アイドル戦線の現状(4) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-


テーマ:

May the Fox God Be with You―

★今日のベビメタ

本日1015日は、2015年、World Tour 2015 in Japan@東京・Zepp Diver Cityが行われ、2017年には、巨大キツネ祭り@大阪城ホール2日目が行われた日DEATH

 

世間に知られるヒット曲を歌い続けていくことで、その歌手の全体像ができてくる。

「東京キッド」「港町十三番地」「リンゴ追分」「悲しい酒」「真っ赤な太陽」「愛燦燦」「川の流れのように」が「美空ひばり」を作った。

「青い果実」「ひと夏の経験」「横須賀ストーリー」「プレイバックPart 2」「いい日旅立ち」「美・サイレント」「さよならの向こう側」が「山口百恵」を作った。

そういう意味で、ヒエラルキーの下位にいる「アイドル」が「巨大勢力」の壁を突破し、下剋上を果たすには、一世を風靡するヒット曲によって認知されるという古風なやり方が有効なのではないか。

きゃりーぱみゅぱみゅは2011年にYouTubeにアップした「PONPONPON」で欧米人に知られるようになった。

BABYMETAL2014年に欧米ツアーを成功させる起爆剤になったのは「ギミチョコ!!」のライブ動画だった。

PPAPは、たった一人で楽曲と動画を作り、世界的一発屋となった。

DA PUMPが「U.S.A」をアップしたのもYouTubeだった。

もちろん、そう簡単に大ヒット曲が作れるわけではない。

ただ、現在、音楽は、高名な作詞家、作曲家、編曲家、演奏者をそろえなければ作れないというものではない。DTMソフト、MIDI機器、動画編集ソフトの性能は日進月歩で進化しているし、価格は安くなっている。

YouTubeにアップするMVなら、意欲と才能さえあれば誰でも作れる時代である。

大手事務所がメディアミックスを使ってキャンペーンしなければ、今時CDなど売れないのは事実だ。

しかし、YouTubeで視聴件数を集めるのが目的ならば、そもそもCDを売る必要もない。

その曲が話題になり、「商品価値」が認められれば、大手レコード会社や芸能事務所の方からメジャー契約を持ちかけられる。条件が悪ければ、インディーズのまま、じわじわと全国でライブ活動を続けていくこともできる。ロックバンドと同じだ。

というか、これこそ古今東西、新人ミュージシャンの王道である。

曲よりも人、未熟なまま、ヲタのサポートありきの「アイドル」という業態の方が不可思議なのだ。

ここ数年集客力が急上昇しているニューウェーヴ・アイドルユニットゆるめるモ!(けちょん、しふぉん、ようなぴ、あの)は、フリーライターだった田家大知が、ももいろクローバーの「ピンキージョーンズ」にインスパイアされ、「つらい時には逃げてもいい」をテーマに、街頭でメンバーをスカウトするところからスタートした。

ゆるめるモ!というネーミングは、「窮屈な世の中をゆるめる」という意味と、You’ll Melt More(あなたをもっととろけさせる)という意味が込められているという。

素人だった田家Pが、ゆるめるモ!を育ててきた経緯は、『ゼロからでも始められるアイドル運営 楽曲制作からライブ物販まで素人でもできる!』(大坪ケムタ、田家大知著、コア新書005)に詳しい。

田家の持論は、ももクロファンらしく五人組最強説だが、2012年結成時四人組だったゆるめるモ!は、最大九人組だった時期を経て、現在は四人組に落ち着いている。結成時からのメンバーは、けちょんだけで、残りの三人は1年後に加入した“三期生”である。

2016年4月に、山里亮太と唐橋ユミがMCの『ほぼほぼ~真夜中のツギクルモノ探し』(テレビ東京、日曜2:10)がスタートした。

ゆるめるモ!、Predia、生ハムと焼うどん、しーくいーんなどのちょっと異色な「次世代アイドル」と、バイク川崎バイク、ANZEN漫才、ニューヨーク、鬼越トマホークら「次に来る」芸人とのコラボだったが、その中でゆるめるモ!のあのちゃんは、その可愛さと予測不能な言動で、たちまち番組の中心人物になってしまった。これは、2017年3月にリニューアルした後継番組の『深夜に発見!shock感〜一度おためしください〜』(同)でも変わらない。

『ほぼほぼ』が始まってすぐ、メンバー二人が抜け、現在の四人体制になったが、ゆるめるモ!の集客力はこのあたりから急上昇していく。

元々、結成して半年で、阿佐ヶ谷ロフトでの単独ギグをこなし、約1年でミニアルバムを全国流通させ、2年弱で1stフルアルバムをリリースし、渋谷LIQUIDROOMで初のワンマンライブを開催しチケット完売、1000人を動員するなど、田家Pの戦略はインディーズロックバンドと同じだった。

楽曲の曲調は、ニューウェーヴ、オルタナティヴで、歌詞の内容は、自閉症、引きこもり、自傷といった心理状態を乗り越えていく「心象風景詩」だった。

橋本環奈と並べられるほど可愛いのに、普段は青白い顔色で、断片的で寸鉄胸をえぐるような言葉しか話さない不思議ちゃんキャラのあのちゃんは、ライブになると絶叫し、か細いがよく通る声で歌い、果敢に客席にダイブするなど、コンセプトの体現者であり、理想的なフロントマンだった。

