無断駐車で900万円、大阪地裁の判決

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大阪地方裁判所で、

コンビニの駐車場に無断で1万時間以上駐車し続けたということで、

車の所有者に約900万円の支払いを命じる判決が出たということです。

 

900万円の内訳は、報道によれば、

駐車料相当額と信用毀損に対する慰謝料ということですね。

 

ネットニュース配信の各社が、

ほとんどこのニュースを配信しています。

 

ただ、弁護士の目から見たら、

なぜここまで報道されるのかがイマイチよくわかりません。

 

なぜなら、

まず、この判決、

欠席判決なのです。

 

つまり、賠償を命じられた被告側は、

弁護士に依頼していないばかりか、

期日にも出頭せず、答弁書も提出しなかったということです。

 

この場合、擬制自白と言って、

原告の言い分が真実であると擬制され、

原告の立証は不要となり、

裁判所は原告の請求を認容するだけです。

 

報道各社は、今回の判決が欠席判決だということは報道していますが、

欠席判決の意味を説明している記事は私が探したところ見当たりません。

そういう意味で、

ミスリーディングな記事なわけです。

 

報道機関のこの報道姿勢には、

強い違和感を感じます。

 

事実、弁護士の所見としては、

本件のような事例で、きちんと被告が弁護士に依頼して争えば、

900万円を超すような賠償額になったとは思えない節があります。

 

私の意見としては、

コンビニの無断駐車は、不法占拠であり、

駐車料相当額の損害金が認められるべきだと思いますが、

その相当額の計算方法として、この方法が正しいとは思えない節があります。

 

報道によれば、この原告は、1時間当たり約700円の請求したようです。

当該地域のコインパーキングの相場からこのような数字をはじき出したのかもしれません。

これも一つの考え方ですが、

どうも実情に即しているとは思えません。

 

一時間たり700円は、

月に直すと、

700×24時間×31という計算式で、

約50万円です。

月極で考えると、やたら高いですよね。

 

このように常態的に無断駐車されていた事例で、

タイムパーキングと同等の計算方法が妥当するとは思えません。

むしろ月極相場などで判断されるのが通常ではないでしょうか。

 

この報道機関の報道によって、

一番の被害を受けているのは、

この判決を書いた裁判官かもしれません。

報道の中には、裁判官の実名が記載されています。

 

一般の方の中には、

なんておかしな判決を書くんだろうと思う方もいたかもしれません。

 

しかし、裁判官としては、

被告が出廷もせず、答弁書も出さない以上、

このような判決を書くしかないのです。

それが民事裁判のルールなのです。

 

そういうわけで、

欠席判決である以上、

あまり社会的に意味のある判決ではないのです。

 

にもかかわらず、

ここまで多くの報道機関が報道をすることについては、

違和感しかありません。

 

なお、報道機関が無知だからこのような報道をしているというわけではありません。

報道機関は、裁判の記事を専門に扱う司法記者の方々がいて、

相応の知識を持っていらっしゃいます。

 

まあ、ほかに報道すべきことがなかったということで、

世の中平和だとでも思うべきなのかもしれませんね。