オースティン公演 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-


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―May the FOXGOD be with you―
★今日のベビメタ
本日5月12日は、2015年カナダ・トロント公演(トロント、Danforth Music Hall)が行われた日DEATH。

例によって、SNSやファンカム、現地組の情報によって、現地時間5月10日20:00から行われたオースティン公演を再現してみる。
テキサス州オースティン。
テキサス州の州都で、人口はダラス、ヒューストン、サン・アントニオに次ぐ。
テキサスという語感とは裏腹に、近年アメリカで最も発展している都市のひとつで、IT企業が郊外の丘陵地帯に密集しているため、シリコンヒルズと呼ばれる。
4月23日の川崎CLUB CITTA’やカンザスシティは、ライブ直前に曇り、雨がぽつぽつ来るBABYMETALならではの天候だったが、オースティンは快晴で暑かったらしい。
オースティン公演の会場となったACL Live at the Moody Theaterは、今回のUSツアー中で最も大きい2,750名の収容人員を誇る近代的なイベントホール。


ここもSOLDOUTしたのだから、やはりBABYMETALがアメリカで人気バンドのひとつであることは間違いない。5月10日付Apple Musicの「Distortion」はRock部門で第8位だった。
19:00定刻通りに開場が始まり、入場者が1000人も多いのに物販ブースが小規模のままだったため、長蛇の列となった。
会場は2階席、3階席まであり満席である。3階席最前列はちびっ子が大勢いたとのこと。
定刻から15分過ぎ、ステージ前面を覆った白幕に「Metal Resistance Episode Ⅶ」の文字が浮かび、「紙芝居」が始まる。
Dark Sideが何を意味するのか、もうネタバレであるが、会場からは大歓声が上がる。
<セットリスト>
1.In the Name of
2.Distortion
3.(仮)Elevator Girl
4.(仮)ゆらゆら(SU-ソロ)
5.GJ!(MOAソロ)
6.紅月-アカツキ-
7.メギツネ
8.ギミチョコ!!
9.KARATE
10.Road of Resistance
11.THE ONE(Unfinished Ver.)
ギター(下手Leda、上手ISAO)ベース(BOH)ドラムス(青山秀樹)
セトリは、カンザスシティと同じである。
会場が大きくなった分なのか、ステージングに幾分ゆとりが生まれ、パフォーマンスの質が格段に上がった気がする。
大きくなったといっても、プロセニアムアーチがない分、皆既日食のコロナマークが、舞台奥に設置されたくらい。上手2階席から撮影されたファンカムを見ると、中央ステージの階段から舞台の縁まで2メートルくらいしかないように見える。舞台そのもののサイズ感は変わっていないのだ。
一夜明けてこちら側も心の準備ができているためなのか。

