こんにちは、企画担当です。
11月になり、ついに古楽最前線がはじまりました!
このシリーズのVol.3「スペイン再発見」で登場する弦楽器、ヴィオラ・ダ・ガンバについて今回もお話しします。
実際に楽器を見て音色を聴き、興味がさらにわいて来たは、この楽器はいつどこで生まれ、どのように発展して、今はどうなっているのかが気になりました。
そこで、いずみホール音楽情報誌Jupiterの「楽器拝見Vol.28」神戸愉樹美さんのインタビューと、先日お話を聞いたガンバ奏者さんのお話より、歴史についてちょっとだけまとめてみました。
ヴィオラ・ダ・ガンバ(以下ガンバと書きます)やヴァイオリンなど弦をこすって音を出す擦弦楽器(さつげんがっき)のルーツはウズベキスタンあたりと言われています。
そこから色々なルートを辿ってヨーロッパではガンバ属、ヴァイオリン属の弦楽器が発展していきます。ガンバ属は北アフリカやイベリア半島を通り、15世紀末にローマに到着、教会音楽に使用されて栄えて行きました。
産業や文化の中心がイタリアだった時代にガンバもヨーロッパ各地へ広がりました。海を越えてイギリスにもわたり、ヘンデルもガンバの作品を残しています。
フランスでは、ルイ14世、15世のお気に入りの楽器になりました。非常に柔らかい音色で、室内楽に適していたこともあり、王侯貴族たちの晩さん会などで演奏され、上流階級の人々の間に広まりました。ギターのようなフレットがあることで、音程が取りやすく、王侯貴族の子女たち間で習い事としても流行しました。
楽器を習う事や楽器の装飾が美しいことなど、貴族の文化的教養や権威を示す要素の一つだったことが伺い知れます。王のお気に入りの楽器は貴族たちの間で憧れの楽器となり、ドイツなど近隣国へと輸出されていきました。バッハもガンバとチェンバロのソナタを3曲のこしています。
もともとガンバは6弦の楽器なのですが、17世紀末にフランスのガンバ奏者が7弦の楽器を発明しました。弦を1本足すことで音域は広がり、より響いて音のふくよかさが増します。表現の幅が広がり、バロックの中期・後期にはフランスを中心に7弦のガンバが増えていきました。
しかし、この楽器も歴史の波に飲み込まれてしまいます。フランス革命が起き、貴族の文化が廃れていきました。一般庶民に広がっていなかったガンバはオーケストラの楽器にも加えられず、時代と共に衰退していきました。
しかし、完全に無くなってしまったわけではなく、1880年代にイギリスで復興され、今日に至ります。もちろん日本にもガンバ奏者の方は数多く、コンサートやレッスンが行われています。
放射状に広がる語りかけてくるような音色、人に寄り添うあたたかみのある響き・・・時代の波にのみこまれながらも現在も多くの人々を魅了するヴィオラ・ダ・ガンバ。
その楽器を自由自在に操り、ジャンルを飛び越えた活動で、旋風を巻き起こす演奏家がスペインからやってきます。
11/11にファミ・アルカイ率いるアカデミア・デル・ピアチェーレがいずみホールで16~17世紀のスペインの情熱的な音楽を披露します。
http://www.izumihall.jp/schedule/concert.html?cid=1694&y=2018&m=11
響きの良さに定評があるいずみホール、古楽器・ピリオド楽器との相性は抜群是非ご来場ください。
【公演情報】
●日時
2018年11月11日(日)14時開演
●出演
ファミ・アルカイ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
アカデミア・デル・ピアチェーレ(古楽アンサンブル)
●料金
一般=¥5,000 学生=¥2,500
●お問い合わせ
いずみホールチケットセンター 06-6944-1188(10:00〜17:30日祝休)
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