けちょん、しふぉん、ようなぴは、マイペースのあのちゃんをサポートするお姉さん役だが、ライブでは客席を煽りまくり、熱狂の渦に巻き込んでいく。

20173月、番組主催の「ほぼほぼフェス」が豊洲PITで開催された。

ゆるめるモ!の出番で、7分強の代表曲「Only You」が演奏されると、控え室で見ていたMCの唐橋ユミは、感動のあまりボロ泣きしてしまった。

―「Only You」より一部引用―

♪音楽が繋がるのは 今だけなのなら

なおさら 歌をやめてはいけない

再生がそれぞれの解釈になるのならば意味がないよ

美談はいらないんだよ 世界の性格なんかに反応したくはない

いつも秩序と法則が下らない方へ行くの壊せ疑問を持て

Only You

―引用終わり―

「アイドル」にはいくつかの要素がある。

ひとつは、男性ファンにとっての疑似恋愛対象。「会いに行けるアイドル」「推しメン」「握手会」「シングル選抜総選挙」などはこの要素が強い。だが、この要素だけで「アイドル」を売ろうとする運営は、下の下であるとぼくは思う。

もうひとつは、その頑張りで人の心を打ち、勇気づけるという要素。同性や大人のファンが「成長を見守る」「親目線で応援する」というありようがこれにあたる。ももクロは、この要素を拡大した。MOAの座右の銘も、「誰かの笑顔の理由になりたい」である。

だがその頑張りの見せ方にもいろいろある。

冠番組内の「ヒット祈願」とか「〇〇に挑戦」とか「罰ゲーム」とかは、思い入れのあるファンにとっては、面白いし、メンバーの「頑張り」を感じるが、音楽とは関係ない。

歌い手である以上、やはりライブの楽曲とパフォーマンスで人の心を動かすのが本道ではないか。

ゆるめるモ!は、2014年以降、渋谷LIQUIDROOM、赤坂BLITZ、新木場STUDIO COAST、恵比寿リキッドルームといった1000人規模のライブハウスでのギグや東名阪、全国ライブツアーをこなし、サマソニにも2015年と2018年の2度出演した。

海外ライブも、ベトナム、台湾、上海、香港、韓国で行っているし、2017年からは、単独ライブは生バンドがついている。

「アイドル」と名乗っているが、ゆるめるモ!はBABYMETALPassCodeと同じく、本格的なライブアーティストなのだ。

唐橋ユミを泣かせたのは、ゆるめるモ‼メンバー、特にあのちゃんの番組でのポンコツぶりと、ライブで観客を熱狂させるアーティストとしてのギャップだった。

「ほぼフェス」終了後、山里亮太と唐橋ユミは、ゆるめるモ!メンバーに、「番組であんな扱いしてごめんねー」と謝っていた。

「アイドル」は芸人にいじられて笑いをとる、可愛くて座持ちのするタレントではない。それは、「バラドル」というサブジャンルではなかったか。

人の心を打つ楽曲でなければ、「アイドル」が歌を歌う必要はない。

CDがファンに売れて儲かるからスポーツ選手に歌わせるのと同じように、疑似恋愛対象なのだから下手くそでも「アイドル」に歌わせればファンが喜んでCDを買うと思っている運営があったとしたら、それは「アイドル」という職業を矮小化しているのだ。

要するに、ぼくがいいたいのは、「アイドル」は、もっとちゃんと音楽を、ライブをやれということに尽きる。

ゆるめるモ!の場合は、運営が伝えたいコンセプトとメンバーの個性が奇跡的に合致し、ニューウェーヴとして認知され、支持されたので、ゴールは必ずしもNHK紅白歌合戦というわけではないだろう。

「アイドル」として下克上を起こし、もうちょっとメジャーなポジションで一躍全国区になるヒット曲を作るには工夫がいる。

それには大昔の「ヒット歌謡曲の作り方」が参考になるのではないか。

誰でも覚えられる単純なメロディと、「異様」感のあるビジュアルと、ちょっとダサい歌詞と、マネしやすい振り付けである。

田園風景が似合うフォークソングを歌っていた静岡出身の仲良し二人組は、都倉俊一によってピンク・レディーになった。

山本リンダの「どうにもとまらない」も都倉俊一である。

金井克子の「他人の関係」の作曲は、夏木マリ「絹の靴下」などでも知られる川口真。

こうした歌謡曲のヒット曲事例は、見事にYouTubeでの大量視聴件数獲得事例、例えば「PONPONPON」「ギミチョコ!!」「PPAP」「U.S.A」の構成要素と一致する。

ネット上にあふれるボカロ曲やローカルアイドルにありがちな美しいメロディラインや複雑なコード進行、変拍子、カッコいい歌詞など、実は求められていない。

「ヒット曲」にとって大事なのは、曲としての完成度や芸術性なんかじゃなくて「ネタ」性なのだ。

もちろん、「売らんかなじゃなくて、自分たちなりの表現をしたいだけだ」というグループもいるだろう。だとすれば、「アイドル」ではなく、売れなくてもいい「アーティスト」と名乗るべきではないか。

まあ、どちらでもよい。

ぼくら音楽の消費者は、心動かされる歌を聴きたいだけだ。

ジャンルのステレオタイプやヒエラルキーにとらわれず、楽曲勝負をしてくれる「アイドル」を望む。

(つづく)

jaytcさんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス