好きすぎてツライ(11) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-


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THE ONE NEVER FORGET MIKIO FUJIOKA

★今日のベビメタ

本日4月19日は、2016年、APOCRYPHA-Only Fox God Knows@新木場Studio Coastが行われ、2017年には、Red Hot Chili PeppersのUSAツアーSpecial Guestとして、コロンビア(SC)Colonial Life Arenaに出演した日DEATH。

 

「イジメ、ダメ、ゼッタイ」編つづき

●最初にこの曲を聴いたとき、カッコいいメロスピなのに、歌詞が「なんじゃコリャ!?」と思った。

そもそも「イジメ、ダメ、ゼッタイ」という言葉は、BABYMETALのオリジナルではない。

財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターのポスター「薬物乱用ダメ。ゼッタイ。」と、ACジャパン(公共広告機構)の社会CM「いじめ」シリーズとの「融合」である。

「♪イジメ(ダメ!)イジメ」(ダメ!)カッコ悪いよ」は、1996年前園真聖「いじめカッコ悪い」、「♪昨日までの自分サヨナラ(バイバイ)」は1997年のTOSHI(X-Japan)「いじめバイバイ」への“オマージュ”である。

「ポイ捨て禁止」も、今では地方自治体の条例にも使われているが、元々1971年、ACジャパンの前身、関西公共広告機構が最初に作った社会CMで、映画評論家の淀川長治が、たばこの投げ捨てはよくないと呼びかけるときに使った言葉だった。

先輩のPerfumeが2007年にACジャパンのリサイクルキャンペーンCMで使われた「ポリリズム」で大ブレイクしたのにあやかって、BABYMETALも、ACジャパンのいじめ撲滅キャンペーンに使われることを狙ったのかもしれない。

しかしここまでは、まだいい。

Cメロに「♪愛しくて切なくて心強くて」とあるのは、篠原涼子の「愛しさと切なさと心強さと」(1994年)の“オマージュ”であることにも、ツッコむまい。

問題は、サビに「♪キツネ(飛べ!)キツネ(飛べ!)きっと飛べるよ」と歌われていることである。

考えてみてほしいが、イヌ科の動物であるキツネは、空を飛べない。

ここで歌われている「キツネが飛ぶ」とはどういうことなのだろうか。

「まんが日本昔ばなし」に、「空をとんだキツネ」(No.0101)という話がある。

http://nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=101

―引用―

昔、ある山にごんぎつねという古狐が住んでいました。ある日、ごんぎつねは空を飛ぶトンビを見ながら考えました。「自分もトンビみたいに空を飛んでみたいなぁ」

キツネが空を飛ぶにはお寺のお札が必要なので、さっそく里の寺に行きました。ごんぎつねは小坊主に化けて、お寺で働くことになりました。小坊主は朝から晩までまめまめしく働き、和尚さんが食べたいと思っていた献立を先読みして準備したので、和尚さんは大変関心しました。

そんなある日、夜中にお寺に帰ってきた和尚さんは、囲炉裏(いろり)のそばで疲れて眠る古狐を見つけました。和尚さんは、「小坊主はこの狐の化けた姿だったのか」と思ったが、その晩は何も言わずにそっと寝かしておきました。正体がばれてしまったごんぎつねは、翌朝お寺から立ち去ろうと和尚さんに最後の挨拶をしました。和尚さんは、ごんぎつねの寺に来た目的を知ると、「わしが感心するほどの化けを見せたら、お札をあげよう」と提案しました。

それを聞いたごんぎつねは、お坊さんの行列をやって見せました。行列の最後に、金色の光とともにみすぼらしい衣を着たお坊さんが登場すると、本当のお釈迦さまが登場したように思え、和尚さんはおもわず手を合わせてしまいました。

和尚さんをすっかり化かす事ができたごんぎつねは、和尚さんからもらったお札を首から下げて、嬉しそうに大空を飛んでいきました。

―引用終わり―

岡山県の昔話だそうで、よく知られた新美南吉の「ごんぎつね」とは違って、ほのぼのとしている。古狐とあり、素晴らしい変化の術を持っているので、相当修業をしたキツネなのだろう。キツネは、「お札」をもらえば飛べるようになるのだ。

キツネ様は、メロイックサインを影絵のキツネさんだと思ったBABYMETALの守護神であり、「メタルの神」とされている。

「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の「紙芝居」では、「ホントの勇気見せてくれたら、ホントのメタル教えてあげるよ」という。

