これはすごい映画。

絶対に見るべき。

あ、劇場で観たかったー。


とっても切ないファンタジーだが、

細部まで細かく作りこまれている作品なので、

まったく違和感なく最後まで引き込まれていく。


生と死とは何かを考えさせられた。

僕の今のだらだらした日常を少々反省させられた。

人はいつも今の生が永遠に続くかのような気になっているが、

それはあきらかな錯覚で、あっという間に死がやってくる。


何をすべきなのか、何が本当の幸せなのか、

そういうことを考える間もなく、ただ生きることだけで過ぎ去っていく毎日。

『パンズ・ラビリンス』はそういう日常に疑問を持たせてくれる。


主人公の少女オフィリアはつらいだけの日常から逃れるために

ファンタジーの世界に居場所を求めるのだが、

これだけみると、『ネバーエンディング・ストーリー』と似ている。

ただ、こちらの作品には少女をめぐるきわめて過酷な現実が

描かれており、それだけに一層彼女の空想世界は際立つのだ。


そういや僕も幼い頃、そういうところがあった気がする。

でも大人になり、ある程度うまくいき、ある程度恵まれた日常の中で、

空想の世界はすっかり死に絶えてしまい、お金や社会的地位といった

俗物的なものに生命力を奪われてしまっている気がする。


このまま行くと、死を目の前にして大いなる空虚が待ち構えていそうだ。


生きていくためには経済学が必要だが、

よりよく生きていくためには哲学が必要なのだ。l


『パンズ・ラビリンス』を観て、

これから本当に何を指針に生きていくべきかを考えさせられた。