堺市南区のあおり運転

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40歳の男性が、

堺市南区であおり運転をした結果、

バイクの大学生を死亡させたとして、

大阪地方裁判所堺支部に殺人罪で起訴された、

というニュースがありました。

 

この事件は、発生時にも、

ニュースになっていたので、

私も気にしていました。

 

あおり運転について、

殺人罪が問われることは極めて稀です。

殺人の故意(未必の故意を含む)の立証が困難だからです。

 

今回は、ドライブレコーダーの記録などが、

決定的な証拠になると検察は見ているようです。

 

あおり運転は言語道断であり、

検察庁が殺人罪で起訴したということについて、

遺族の方にとっては、せめてもの救いになったのではないでしょうか。

 

他方で、話は民事に飛びますが、

今回のような事故の場合、

保険が適用されるのでしょうか。

 

自動車事故の場合、

任意保険、自賠責保険、政府保障事業などの適用が考えられます。

 

任意保険というのは、

三井住友海上とか東京海上とか、

ネット保険でいうとアクサとかソニー損保とかですね。

 

そうして、あおり運転をしてしまうような人物が、

はたしてちゃんと任意保険に入っているか、

という危惧も抱かざるを得ません。

 

また、仮に加害者が任意保険に入っているとしても、

任意保険は、約款上、

故意による事故は、賠償の対象にしません。

今回のような事故の場合、

仮に殺人罪で有罪であるならば、

故意による事故の要件には当てはまると思います。

そうすると、保険会社は、

支払を拒絶することができます。

そうなると困るのは、被害者です。

 

他方、自賠責保険も悪意による免責の定めがあります(自賠法14条)。

ここにいう悪意とは、故意が明白な場合といわれています。

今回の事故が殺人罪として有罪なら、

自賠責保険もこの免責条項にかかる可能性があります。

 

もちろん、自賠責保険は被害者救済のための制度ですので、

支払われる可能性もあると思いますが、

支払われたとしても、

自賠責保険は、支払い上限のある保険です。

死亡の場合3000万円。

若くて将来のある大学生の死亡に対する賠償として、

3000万円で足りるはずがありません。

 

他に、政府保障事業の利用が考えられます。

ただし、政府保障事業も死亡事案の場合、上限は3000万円です。

また、その他、犯罪被害者給付制度というのもあります。

 

いずれにしても、任意保険の適用がなければ、

加害者が無資力だと、適切な賠償を受けられません。

 

この世の中には、

殺人を犯すかもしれないことに備えて加入できる保険などありません。

当たり前です。

 

殺人罪で起訴されたということは、とてもよかったと思います。

それとは別に、その裏側できちんと金銭的な賠償が得られる見込みがあるのか、

という点が、心配でなりません。