伊豆スケ・ブログ

伊豆を愛するTakuが伊豆をまわって撮った写真や探検の記録
実際に訪れて書いたお店の食べ歩きレポ
音楽や料理など趣味に関してのこだわり薀蓄(うんちく)
エッセイ・ストーリー等、何でも気ままにカキコミするフォトブログです。


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 先日、秋田県鹿角市に住む両親のところへ帰省したとき、母親から聞いた話です。


 母が子供のころに体験した実話なので、メルヘンではなく、ちょっと不思議でもの悲しい話です。


 前にも聞いたことがありましたが、すっかり忘れていました。


 記憶から再び消え去る前に、書き留めておこうと思います。





 横田家は秋田県鹿角市の鉱山の町、小坂町にありました。


 母はそこの家の5人の男兄弟の末っ娘として生まれました。


 優秀な成績の兄達に混じり、野山をかけまわり動植物とたわむれる日々をおくっておりました。


 そんな横田家に、どこからか一匹のまだ若い野良猫が姿をあらわすようになりました。





 兄弟のだれかが何かエサでもやったのでしょう、庭に縁側に居ついて離れなくなりました。


 誰かが抱えて遠くに捨ててきても、またすぐに戻ってきてしまいます。


 見かねた若いころのキクおばあちゃん(つまり、母親の母親)がまだ少女のころの母に


 「今日はちょっと遠くの川向こう、橋を渡って捨ててこよう」


 「それでも戻ってきちゃったら?」


 「そうだねえ、飼うしかないかねえ」


 そんな会話を聞いたか聞かずか、猫は縁側で日向ぼっこをしているのでした。


 猫をかごに入れ、その日はいつもよりずっと遠くの隣町のほうまでキクと母は歩いて行きました。


 大きな川の橋を渡ったところで、猫をおろしました。


 そして、来たときとは違う道のりで帰りました。


 ところがです。


 家に帰るとねこがもうすでに先回りして玄関で待っているのです。


 母とキクは顔を見合わせました。





 こうしてその野良猫は家で飼うことになりました。


 もともと動物好きな家族です。


 誰彼ともなくミケと呼ぶようになり可愛がっておりました。


 ミケのほうも頭のいい猫で、こうして自分の最適の住処を手に入れたわけです。


 どうもミケは人のことばがわかるようだと兄弟の誰かが言っておりました。


 しかし、そんな幸せな日々も長くは続きませんでした。

 




 とある冬の日、事件は起こりました。


 ミケは居間に入ってくるなり、兄が大切に飼っていたカナリヤに手をかけてしまったのです。


 畜生の悲しさか、ポンと手を伸ばして触れただけでしたが、小さなカナリヤにとってはひとたまりもありません。


 兄のカナリヤはたちまち死んでしまいました。


 かけつけたキクはとっさに叫びました。


 「おまえなんか、どっかに行っておしまい!」



 

 その日からミケは横田家からぱったり姿を消しました。


 



 事件から10日ほどたったある朝、ミケが見つかったとの話を聞き急いでキクと母はその場にかけつけました。


 細い路地の白い雪の上に、ミケは小さく丸くなって死んでおりました。


 「ミケ…」


 キクはもうすっかり冷たくなったミケの身体を抱きしめ、いつまでもたたずんでおりました。



 


 
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 僕があのこに最初に会ったのは、ある晴れた冬の朝だった。


 家を出ると、雑木林の小径を抜けて、町の学校へ向かう一本の大通りに出る。


 すると、降り積って硬く凍った雪の残る一本道を、あのこは歩いて来るんだ、ポニーテールの髪に紺の制服、真っ赤なマフラーに白い息をはいて。

 

 僕は毎朝、7時40分に家を出るんだけど、ちょうどその頃あのこも道をやってくる。


 日によって、僕が先だったり、あのこが先だったりはしたけれど、でも、学校へ着くまでにお互い口をきいたことは一度もなかったな。



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 そんなある日、僕は雑木林を抜け出たとたん、通りをやってきたあのこにばったり会った。