いじめにあっている子どもにとって、その状況から逃れることは不可能に思える。子どもには、学校や友だち関係が生活のほぼすべてであり、それを失うことは自分のアイデンティティを失うことに等しい。親も先生も、子どもには「学校へ通い、クラスの友だちと仲良くして成長すること」を期待するからである。近しい大人に相談することは、その期待と愛情を裏切ることであり、絶対にできない。追い込まれて、絶望に駆られた子どもが命を絶つことは悲しいが、未だになくならない。

クラスの仲間がいじめを見て見ぬふりをするのは、ヘタにいじめられっ子をかばえば、自分が次の標的になるという集団力学をよくわかっているからだ。大人の社会にもよくあることだ。

前に一度だけ書いたが、ぼくも中学2年生のとき、1年間、クラスで村八分にあっていた。親には一切言わなかった。3年生になってクラスが変わり、ギターを弾けるK君に声をかけてもらい、バンドを組んだことで解決した。

「子どもは、明るく楽しく、大勢の友だちと切磋琢磨しながら成長するもの」という価値観は間違ってはいないと思うが、ときに無言の圧力になる。現実には、学校での友だち関係はそんな牧歌的な状況ではあり得ない。力の強い子による支配、それに追従する者、対立、喧嘩、グループ抗争、異質な子に対する恐怖心の裏返しによる嘲笑や仲間はずれ。

大人の社会にもあるこうした人間関係は、成熟していない子どもの世界の方が顕著に出るのは当然である。

だから、そんな環境になじめず、学校に通えなくても、内向的な性格で、友だちができずに、いつも一人ぼっちで居る子どもがいても、それがその子にとって自然であれば、それでいいのだ。

大切なのは、与えられた状況の中で、何をするために生まれてきたのかに気づき、誰かのため、何かのために、自分らしく立ち上がり、人生をスタートできるかどうかである。その観点で、大人がその子をちゃんと見ていてあげることの方が、ティピカルな子ども像に当てはめるより、よほど重要だとぼくは思う。

「ホントの勇気」とは、絶望的に見える人間関係を、「空から見るように」俯瞰し、正しいと思うことのために、自分らしく立ち上がることだと思う。

子どもにとって、それは生半可なことではない。だが、独りでいる時間、「古狐」のように、本やアニメやネットで広い世界を知り、自分を見つめる修行をして、「いじめなんかくだらない」と思えるようになれば、彼は、いじめをしている子や見て見ぬふりをしている子よりも、一段「上に」成長したことになる。そして勇気をふりしぼって、現実に声をあげることができたとき、それは彼にとって大きな「飛躍」になる。

みんなと同じように表面上だけ明るくふるまい、状況に流される「いい子ちゃん」のフリをして、結果的にいじめる側に加担していては、いつまでたっても成長できない。

孤独を受け入れ、苦しみ、自分の頭で考えることで、人は成長できる。尋常の人ならぬキツネだからこそ、飛べるのだ。

メタルという音楽は、孤独や不安や絶望に苦しむ者の音楽だ。だからこそ、キツネ様はメタルの神なのだ。

空を飛べるようになる「お札」とは、「Metal Justice」=自分なりの「正義」のことである。

絶望的な状況にあっても、メタルのパワーを借りて、自分らしく立ち上がれ。君はきっと立ち上がれる。

それが「♪キツネ(飛べ!)キツネ(飛べ!)きっと飛べるよ」の意味ではないか。

●2014年2月7日、BABYMETALは、初めてテレビ朝日のMusic Stationに出演した。メジャーデビューからもう1年も経っている。

共演者にはAKB48がいた。AKB48こそ、Legend ”I“以来、Metal Resistanceの仮想敵としてきた「巨大勢力アイドル」のモデルに他ならない。

BABYMETALは、メロイックサインならぬキツネサインと、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」のサビであるXジャンプならぬダメジャンプのしかたをAKB48に教えた。AKB48のメンバーたちはクスクス笑いながら、当時まだ高1と中2のかわゆいBABYMETALの願いを聞き、曲中、その振りをしてくれた。その映像をぼくは見ていないが、BABYMETALが「巨大勢力アイドル」の牙城ともいうべきMステに出演し、AKB48がダメジャンプをしてくれたことは、Metal Resistanceが一定の成果を収めたことを意味する。

1か月後の日本武道館巨大コルセット祭り「赤い夜」の「紙芝居」でも、そのことが報告され、1万人の観客から万雷の拍手を浴びた。思えばMステ出演は、BABYMETAL史上エポックメイキングとなる史上最年少日本武道館公演の情宣を兼ねていたのだろう。

