先日、12/2(日)に日本推拿協会初となる、学術勉強会が行われました。
第1回目のテーマは・・・
栄養学セミナー【栄養学・薬膳】~普段の食事に薬膳をプラスして~
講師は、栄養管理士・短大准教授である、久木久美子先生にお越し頂きました。
まずは、基本となる、生きるために必要な『五大栄養素』について学びました。
・エネルギー源 ⇒ 糖質・脂肪・たんぱく質
・体をつくる ⇒ たんぱく質・ミネラルCa
・体の調子を整える ⇒ ビタミン・ミネラル
エネルギー源の中で一番大切なのは『糖質』であり、これは主食から得ている。
※主食とは様々であるが条件は「味が淡泊である事」
(お米、パン、パスタ、コーンフレーク、じゃが芋、タロ芋、料理用バナナ etc... )
また、体を作る為には『たんぱく質』が大切であり、主菜から得ている。
※主菜としては、魚・肉・卵・大豆がある。
種類が少なそうに思えるが大豆だけで例を挙げると・・・
豆腐・納豆・高野豆腐・炒り豆・きなこ・枝豆・黒豆・味噌など豊富にある。
同じものばかり食べるのではなく、また無理して食べるのではなく、
食べれるものの中から色んな料理を美味しく食べる事が大切である。
これだけでも、主食・主菜・副菜などバランスの取れた食事が重要である事が分かります。
炭水化物抜きダイエットなどありますが、お米など(主菜)をとらないとエネルギー源として脂肪が使われるので、一時は体重は減りますが、太りやすい体質を作り、健康の為にも良くありません。
バランスの取れた食事を美味しく頂き、適度な運動をする事が一番です!!!
ここから本題に入り、
keyword① ⇒ 【疾病治療から疾病予防へ】
現在、日本での65歳以上の高齢者人口は、2010年時点で23.1%です。
すでに「高齢化社会」ではなく、「超高齢社会」となっています。
⇒ 高齢化率 7~14% ・・・高齢化社会(1985年)
⇒ 高齢化率 14~21% ・・・高齢社会(2005年)
⇒ 高齢化率 21%~ ・・・超高齢社会(2010年)
2050年には推計39.6%、国民の約4割が高齢者となります。
そこで考えられたのが、
【病気になってから治療する】ではなく【未然に防ごう】です。
2004年度の国民生活基準調査によると
・介護が必要になった主な要因 ⇒ 1位 脳卒中(約29%)
・寝たきり(要介護度4-5)の主な要因 ⇒ 1位 脳卒中(約40%)
という結果が出ています。
では、脳卒中になる危険因子はというと
①脳出血(弾けて切れる)
・・・高血圧、大量飲酒、喫煙、血清コレステロール低値
②脳梗塞
・尖痛枝系統脳梗塞(細い血管が詰まる) 別名:ラクナ脳梗塞
・・・高血圧、喫煙、高ヘマトクリート値
※高齢者の脱水・高血圧の長期暴露
・皮質枝系脳血栓(太い血管が詰まる)
・・・高血圧、喫煙、脂質異常症(高LDL、低HDL)、耐糖能異常
※油の取りすぎ
・皮質枝系脳塞栓
・・・長期にわたる高血圧
③くも膜下出血
・・・喫煙、高血圧
であり、最大の危険因子は【高血圧】である事がわかります。
高血圧予防として
★食塩摂取の制限
・男性 9g/日、女性 7.5g/日未満 (※ティースプーン1杯、約5g程度)
・高血圧と診断された場合、6g/日
(高血圧学会やWHOでは⇒高血圧にならない為には6g/日と発表している)
※2010年調査では、60~69歳男性、12g/日摂取の結果が出ている。
★カリウム摂取の推奨
・男女共、3500mg/日
が挙げられます。
現在、K/Naの値が高いほど高血圧になりにくいと言われています。
K(カリウム)は、果物や野菜、お茶に多く含まれています。
お茶の産地であり、また果物の産地としても有名である静岡県では、統計的に高血圧の人が少ないという結果が出ています。
ですが、ここまでは【集団を対象とした健康管理】における数値となります。
さらに予防する為には【個人にあった健康管理】へ移行する必要があります。
そこで重要になるのが
★個人の体調にあった食事をとる事が大切
★季節に合わせて体調を整える
という【薬膳】の考え方です。
普段の食事に薬膳と取り入れ疾病を予防するには
★季節の変化や個人の体質に適した食材を選ぶ事
★色、香り、形のすべてに満足できるように調理されていること
※配膳、彩りもとても大事!!!
★毎日食べても美味しい事
※五感で美味しいと感じて食べる事ができる
★健康増進に貢献する食事である事
薬膳を実施するには、
・陰陽五行説・自分の体質(証)を知り
・自分の体質に会った食材を選ぶ事
が重要になります。
薬膳に使われる食材には
★五性・・・陰陽のバランスをとる食材
(陰陽)
陽⇒体を温め滋養強壮や興奮させる働き
陰⇒体を涼しくし抗炎症や精神の安定などに働く
(五性)
熱⇒陽の作用が強い
温⇒熱より穏やか
平⇒陰と陽の中間に位置し、食べてもどちらにも傾かない
涼⇒寒より穏やか
寒⇒陰の作用が強い
★五味・・・五臓に効く食材(酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味)
日常の食生活では、五味のバランスを考えて調理する事が基本となる。
病気になった場合は、五味と五臓の関係を調整しなければならない)
があります。
薬膳には【四季】があり、季節の特徴を知り、体質に合ったものを取り入れる事が大切です。
『冬』に関して言えば、
・冬の食養生は体の内側から温める事に重点を置く
・熱性、温性の食材が効果的
・腎経に入って、滋養強壮効果のある食材+冬野菜を摂る
事が大切です。
また、健康でいるためには
keyword② ⇒ 【老化を予防する】
事も大切になります。
中医学からみた老化は
①先天不足(腎陰虚・腎陽虚)
②後天不足(脾胃の虚弱)
であり、それぞれを補うのに適した食材があります。
単に食べたいものを食べるのではなく、その時々の【旬】のものを美味しく頂き、体の中から整え、いつまでも健康で元気に過ごしたいものですね。
※栄養学セミナーについて、時期は未定ですが、今後、第2回・第3回と開催予定にしています。
* * * 次回のお知らせ * * *
次回の学術勉強会は年明け
2013年1月6日(日)17:30~19:00
となります。
内容については、後日お知らせ致します。