いや、気合だな、気合。オースティン公演では如実にそれを感じた。
ApocryphaのOvertureである「In the Name of」は、メタル・ショーの幕開けにふさわしい。文字通り幕が切って落とされた瞬間、熱狂的なドラムのリズムに乗り、4人のパフォーマーが錫杖をトントンし、息のそろった動作で客席に向けて動かすたびに、大歓声が上がる。
そして2曲目の「Distortion」。
初披露から2回目にして、すでに定番曲となった感がある。暗闇にハウリング音のSEが鳴り渡るのは、「BMD」の終わりのキーンという音による「結界」が引かれたのと同じだ。
その不穏な雰囲気の中に重いドラム音が鳴り響く。そして遠くから「♪Wow Wow Wow Wow」というコーラスが聴こえてくると、観客は大声を上げ、口笛を吹く。
「♪Wow Wow Wow Wow」が高まると、バンドが入ってくる。客席はいきなり熱狂の嵐となる。
モンスターのグロウル「Give up, Give up」に対するSU-のオートチューン「Can’t stop the power」、「Give up, Give up」「Stop the power」「Give up, Give up」「In a bad dream」という一連のやりとりは、Dark SideのApocryphaストーリーと、試練に直面している現在のBABYMETALの姿がオーバーラップする。
だが、続く「♪歪んだカラダ、叫び出す(Wow Wow WowWow)歪んだ痛み、斬りつける汚い世界だった」「♪歪んだ翼、飛べるなら(WowWowWowWow)歪んだ支配、恐れない、偽善者なんて切り捨てちまえよ」というSU-の生歌は、すさまじい声量で闇をつんざき、観客の心を震わせる。
昨年のKORN帯同ツアーでもそうだったが、ツアーの2日目、3日目あたりのSU-が一番ヤバい。ファンカムの一切ごまかしの効かない映像で、信じがたいほど正確なピッチ、声量・音域の歌声が無造作に放たれる。大谷翔平の163kmの剛速球に匹敵する。
バックで踊るMOA+2人ダンサーの動きは、前回にもまして振りが大きく、キレッキレである。後に触れるが、オースティン公演では、このダンサーたちの気迫がビシビシ感じられ、BABYMETALとは何か、という一つの答えを提起しているようにさえ見えた。
「♪この世界が壊れーてもー」のハイトーンで曲が終わると、すさまじい歓声。
3曲目は、前回「(仮)DADADA」と名づけたが、巷では「Elevator Girl」と呼ばれているようだ。そこで、日本語パートは「♪上へ参ります 下へ参ります 閉まるドアにお気を付けください」に訂正させていただく。
これもダンサーの動きのキレが半端ない。ロックンロールの曲調とダンサーたちの動きが見事に呼応して物語性を持ったステージが展開された。
4曲目も新曲となる「(仮)ゆらゆら」。今日も必死でファンカムを聴きとったが、正確な歌詞はわからない。ただ、前回より明らかにSU-の表現力が増しているのは確かだ。
例えば後半の「♪ゆらりゆらりゆらり舞うよ ゆらりゆらりゆらり舞えよ ゆらりゆらりゆらり舞い上がれ」とたたみかけていくところ。へヴィなR&Bのリズムに決して流されない、煌びやかな声による感情表現。「♪ああーああー」からの「♪ゆらゆら燃える」で終わり、暗転すると一つの「映像」を聞いた感じになる。