だが、その日本武道館公演「赤い夜」で、とんでもないことが起こる。

ライブ終盤、「ヘドバンギャー!!!」のブレイクで「ヘドバン!ヘドバン!」と観客を煽っていたとき、高さ2メートルほどの花道から、YUIが落下したのである。

中央に作られた円形舞台と、そこから放射状に延びる花道は狭く、照明の当たらないグラウンドレベルは暗い。客席の方を向いて煽っていたYUIは、花道の縁がよく見えず、足を踏み外してしまったのだろう。

煽りのシークエンスからギターソロが終わって「♪いーちごのよーるを」のパートになったとき、中央の舞台にはSU-とMOAしかいなかった。これで、YUIに何かあったことは観客全員に知られたが、SU-は動揺を見せずに歌い続け、MOAは少しYUI寄りのポジションをとり、2人分の振付をこなす。けなげにもそのまま後半を終えて暗転。

暗闇の中、「YUIちゃーん」「YUI!」という悲鳴、絶叫が響く。

「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の「紙芝居」が始まり、「ホントの勇気見せてくれたらホントのメタル教えてあげるよ」というナレーションに続いて、「♪ルルルー、ルルルー」というSU-のハミングが響く。そこで、花道にうっすらと青く照明が当たる。

下手には、クラウチングスタートの構えをとって、ちょっと恥ずかしそうに微笑むYUIがいた。YUIは、花道から落下したが、持ち前の運動神経で大けがをすることもなく、自力で立ち上がり、ステージに復帰したのである。

SU-がYUIを見てかすかにうなずく。その目が強い。ぐっと気合が入ったのがわかる。

上手でクラウチングスタートの構えをしていたMOAは、YUIを見た瞬間、うつむいてしまう。安心して泣いてしまったのだろう。

このBABYMETAL史上特筆されるべき瞬間は、DVD/BD『Live at BUDOKAN』で見ることができる。

史上最年少武道館という歴史的な舞台で、アクシデントにも動揺を見せず曲を最後までやり通したSU-とMOAのアーティスト魂。自力でステージに戻ったYUIのプロ根性。アイコンタクトをした瞬間、閃光のように放たれた生身の三人の少女たちの強い絆。

それを、1万人の観客が目撃した。

続いて始まった「イジメ、ダメ、ゼッタイ」こそ、BABYMETAL最強の曲であり、どんな逆境でも乗り越えていける、勝利の証となった。

●翌日行われた「黒い夜Dooms Day~召喚の儀」で、BABYMETALの欧米ツアー初挑戦が発表された。そして4か月後。本場UKのメタルフェスSonisphere2014で、BABYMETALは、6万人のメタルヘッズをノックアウトし、本当に大勝利!を収めることになる。

なぜBABYMETALが欧米市場で成功を収めることができたのか、いくら書いても書き足りない。あらゆることが奇跡的なタイミングで起こり、BABYMETALというアーティストを強くし、あれよあれよという間に、世界のひのき舞台に押し上げていく。

「イジメ、ダメ、ゼッタイ」という曲が持つ、魔法のような力もそのひとつだ。

だがこれだけははっきり言える。それは生身の三人が、過酷な練習とライブを全力でこなしてきたからこそ得られたものだ。

Sonisphere2014の舞台でもアクシデントは起こっていた。「BMD」ではMOAのイヤモニが機能しなかった。「イジメ、ダメ、ゼッタイ」では、YUIMETALの赤いチュチュはボロボロに破け、ステージでは羽衣のように舞っていた。そんなアクシデントにもかかわらず、下手のお立ち台に立ったYUIの「♪ダメダメダメダメ!」の表情は、切ないまでに6万人の観客に、曲の心を伝えようとしていた。

そして、2017年12月2日、Legend-S-洗礼の儀@広島グリーンアリーナ。

開演3時間前、会場に集まった観客は公式サイトからのメールでYUIの病欠を知った。

オープニングでSU-がキツネ男たちに曳かれて入場してくる「In the Name Of」に続く、1曲目。ハミングなしで始まった「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の冒頭。

SU-が「♪アー」と叫ぶと、上手からMOAが、気合のこもった表情で、たった一人、全力疾走してくる。

それを見た観客の中で、魂を奪われなかった者がいるだろうか。

「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は、苦しみも悲しみもすべて解き放ち、逆境をパワーに変える最強のメタルチューンである。

(つづく)

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