賃料増減額請求

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借地借家法は、

土地や建物の価格の変動や

賃料相場の変動が起こった場合に、

賃料の増減額を求める権利を定めています(借地借家法11条、32条)。

 

賃貸借契約は、比較的長期間継続するので、

その間の経済状況の変動によって、

当初の賃料が不相当になることがあります。

そのような場合には、

賃料の増減額を求めることができるという寸法です。

 

バブル期の地価や賃料相場の高騰、

リーマンショックによる地価や賃料相場の下落、

などがこの規定に該当するケースということになります。

 

この賃料増額請求は、

法律が仕組みを作っているという点で、

なかなか面白いところです。

 

増額請求のケースで説明してみます(賃料20万円を60万円)。

まず、貸主が借主に60万円の増額賃料を請求します。

これに対して、借主が拒否をします。

しかる後に貸主が裁判をし、正当な賃料が40万円と認定されたとします。

そうすると、請求の時点から賃料が40万円であったことになり、

貸主は借主に、20万円×請求時から現在までの月数を請求できます。

しかも、その未払い分について、1割の利息を請求できます。

 

つまり、解決までに請求から1年が経過していたとすると、

20万円×12か月×1.1(利息)=264万円請求できることになります。

 

こうなってくると、貸主としてみたら、

とりあえずチャレンジしてみればいいや、

ということになってくるでしょう。

しかし、そうはならないように

一応、借主にも反撃の機会が与えられています。

 

つまり、借主は、争いながらも、貸主が主張する額を一応支払っておく、

という選択肢があります。

たとえば、上述の例だと、

一応60万円を支払っておくのです。

しかる後に、裁判で正当な賃料が40万円と認定されたとします。

その場合、貸主は1割の利息を付してもらいすぎた分を返金しなければなりません。

 

つまり、解決までに1年が経過していたとすると、

20万円×12か月×1.1=264万円を返金しなければならなくなります。

 

このように法律は、バランスをとっているのですが、

現実に、貸主の主張する額を払うというのは、

骨が折れます。

利息1割と思えば、割がいいのかもしれませんが、

回収可能性や回収に対する労力なども考えると、

しんどい話です。

 

他方、貸主にとっても、

賃料増額請求はハードルが高いです。

5万円の賃料を7万円にしてほしいなどという場合、

弁護士費用等のコストを考えると、

気楽にとれる手続きではありません。

仮に増額が認められても、

そんな高い賃料なら引っ越すといわれたら

骨折り損になるかもしれません。

 

ですので、現実に賃料増減額が争われている事案は、

事業用賃貸借物件などの高額賃料の物件に限られています。

 

なお、賃料増額請求の結果、

借主が敗訴したら、

その分未払い賃料となりますが、

明け渡し請求までは認められません。

 

いずれにしても、

貸すとき、借りるときには、

慎重に検討してください。

 

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