5曲目。今度はMOAソロとなる「GJ!」。ITCHIE-METALさんたち現地最前列組が絶賛しているとおり、MOAは広島よりもさらにスケールアップして、妖艶さとパワフルさを兼ね備えたラップ+ダンスの表現者になっていた。タイツというより黒いスパッツの上に着ているゴールドの上衣と、ポニーテールにまとめたヘアスタイルがマッチし、オーラを放つ。
MOAスマイルも健在だが、客席を煽りながら、ときおり歯を見せる顔は、もはやカワイイというより美しい!という感じ。
そして6曲目の「紅月-アカツキ-」。今日は特にこの曲について書く。書きたい。
場内に、やや日本風の趣を持つ哀しいオーケストラが流れる。
この曲の前奏には、Legend “I” 以来のギターのアルペジオ、ピアノによるもの、東京ドームで流れたオーケストラなど、いくつかのバージョンがあるが、今回のオーケストラは、USツアーに向けて、宇佐美秀文氏が新たに制作したものと思われる。
ぼくは、それにまずグッと来てしまう。
4月23日の藤岡幹大追悼ライブ「My Little God」のオープニングは、宇佐美氏率いるU・S・Bだった。今回のUSツアーで「紅月-アカツキ-」の前奏に流れるこの新しい曲には、その強い思いがこもっているのだ。藤岡神のことについて、公式も「紙芝居」も触れないのはどうのこうのという議論があるが、何を言っているのだ。Dark Sideという位置づけのChosen Sevenの物語や、このオーケストラにスタッフのどれだけの思いがこもっていることか。
オーケストラが静かに終わると、聴きなれたピアノのアルペジオが流れ、場内から大歓声が涌く。静かに「♪幾千もの夜を超えて…」と歌い出すSU-。まるでUnfinished Ver.だ。
「♪生き続ける愛が、あるから~」のところで一段ギアが上がり、歌声が響き渡る。さっきまで、三々七拍子で盛り上がっていた場内が静まり返る。歌の力とはこういうものだ。
「♪このカ⤴ラダが」のところでSU-はシャクリを入れる。それがちっとも技巧的ではなく、おさえきれぬ感情の表白となって、ぼくらの心を撃つ。
「♪守り、続けてゆく」と歌った瞬間、バンドが入ってくる。
SU-が「アカツキだー!!!」と叫ぶ。場内が熱狂に包まれる。
Leda神、ISAO神のツインギターが唸る。青山神のドラムが正確なブラストビートをたたき出す。そしてBOH神の魂のこもったベースラインがバンドサウンドをしっかり支える。みんな4月23日に居た。前のめりに感じるほど、演奏に心が入っている。
「♪静寂の中で 傷ついた刃差し向かい 孤独も不安も 斬りつける 心まで」
というジャパメタ特有の悲壮なメロディラインと歌詞。それがこれほどまでにリアリティをもって迫ってくる。大切な人を失い、仲間が傷つき倒れている今、メタルの女戦士SU-METALは、マントを翻し、まなじりを決して歌うのだ。
間奏部に入る。これまでLeda-大村、Leda-藤岡、藤岡-大村という組み合わせで、ステージ中央に寄り添い、背中合わせになってツインギターのソロを聴かせるのが、この曲の一つの見せ場だった。
しかし、今回のツアーでは、両ギターは定位置で動かない。その代りに、後方のステージに2人のダンサーが登場して偽闘を見せる。
このキレが素晴らしい。上手側のダンサーは、鋭い回し蹴りを繰り返し、戦意をむき出しにする。下手側のダンサーはシュッシュッと空気を切り裂く音が聞こえるような突きの型を見せた後、同じく回し蹴り。そして、ツインギターが揃うところで、2人のダンサーは中央のステージでがっちりと組み合う。前転、側転、水面蹴り、ジャンプ、キックを繰り出し、美しい殺陣を見せる。
これは振付によるダンスなどではない。ひとつの「作品」、ひとつの「表現」である。


