タオ―老子 (ちくま文庫)/加島 祥造
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失敗を恐れ、こころが追い詰められている多くの受験生へ。

コチコチになった心をほぐすような本を紹介します。


高校時代、倫理の時間に老子の思想を習いました。

タオ(道)に従い、無為自然の時を過ごせば、だれでも幸せになれるという努力放棄の教え。

「孔子と反対の怠け者の思想だ。じゃあ東大に行くような学生が愛読するのは孔子か?老子か?」

と先生は質問し手を挙げさせました。大方の予想を裏切り、答えは老子。

努力家ほどもう一つの世界への憧れを持って精神のバランスをとっているのでしょうか。


この本は2500年前の中国の古典『老子』を現代によみがえらせた自由訳。

原文は非常に難解だけれど、思い切った意訳でその精神を伝えています。


「タオ(道)」というのは分かりにくいかもしれませんが、キリスト教なら「神」、仏教なら「ダンマ(法)」と置き換えてもよい。要は宇宙全体を支配する無限のエナジーのようなものです。



以下は抜粋です。




「たかの知れた社会なんだ」


ぼくらはひとに

褒められたり貶められたりして、

びくびくしながら生きている。

自分がひとにどう見られるか

いつも気にしている。しかしね

そういう自分というのは

本当の自分じゃあなくて、

社会にかかわっている自分なんだ。


もうひとつ

天と地のむこうの道(タオ)に

つながる自分がある。


そういう自分にもどれば

人に嘲られたって褒められたって

ふふんという顔ができる。

社会から蹴落とされるのは

怖いかもしれないけれど、

タオから見れば

社会だって変わってゆく。だから

大きなタオの働きを少しでも感じれば

くよくよしなくなるんだ。

たかの知れた自分だけれど

社会だって、

たかの知れた社会なんだ。


もっと大きなタオのライフに

つながっている自分こそ大切なんだ。

そのほうの自分を愛するようになれば

世間からちょっとパンチをくらったって

平気になるのさ。だって

タオに愛されている自分は

世間を気にしてびくつく自分とは

別の自分なんだからね。


社会の駒のひとつである自分は

いつもあちこち突き飛ばされて

前のめりに走ってるけれど、

そんな自分とは

違う自分がいると知ってほしいんだ。