

日本では「アイドル」にハマるオタクは、肯定的にとらえられるようになった。オタク論、サブカル論も盛んになり、経済主体ないし社会現象として「市民権」を得たのだ。

モーニング娘。、AKB48、アイドリング!!!、ももいろクローバーZなどの有名アイドルはテレビ番組の常連となり、プロデューサーの方法論が「ビジネスモデル」として語られるようになった。

さくら学院が結成された2010年ごろになると、「巨大勢力アイドル」AKB48グループを頂点として、ローカルアイドル、地下アイドルを含め、全国に1万人以上の「アイドル」が生まれ、年に一度、お台場のTIF(東京アイドルフェスティバル)に集結する「アイドル戦国時代」=アイドルブームが起こった。

「アイドル」はまた、世界的な「日本ブーム」に乗って、ヨーロッパ、アメリカ、東南アジアの「ジャパンカルチャーフェスティバル」に呼ばれるようにもなった。

さらに、高速回線の普及により、PCやスマホで動画が自由に視聴できるようになり、日本の「アイドル」は世界に直結するようになった。

ところが、テレビの露出が多く、ネット動画でもMVが頻繁に出る日本の有名「アイドル」は、一度目はともかく、海外ツアーを持続できず、結局日本市場に閉塞していった。

それはなぜか。

例えばフランス、例えばロサンゼルスのジャパンカルチャーフェスやアニメフェスに呼ばれた「アイドル」のファンカムをいくつか見ればわかる。

現地のファンが日本風にサイリウムを振りながら期待して見ているのだが、「アイドル」のパフォーマンスは口パクでなければ、ドヘタだった。日本の「アイドル」は1グループに何十人もいるし、親しみやすいので「推し=疑似恋愛対象」を見つけやすいが、肝心の音楽性はというと、生歌ならピッチが外れ、ダンスは学芸会レベルだった。

2000年代初頭、韓国政府の後押しもあって世界に輸出されたK-POPグループは、日本の「アイドル」に比べて、ビジュアルも、ダンスや歌唱のレベルも「プロ」だった。

アジアなら日本の文化に憧れている人が多いから、素人っぽい日本人「アイドル」でも受容されるかもしれない。だが欧米では通用しない。欧米でアイドル人気のポップアーティスト、例えばアリアナ・グランデでも、アヴリル・ラヴィーンでも、歌唱力、ダンスパフォーマンスは、圧倒的なクオリティを持っている。

だから、日本でトップクラスの「アイドル」は、欧米ではメインストリームにはなり得ず、日本のサブカルチャーファン層=オタクにしか需要がない。

自動車、電化製品、日本料理やジャパニメーション、便利グッズに至るまで、日本のプロダクツは世界をうならせてきた。日本製品のクオリティを愛するのは、オタク層だけではなく一般的な現象だ。

しかし、こと「アイドル」に限っては、欧米で受け入れられているのはごく少数で、しかもそれは日本でトップクラスと目される「アイドル」グループではない。

要するに、2010年前後、盛んに「ビジネスモデル」や「事務所の戦略」として語られた「アイドル」は、日本市場だけでのこと、有効射程距離は短かった。

だがBABYMETALの出現で潮目が変わった。

BABYMETALは、2014年、「ギミチョコ!!」で日本の「アイドル」=Kawaii Metalとして紹介され、ソニスフィアに6万人の観客を集めた。もし、BABYMETALが「設定」だけの素人っぽい「J-POPアイドル」だったら、小便を入れたペットボトルを投げつける用意をしていたメタルヘッズもいたという。そうなったら欧米市場で二度とライブはできなかっただろう。

だが、ソニスフィア2014でのBABYMETALのパフォーマンスは、「ギミチョコ!!MVをはるかに超えていた。SU-の歌唱は地平線の彼方に響き渡り、YUIMOAの全力パフォーマンスや笑顔は、メタルヘッズ=Nerdsの心を虜にした。

欧米のNerdsはメタルと親和性が高い。元Nerdsが起こした新興企業がメタルフェス、オルタナティヴロックフェスをサポートしたりすることだってある。

そのメタルというジャンルで、歌唱力、ダンス力、演奏力がそろい、なおかつ可愛いティーンエイジャーの女の子たちが登場したのだ。ウケないはずがない。それを日本のメタルゴッド、伊藤政則は2014年に「ズバリハマるでしょう」と予言し、そのとおりになった。

BABYMETALは、初めて欧米に登場した「本物の日本のアイドル」だったのだ。

いいかえれば、日本市場だけにしか通用しない「アイドル」に変わって、日本のオタクと欧米のNerdsの両方に愛されるのが、新しいアイドル像なのである。

結成は前後しても、BABYMETALの成功に刺激されて、音楽性を前面に出すアイドルグループが続々と誕生している。

もちろん、従来の「標準」として、地上波テレビで、芸人にイジられながらバラエティタレントを演じる「アイドル」や、「設定」に従って、観光や特定ジャンルの商品キャンペーンを行うローカルアイドルも頑張っており、「アイドル」は成熟市場となっている。

だがその中でも、音楽性にシフトする傾向は各所に見られる。

欅坂46は、秋元康プロデュースの「アイドル」の中で、もっとも表現力にシフトしたグループとして結成された。乃木坂46は全国ライブツアーに力を入れてきたし、12月には初の単独海外ライブを行う。

少なくとも、「疑似恋愛対象」「グループ内競争」で推しファンを獲得しようとする「ビジネスモデル」のうさん臭さは、ほとんどの日本人が感じているのではないか。

これからは「ビジネスモデル」や「事務所の戦略」ではなく、シンプルに楽曲の良さやライブのクオリティ、集客力こそ、アイドル生き残りの必須条件となるだろう。要するにロックバンドやアーティストと同じだ。

「アイドル」は平成という時代とともに終焉する、かもね。

(この項終わり)

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