決別しなければならない過去がかけがえのないものであればあるほど、過去の自分を乗り越える戦いは凄絶なものとなる。
それを、この2人のダンサーは、体と魂のすべてをかけて表現しているのだ。それをアメリカ人観客がどう思うかはわからない。だが、これを見せるために数か月間、必死で練習してきたに違いないのだ。MIKIKO師のモットーは「五感に響く作品作り」である。このダンサーたちは、それを体現するために、このツアーに賭けてきたに違いないのだ。
BABYMETALとは、アイドル+メタル+ギミック+ダンスだ。
1970年代から、日本には卓越した女性ロックボーカリストはいた。例えばカルメン・マキがそうだ。1980年代のメタルブーム時にはアイドルに本格的な演奏技術を持ったバンドをつけてメタルをやらせるという試みだってあった。BABYMETALが本邦初というわけではない。
例えば1985年から1986年のわずか1年しか活動しなかった早川めぐみのデビューアルバム『秘密警察―Secret Police―』は、ギターに松本孝弘(B’z)、山本恭司(VOWOW)、北島健二、ベースに六川正彦、鳴瀬喜博(カルメンマキ&OZ、カシオペア)、ドラムに青山純(秀樹神のお父上)、キーボードに難波弘之(センス・オブ・ワンダーほか)という超強力演奏陣だった。今聞いてもその演奏はほれぼれするほどのレベルである。
だが、ジャパメタ+アイドルという試みは長く続かず、90年代に入るとメタルというジャンル自体が氷河期化していった。
2010年に結成されたBABYMETALは、だから単なるサブジャンルとしてのジャパメタ+アイドルではない。
SU-の歌唱力をコアに置きつつ、それだけに頼るのではなく、2000年代までのメタルの歴史を踏まえラウド系のミクスチャーとした上、アイドルとメタルの双方にあったギミック要素として「キツネ様」神話を付け加え、さらに決定的には、MIKIKO師の協力のもと、メタルにダンス表現を取り入れたのだった。
BABYMETALにおいては、ダンスは、ツインギターやブラストビートと同じく、一つの「メタル表現」なのだ。アイドルとしてKawaiiだけでなく、そのアイドルが卓越したダンス表現をするところにBABYMETALの真骨頂があったのだ。
だから、藤岡神の逝去、YUI不在という緊急事態を打開するために、きっとMIKIKO師はKOBAMETALに愛弟子たちを貸し出す協力を申し出たのだ。あるいはその逆にKOBAMETALがMIKIKO師に頼んだのかもしれない。
いずれにしても、チームベビメタは原点に返ることを決意した。
メタル表現としてのダンスを磨く。
BABYMETALの魅力を再構築する。
ゼッタイに負けない。
その気迫が、その思いが、二人のダンサーの体を突き動かしている。
ぼくは、それに気づいたとき、仕事をさぼってファンカムを見ていた喫茶店で泣いた。
なんという華麗さ。なんというキレ。そしてなんという気迫。
そしてそのダンスのプロ2人を従えるだけのオーラと存在感が「GJ!」のMOAにはあったし、「紅月-アカツキ-」でのSU-には、その決意がありありと見て取れる。
金色のマントを翻し、2人の偽闘に割って入り、「♪過ぎてゆく 時の中~」と歌い上げるSU-のなんという凛々しさ。
YUIはまだBABYMETALに在籍しています。ですが今回のUSツアーには参加していません。
その5Bの担当者によるインタビュー記事は、開演2時間前にAlternative Pressに掲載された。開演を待つ列には、歓喜の声が渦巻いた。
だが、それだけに余計、なぜこのツアーに参加していないのか、暗い想像が沸いてくる。
それは詮索しまい。ただ、YUIが何らかの理由で、傷つき倒れているのは間違いのない事実なのだ。それをカバーするため、KOBAMETAL以下のスタッフは苦心惨憺した。だが彼らは、表に出ない分まだいい。
「要らねえよ」「バランスが壊れる」「YUIを出せ」「帰れ」の嵐に晒されることが目に見えていたダンサー2人が一番辛かったはずである。だが2人は、チームベビメタの一員として瀕死のBABYMETALに力を与えるために必死で頑張ってきたのだ。
そのガッツ、その意気に感じずして何がメイトか。このUSツアーの「紅月-アカツキ-」を、目を見開いてよく見てほしい。2人の気迫に応えて歌い上げるSU-の歌声は、すべての人の思いを背負って、巨大な炎のように客席に向かって放たれるのだ。
7曲目「メギツネ」から11曲目「THE ONE(Unfinished Ver.)」まで、怒涛のようなBABYMETALの世界が繰り広げられた。

「THE ONE」が始まるとき、客席から「ベイビー、メートゥ」というコールが起こり、誰かが「We are so BABYMETAL!」と叫んだ。そして曲が始まると、SU-と共に合唱する。
アメリカ人の観客は正直である。YUIがいないことはもうみんな知っている。知ったうえで、すさまじく完成度の高い新BABYMETALのフォーマットに驚嘆し、圧倒されている。

「♪ララララー」とシンガロングするとき、4人は客席に向かってキツネサインを高々と掲げる。私たちはBABYMETALなのだ、と。
4人のフォーメーションにはまだ工夫の余地がある。例えば「In the Name of」は、板付きの4人がずっと動かないので間延びしている。もう少し演出が必要だろう。一人ずつ登場すればどんどん盛り上がっていくと思うのだが。
ぼくらは日本にいて、SNSやファンカムで応援していくほかないのだが、USツアーは、ダンサー2人の頑張りにもぜひ注目してほしい。

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