 そしたらあのこは


 「おはようございます」


 と言ったんだ。


 僕は何と言ったらよいか、わからなくって、そのまま足早に歩いて行った。


 振り返るのが、怖かった。





 次の日から、僕はなぜか少し時間をずらして家を出た。

 

 まるで何か、取り返しのつかない罪を犯してしまったかのような気持ちで、僕は毎日隠れるように登校した。


 あのこには、会わなくなった。






 しばらくして、やっぱり僕は7時40分に家を出てみた。


 けれども、あのこは来なかったよ。

 

 次の日も、そのまた次の日も、通りを目をこらして見たけれど、あのこは二度と通らなかった。






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ある秋の曇りの日、私はいつものように水を汲みに伊那下神社に行きました。


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いつもの水汲み場に行きますと、神命水をこんこんと吐きだしていた獅子の像がありませんでした。


これはどうしたことでしょう。


なんだかいつもと様子が違います 。

何かの気配に振り返りました 。

すると




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ここにはよく来るのかい?

 

 

 

 

 

 

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       まぁた人間が来たよ! あひゃひゃ

 

 

 

 

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                写真機なんか持ってるよ

 

 

 

 

 

 


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            ほら、モデルになったげる  ひひぃん

 

 

 

 

 

 

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オイラも撮ってほしいんだニャア

 

 

 

 

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  境内はいつの間にかこんな動物の神様でいっぱいでした

 

 

 

 

 

 



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           びっくりしたかい

 

 

 

 


 

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       びっくりしたなんてもんじゃないですよ


       今日はいったいどうしちゃったんでしょう? 

 

 

 

 


 

 


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          ははは、運がいいな、若いの

 

 

 

 

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           今日は特別な日ですよ

 

 

 

 



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森の神、川の神、光の神、海の神、郷の神、陽の神、風の神、土の神…

昔はありとあらゆるものに神がいたのです

 

 

 

 


 

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     「今日はそんな神々たちの復活祭ですよ」

そう言うと、イチョウの落葉とともに舞い上がって消えていきました 。

 

 

 

 

 


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        松崎の伊那下神社での出来事です

     信じてもらえないかもしれませんが、本当です  


 

 

 




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少年は、帰省先の田舎の海岸で、ひとり遊んでおりました


それはそれは、青く美しい海と空でした


 

 

 


夏への扉


少年は、秘密のビーチに抜ける小道を発見しました








いつか見た青い海



そこには、誰もいない海岸が広がっておりました


少年はひとり歩いていきました


足元には、見たこともないような綺麗な貝殻がたくさん落ちているのでした


少年は夢中でそれを拾っては、ジーンズのポケットに詰め込みました




 

 

 

 

 

貝殻ひろったあの海岸


パンパンになったポケットの貝殻を出してみて、少年はびっくりしました


硬く、丈夫なとがった貝殻に押されて、美しい光沢のある貝殻は割れたり、傷ついたりしているのでした


少年は心 悩ませました


考えたあげく、少年は硬くとがった貝殻の方を捨てました


 

 

 

 



さくら貝



夏休みが終わり、少年は貝殻を学校に持って行きました


となりの席の少女は、少年の田舎での、貝殻を拾った話を聞き、捨ててしまった貝殻のことをとても残念そうに言いました。



少年は少女の意外な反応に、何と答えてよいかわからず、ただ笑って立ちすくんでおりました




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(やっぱり峠越しは無理かしら…)

弘子は、昨晩から降り始めた大雪を報道するテレビを横目で見ながら、ため息混じりにつぶやきます。


待ち焦がれた週末、孝一は弘子の家に来るのです。



二人でおうちカフェ。

この約束があるから私は生きていける…。


                     雪景色



孝一の車は中古のスポーツタイプ。

四駆でもなく、ローダウンしてあるためチェーンを巻くようなタイプでもない。

「雪の日は出かけないよ」

以前そう話していたのを聞いたことがあります。

「昔、亀岩峠でひどい目にあってさ」


なんでも、峠越しする際、降ってきた雪で立ち往生し、通りがかったパジェロミニに牽引してもらって、命からがら下山したのだそうです。



弘子の携帯から、ちろん、とメールの着信音が響きます。

(孝一から…?)

