と言われれば、びっくりする方が大半だと思います。わたくしも実際に調べて本当かと何度も確認しました。信じたいとは思いませんが、実際に調べるとこれが事実であると受け入れざえるをえません。21世紀に入ってからの日本を代表する自動車、エレクトロニクス、鉄鋼、化学の4セクターにおいて、欧州、北米、台湾、韓国と比較すると、驚くべきことに、平均的にみれば、「成長性」、「収益性」、「資産効率性」、「株価リターン」のすべてにおいてほぼ最下位のパフォーマンスとなっているのです。厳しい言い方をすれば、ほぼ「オール1」状態であることを認識しなければなりません(詳細はJPRJPRレポート「不確実性を競争力に変えるマネジメント力強化に向けて 」ご参照)。


追い打ちをかけるようですが、さらにショックな事実があります。日本の製造業はあまりにも、自動車、エレクトロニクス、鉄鋼、化学の4セクターに偏りすぎているということです。米国や欧州では、ヘルスケア、家庭用品、化粧品、バイオテクノロジーや食品などでグローバルに競争力のある企業が数多くあります。リーマンショックで米国の自動車の問題が騒がれておりますが、国民経済に占めるウェートははるかに低いため、経済全体からすればバランスが取れているためショックの吸収力があります。ヘルスケア、バイオなどの次世代の成長分野のウェートが低い日本経済は業界構造転換という意味で欧米に遅れをとっているといえます。


このような状態になぜ陥ってしまったのでしょうか?様々な要因があるかと思いますが、これはそもそも自分たちが最低どの程度のキャッシュフロー、利益を出さないと落第点をとるのか、という危機感がないことも大きな要因になっていないでしょうか?落第しそうになれば、普通はもっと勉強しようと努力するか、または勉強の仕方を変えるのが常ですが、そもそも落第しそうかどうかもわからないのでは、そのような努力をする気持ちも生まれず、惰性で勉強の仕方を変えないで過ごしてしまうかもしれなません。いまの日本企業はひょっとしてそんな状態ではないでしょうか?


経営者がなすべきことは、激変する経済環境下において、継続的に利益・キャッシュを生み出す仕組みを構築することであり、また、株主、投資家が企業に求めていることは、継続的な繁栄により企業価値、株主価値が向上することであります。戦後の日本経済において、少なくとも、1980年代までは、日本企業は株主に対してその責務を果たしていたと考えられます。しかし、残念ながら21世紀において、その責務を日本企業は平均的に見れば果たしているとは言い難い状態となっています。


この状態から脱するためには、まずは自社の一つ前のブログして示したように、資本コストがいくらなのか、そのコストがどのような要因で変動するのか理解したうえで、株主、投資家がどのような点を評価するのか真摯な気持ちで分析することが重要です。そのうえでこれまで自社がどの程度の企業価値を創造していたのか、グローバルな競合他社はどうであったのか分析することが求められます。 そして、落第点をとっているのであれば、もっと勉強するか、または勉強方法をかえなければならない、すなわち、「事業の仕方、仕組みを変えていかなければならない」、「一層の集中と選択を進めていかなければならない」、「事業構造転換をはからなければならない」、と考えるべきだといえます。 多くの日本企業は過去の成功体験の惰性ではない新たな企業価値創造の仕組みを構築していかなければならないステージに立っていると認識すべきではないでしょうか?



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