EVA法がDCF法より優れている理由

 

企業が生み出すキャッシュフローはもともと投下した資本の回収部分と、真の価値創出部分に分かれる。

 

ところが、以下の図でしめしたように、DCFはその区別をしないので、投下した資本を超えた価値創出を計ることが困難である。

 

 

EVA法は、将来キャッシュフローを3つに分解して把握する。

 

 

 

第一が投資回収部分である。

 

第二が、投資回収を超えた現状のキャッシュフロー

 

図で言えば緑の部分である。(現在のEVA)

 

第三が、投資回収を超えたキャッシュフローの成長

 

図で言えば赤の部分である。

 

この現在価値の合計で企業価値を分析するので、より深い価値構造が把握できる。

 

 

実際には、余剰資金などがあるのでそれを加えた足立が企業価値となる。

そこから有利子負債を引けば、株主価値となる。

 

時価総額を比較して、株主価値が高ければ割安状態となる。

 

構成を組み替えて、上記のように示せばより簡単に割安構造が把握できる。

 

企業から見ればバリューギャップの位置で課題が把握できる。

 

9月決算のゲーム会社の株価上昇の可能性を探る

 

それでは実際にとある9月決算のゲーム企業の最新の財務データ等を参考に実際に分析してみよう。

 

最近は収益性・成長性が徐々に低下している。

 

 

まず第一の構成要素である投下資本は320億円と試算できる。

 

 

WACCは、過去の5年の株価リターン等から5.8%と推計した。足元の超過利潤は以下の通りである。1000億円程度が「超過利潤価値」として把握できる。

 

裏にあるバリュードライバーとして重要なのがROICである。23%と非常に高い。日本の平均は5-7%程度なので、極めて高収益である。

 

 

 

業績が低迷しているので、成長価値はゼロと試算できる。

 

 

 

以上から株主価値を分析すると、時価総額とほぼ同水準であることがわかる。

 

 

以上の分析を見ると成長価値が全くない水準として株価形成がなされていることがわかる。

 

 

成長シナリオが出てくると大きく拡大する余地あり

現状は全く成長価値が折まれていないと結論できる。

 

しかし、注目されるのは、成長価値がマイナスになっていないことである。

 

収益性が低下傾向にあるにも関わらず、成長価値がマイナスに評価されていないということは特筆すべきである。

 

これだけ低迷している場合は、成長価値はマイナスとなることが通常パターンである。

 

しかしそうでないということは、現在の高収益は高く評価されているということである。

 

よって何か成長のきっかけがあれば、株価が大きく上昇する余地を秘めているといえる。

 

 

9月決算なので、今後のIRによって成長シナリオが出てくると大きく拡大する余地があるということが以上分析で把握できる。

 

決算から目が離せないといえる。