あわてて折りたたみ携帯を、ぱちん、と開く。

「ゴメン、今日雪で無理だから」



やっぱり、という落胆と、結論が出てあきらめがついた、という気持ちが入り混じり、弘子は携帯を、ぱたん、と閉じて、ふたたび大きなため息をひとつ。

(ま、自然災害だからね、しゃあないっか!)



気分を切り替え、ひとりの週末をどう過ごすか考えをめぐらせます。

孝一の言うとおり、こんな日は無理して出かけてもろくなことはなさそう。

ふたりで過ごす予定だったおうちカフェ、おひとり様貸切りで開店させちゃおっかな?

 




ドリップ



弘子の部屋にコーヒーメーカーはありません。

ひとり暮らしの弘子に、一度に大量にドリップできるコーヒーメーカーは必要なかったのです。

極小のドリッパーをカップに乗せ、コーヒーフィルターを折り、この日のために用意した、ちょっと割高のブレンドコーヒーをスプーンで入れていきます。

ことんことん、湧いてきた白いティーポットの湯気越しに、窓の外にはあとからあとから舞い降りる雪が見えています。

(あ、もう完璧ダメだわ)

思わず苦笑い。

この日ほど雪を恨めしく思ったことはないかも。





                マフィン




マフィンを焼き、小皿にとって小さな部屋の真ん中の、小さなテーブルに乗せる。

ドリッパーの上に、ポットの沸騰したお湯を何回かに分けて、粉を蒸らしながら注いでいく。

このとき部屋に立ちのぼるコーヒーの香りが弘子は好きでした。

ひとり暮らしでできるささやかな幸せ。




                               シングルカップ


秋の終わり、山越しをした町にあるイタリアンのお店「ペスカトーレ」で弘子は孝一と出逢いました。

夜はダイニングバーになるこのお店で、ランチを済ませ、ひとりカウンターでコーヒーを飲んでいた弘子の隣にたまたま座ったのが孝一でした。


はじめはなんとなく無難な世間話などしていましたが、お互いコーヒー好きだということがわかると、二人で一気に盛り上がりました。

「コーヒーのめちゃめちゃうまいお店知ってるから!」

嬉々としてしゃべる孝一の笑顔に惹かれ、ランチに連れて行ってもらったのが最初のデート。

「今度はうちでコーヒーご馳走するから」

何回目かのデートで、そんな言葉を思わず口にするまでまでそう時間はかかりませんでした。

週末は二人でおうちカフェ。

それが弘子のマイブームであり、今や最大のイベントとなっていきました。




 
 
 
 
 
 
そんなことを回想しながら、窓の外に降りゆく雪を見つめています。





(今夜はここ海辺の町にも何年ぶりかで積もるかな?)
 
 
 
 
 
 
 
 




ぴん、ぽ~ん…










そのとき玄関の呼び鈴が鳴りました。





(こんな天気の日に、誰?)






いぶかしげにドアを開けると、そこには白い息を吐く孝一の笑顔がありました。

「どうしたの!?この雪の中!?」

「こんな日もあろうかと、今年はスタッドレスタイヤにしたんだ」

一気に湧き上がる感情を弘子は必死になって押さえます。

「大丈夫だったの?大雪じゃない…?」

急に触れた冷たい外気のせいか、弘子の視界は急ににじんでいきます…

悟られまいと、適当なことを元気に口にしながら部屋にあげると、孝一はこう言いました。

「貸し切り予約していた孝一です、今日はアップルティーお願いします!」









その十分後、弘子の小さな部屋の小さなテーブルには、二つのカップが仲良く並んでいました。

窓の外に降る雪も、もはや二人のおうちカフェを飾るひとつのアイテムにしか過ぎません。


やがて海辺の町に夜の戸張が降りました。

降りゆく冬空の下、二人のおうちカフェには暖かい明かりがいつまでも灯っておりました。



二人で
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