東京高裁で法定刑を超える判決が言い渡されたそうです。
法定刑というのは、懲役何年~何年というように、その罪に適用してよい罰則の範囲のことです。
今回の対象となった「わいせつ電磁的記録所持罪」の法定刑は2年以下の懲役であったところ、
2年6月の刑罰を科したということのようですね。
ただし、執行猶予5年がついているようです。
執行猶予というのは、簡単に言えば、
その期間、犯罪を犯さなければ、刑務所に行かなくてよいということを意味します。
この記事では、地裁、地検のミスとあります。
裁判所のミスというのならわかるのですが、なぜ検察のミスにもなるのでしょうか。
それは、検察官がそもそも、法定刑を超える求刑をしたことが発端だからです。
そして、裁判官は、執行猶予をつけるばあい、求刑通りの期間の刑を言い渡すことが多いですが、
裁判官は、検察官の求刑を鵜呑みにそのまま判決してしまったのだと思います。
また、弁護人も気付かなかったということでしょう。
もし、私が弁護人だったら…
気付いて指摘できた!
と言い切りたいところですが、
少々こころもとない感がぬぐえません。
なぜなら、弁護士にとって執行猶予判決の獲得が最大の弁護の目的ですから、
執行猶予判決が獲得できた以上、刑罰の長短はあまり気にならないため、
そこまでチェックが行き届かないのです。
また、これが一番大きい理由ですが、弁護士には、
検察官、裁判官がきちんと調べているはず、という思い込みもあります。
ただ、いずれも言い訳の範疇でしょう。
そして、これは初歩的ミスといわざるをえません。
弁護士にとっても、弁護過誤とまではいえなくとも、
自身のクライアントである被告人に不利益をもたらす結果になっています。
他山の石として記憶にとどめたいと思います。