国際化のアポリア(6) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

May the FOXGOD be with You―

★今日のベビメタ

101日は、2014年、株式会社アミューズが、「BABYMETAL」を商標出願した日DEATH

 

さて、BABYMETALが海外で活躍する今、日本の国際化はどうあるべきか。

今後、わが国は少子高齢化によって、人口が減っていく。だが人口が減っても日本が経済的に豊かであり続けることはぼくらの願いである。

そうであれば、当然、今後日本で働きたい外国人が減ることはない。

2017年の日本のGDPは、49386億ドルで世界第3位、一人当たりGDP38439ドルだった。人口が1億人以上の国で、これだけの一人当たり国民所得のある国はアメリカと日本しかない。

ちなみに、人口が少なく商業や金融が発達した「都市国家」のマカオ(77451ドル)、シンガポール(57713ドル)、香港(46109ドル)は、日本より一人当たりGDPが高いが、これらの国を除いたアジア諸国の平均は1万ドルのはるか下である。

つまりわが国には、日本人が海外で活躍する国際化よりも、日本の就労する外国人が増えていく国際化という大きな課題が横たわっているのである。

というか、すでにそういう外国人の意欲と入国管理法の不備による軋みが生じている。

前回書いたように、古代の日本人や日本文化は、様々な出自をもつ氏族の連合体として形成され、天皇家を中心とした統一国家の骨格ができてからも「渡来人」が国づくりに参画して出来上がっていったものだ。その統治原理が聖徳太子の十七条憲法だった。

だがそうして形成された現在の日本語と日本文化は、西欧、アジアを問わず、外国人から見るとユニークなものになっている。

まず、漢字。もともと漢字は中国発祥であって、南はベトナムから、朝鮮、日本まで広く使われていた。

だが現在、ベトナムはローマ字、南北朝鮮ではハングル文字が使われており、漢字を読み書きできない。逆に、チベット文字、モンゴル文字、キリル文字などを使ってきたチベット、モンゴルの中国領では、中華人民共和国の簡体字が使われている。

現在、漢字(簡体字、繁体字を含む)を公用語として使っているのは、中華人民共和国、香港、マカオ、台湾、日本の5か国だけである。

(『論語』)

日本文化もまたユニークである。

明治維新以降、日本は西欧の近代文明に学び、議会制民主主義、法治主義、市場経済を国の基盤とした。その一方、古来の「和の精神」による、出自の異なる者の共存や民主的な合意形成のマナー、公私の別をはっきりさせる国民性を維持してきた。

とりわけ、異質・対極的なものを「融合」し、風土や時代に合わせて絶えず改良していく創意工夫の工人的才能と勤勉性は、日本人が世界的に評価される特徴の一つであり、BABYMETALも、そのひとつの成果だとぼくは考える。

そして、こういう日本語と日本文化は、戦後GHQによるWGIPの「日本=悪の帝国」イメージを脱し、今や世界中から絶賛され、愛されるものとなっている。

日本の国際化とは、日本語と日本文化を無くして、「世界標準」に合わせることではない。むしろ、これほど素晴らしい「クール・ジャパン」の価値を世界に広めていくことである。

日本で働きたい外国人を受け入れざるを得ないなら、日本語と日本文化を学ばせ、日本を好きになってほしい。もし、お金のために居続けながら、本心では日本という国が嫌いで、学ぶ気もないなら、帰ってほしい。

本当に日本の国や日本人や日本文化が大好きで、長く居続けたいと願う外国人なら、もう日本人になってもらえばいい。そうすれば人口減少や少子化問題そのものが解決するのではないか。

ここで一つの思考実験をしてみよう。

外国籍を持ったまま細かい在留資格で縛るのではなく、長く居たければ、日本語と日本文化の理解度を基準に在留期間を長くし、最終的には「帰化」を原則とすることにする。

旅行ビザを除き、満16歳以上は原則、どのような業種、職種でも就労可とするが、在留年数によって、日本語および日本文化の熟達度テスト(以下、日本人テスト)を義務づけ、ある基準に達し、本人の希望と、複数の日本人の推薦があれば、国籍を与え(帰化)、日本人になっていただく。

日本人テストの受験期限と日本語の最低到達度は、以下の通り。

0-1年でひらがな・カタカナ(幼稚園程度の文章の読み書き)

1-3年で漢字440字(小学校3年生程度〃)

3-5年で漢字1009字(小学校卒業程度〃)

5-10年で漢字2000字(中学校卒業程度〃)とする。

それぞれの学年レベルに応じて、社会科の教科書レベルの法律や社会の仕組み、地理・歴史を「日本人の常識」として出題する。

在留年数の割に日本語や日本文化の理解度が悪い場合には、1か月後に再テストを行い、それでも合格しない場合、在留資格の延長は行わず、帰国していただく。逆に最短5年で、10年目の基準「中卒程度の日本語、社会の常識」に達すれば、日本人になれる。

この間の資格名称は「期間限定在留者」で、外国籍のままの「永住者」や「永住者の家族」の在留資格は廃止する。

来日10年が経過した後、ずっと日本に居続け、仕事をし続けたければ、日本人テストにパスして国籍を取得するか、帰国するかを決めていただく。帰国を選んだ場合には、それ以降、旅行ビザしか発給しない。

