昨年12月に行われた衆院選挙で最大2.43倍の「一票の格差」が生じたのは憲法違反ではないかとして争われた16訴訟全ての判決がでそろった。

そのうち「違憲・選挙無効」の判決が2件、「違憲」が12件、「違憲状態」が2件という判決だった。マスコミ報道を見てると、「選挙無効」判決をことさら強調している。私自身もまさか「選挙無効」の判決が下さられるとは思ってもいなかったが、それよりも深く考えなければならないのは、この訴訟において、1件も「合憲」だという判決がでなかった事であります。

司法が立法府につきつけたのは、「あなた達は法律を作る立法府だが、そのあなたちは合憲状態ではありませんよ。」という事であります。

そして、「違憲状態」と知りつつ、なんら是正をやらず、選挙を行い、日本の立法府の一院、しいては、行政府も「違憲」の下に成り立っているという奇妙な構造になっております。

そのような意味では、その事が分かっていながら、解散・総選挙を行った当時の野田総理の判断は非常に罪深いものとなります。

確かに「ねじれ状態」の国会で、特に格差是正は選挙制度や議員定数削減で絡む問題であり、各党各会派の思惑も絡む問題であるだけに簡単にいかないというのも事実でありますが、今回の判決を受けて「立法府」には対処していただきたいと思います。

そのような中、「05減」で一票の格差問題の幕引きを自民党がやろうとしてますが、ほんとうにそのような形だけで良いのでしょうか?この一票の格差の問題は格差是正と同時に、議員定数削減も行わなければ全くもって意味がありません。

そもそも、あの衆院選挙を約束した「党首討論」において、当時の野田総理と安倍自民党総裁が公衆の前で選挙後、直ちに議員定数削減を行う事を約束したはずです。

議員定数を選挙区、比例区でどれだけ削減するのか?その先に、小選挙区・比例代表制をこのまま維持するのか、それとも変えるのか?もし、維持するのであれば、選挙区の区割りをどうするのかという結論を導きださなければならないのではないでしょうか。

そのような意味では、1ケ月で結論が出るような話では私はないと思います。総理や与党・自民党にはこの議員定数削減と格差是正の期限を3ケ月程度で区切って、そして各党と調整し、国民の皆さんが納得できる議員数と「一票の格差」是正を行ってもらいたいと思いますし、それこそがあの選挙の約束を果たしたという事になるのではないでしょうか。

このまま立法府である国会が何もせず、憲法すら守らないのではあれば、政治不信は益々高まり、「法治国家」である我が国が無秩序状態になり、崩壊へとつながっていってしまいます。そのような意味では立法府である国会の真摯な姿勢を望みます。