日本人になれば、戸籍を与え、元国籍を併記する。もう日本人なので、その後の国籍離脱は可能であるが、再度の日本国籍取得は不可とする。

現行の在留資格は職業と結びついており、職業が変わると資格外になってしまう。

そうではなく、日本社会への「溶け込み方」で、在留期間を認めるというのが趣旨だ。

だから、日本人と戸籍上の関係を結ぶ「日本人の配偶者等」の在留資格は、様々な問題があっても夫婦または2親等以内に限って、日本人テストを受けなくてもよい「日本人の家族」として残す。ただし、「永住権」は廃止するので、帰化しない限り、現行同様3年~5年で在留資格を再申請しなければならない。

このプロセスの目的は、外国人に宗教や民族慣習を捨てさせ、「単一民族化」したり「思想統一」したりすることではない。あくまでも日本語と日本文化の理解度をチェックするだけであって、宗教や民族慣習を保持したままで構わない。

国籍こそアイデンティティであるという議論はあるだろう。

だが、長く日本に居たいと思うほど日本が好きで、生活基盤を作っているなら、いつまでも「外国人」であり続けるのではなく、日本人となって、共に国づくりに参画してほしい。

この試案では、「頭のいい嘘つき外国人スパイ」を排除できない。

また、ケント・ギルバート氏やマーティ・フリードマン氏のように、アメリカ国籍を持ちながら、日本を愛し、日本文化への深い造詣を持った方を、10年で国籍を取得しないという理由だけで「追放」してしまうことになりかねない。

前者の問題に関しては、テストのためであっても、日本文化の本質を深く学んでいただけば、心の底から日本を好きになるはずで、「面従腹背」は不可能だという、いささかご都合主義の反論だけしておく。独裁国家に家族を人質にされたまま10年居続ける、あるいは日本人になってしまうというケースはあり得るが、それは現在でも同様で、入国管理というより治安の問題である。

また、後者については、「外交」資格と同じく、人物による特例を設けることで解決する。「特別永住外国人」である。それは官僚が審査するだけでなく、例えば日本人100人の推薦を要件とする。彼を信頼する日本人の友だちが100人いれば、名誉日本人というわけだ。

現行の「特別永住者」資格については、ここでは書かない。何十年も日本に居て、日本語も堪能で、生活基盤を日本で築き、日本社会に貢献している方も多いのに、なぜ日本国籍を取得しないのか不思議でならないという感想だけに留めておく。

子どもや家族の問題もある。

日本は出生地主義ではなく血統主義なので、両親ともに外国籍のまま日本に居る間に生まれた子どもは外国籍となり、両親の在留期間だけ日本に居られる。それはそのままでよい。

外国籍の子どもは、原則として日本の学校で学ばせる。小学校入学時に、1年目基準(ひらがな・カタカナ)のテストを受けさせるが、それ以降は学年が上がれば自動的に日本人テストをクリアしたのと同じとみなす。普通に中学を卒業できれば、10年目基準をクリアしたことになり、日本国籍を取得できる。

問題は、その間、両親のどちらかが、在留期間に応じた日本人テストに合格しなければ帰国させられてしまうことだ。子どもが順調に学校で勉強していれば、在留期間を延長する措置をとる、あるいは有無を言わせず一緒に帰国するか子どもだけ日本に残すかを選んでいただくかのどちらか。後者の場合、一時両親と別れても、子どもが中学校卒業=日本国籍を取得できれば、「日本人の家族」として、再び来日し、在留することができる。

同じことは、夫婦や一緒に来た家族間でも生じる。その場合も、家族のうち一人でも日本人テストに合格すれば、「日本人の家族」の資格で在留できる。もちろん在留中の「日本人の家族」が任意に日本人テストを受験することもできるので、合格すれば、日本国籍を取得できる。

難民については、あくまでも人道上の緊急避難なので、母国の紛争が解決したら帰国できるよう、日本人テスト受験や国籍選択は義務としない。その代わり就労は認めず、国が生活を保障する。もちろん、本人が希望すれば「難民」資格のまま、任意で日本人テストを受け、国籍を取得することもできる。

こうして、日本に居る外国人は、「旅行者」、「期間限定在留者(職業を問わず日本人テスト受験義務あり、1年~10年)及び16歳未満の子ども」、「日本人の家族(2親等以内)」、「外交」、「特別永住外国人」「難民」の6種類だけとなる。

(マニラ空港で、出国を待つフィリピン人海外労働者(OFW)

日本に長く居て働きたい外国人は、日本語と日本文化を勉強しなければならないし、子どもを産んで子どもも勉強させた方が長期在留できる可能性が高くなる。一生懸命学ぶ外国人だけが日本に残り、新たな日本人となるのである。

日本人テストが答えの丸暗記になってしまってはいけないから、毎回問題は変える。それを作成するのは文科省の役割である。そもそも文科省は日本人の教育水準をナショナルカリキュラムとして定め、維持するのが仕事である。日本人はもちろん、帰化人=新たな日本人を作るのも、文科省の役割となるのだ。責任は重大だ。

(つづく)