THE マムシトイレ | 厠(かわや)イヤミ百景

THE マムシトイレ



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「マムシ注意



とんだトイレの入口である。

とある山間の公衆トイレの前に大きく一句。


トイレは自分の中の排出物を出すなり、せちがらい外の世界で唯一素に戻れる場所である。

つまりはリラックスゾーンであり、解放区

「やっぱり素顔の君が一番」の場所でなければならないのに、トイレに入る前からこの挑戦状。


「薄さ0.001ミリのガラスを割らないように100メートル全力で駆け抜けて下さい、失敗するとお宅のかわいいワンちゃんに高級肉の味を覚えさせます。一度味をしめたからには、明日からエサ代がかかりますよ!」と、脅迫されたかのような緊張感が生まれる。


まだ犬の味覚が多少贅沢になるくらいならまだしも、相手は「マムシ」である。


普段ならとんと出逢わない。

出逢うわけがない。

コンビニにはいない。



明らかに出逢った瞬間に友好関係を結べるようなお相手ではない。

なんてったって、噛むことを得意とされているし、さらには毒をお持ちではないか?

死亡率は低いとはいえ猛毒に変わりはないし、インフルエンザの予防注射でもない限り、出来れば自ずから体内に毒は注入したくないのが人の人情。

そんなMA☆MU☆SHI。



トイレはみんな解放区かと思えば、ここのトイレときたら油断ならないのである。

排泄物を出してスッキリ顔をしている、その足元にマムシがいつ何時現れるか分からない。

個室でどっこいしょと座って構えていれば、空からこぼれたSTORYよろしく天井から細長いものが落ちてこないとも限らない。


「注意」の漢字くらい大抵の人は読めるのに、わざわざ赤文字にした上に漢字の横に強調するように点まで置かれている。

「わき見運転注意」ならまだ自分との戦いであるが、「マムシ注意と来れば自分対アニマルとの戦いの話である。そう言われて、自信を持って勝てると言える現代人がどれほどいようか。


マンガ的表現で、DB(大便)をトグロで表現するときがあるが、ここと来たら下手すれば本物のトグロを見てしまうことにもなりかねない。しかも低温でアライブ。




まあここが山深いところにぽつんと建てられた公衆トイレだから仕方ない。

正にならではである。






やはり一番に伝えなければならないことの方が、大きく書かれるのが普通だろう。

駐車厳禁の看板より倍近く大きい「マムシ注意の看板を尻目に、トイレの中に入れば意外と綺麗に整備されたトイレであった。


よく古びた公園などには、遊具のコンクリートの山と同じように作ったんじゃないかと思ってしまうような、コンクリ打ちっぱなしの風通り抜けっぱなしのトイレを見掛けるが、ここはそれらと違っていた。



あえて日本人が好みそうな和風スタイルにデザインされ、整備されたトイレ。表の看板の危惧するところとのギャップが尚さら怖い。


わりかし綺麗なトイレを建ててみれば、後になって管理事務局に届くメッセージは「マムシが出たぞ!」

思わぬ珍客に急遽このような看板が立てられたのであろう。

「後は皆さんでどうにか気をつけて下さい」という自由に放物線を描く玉だけが投げられた。



輸出タイトル「SUKIYAKI」こと、「上を向いて歩こう」という曲があるが、ここでは「下を向いて歩こう」と書いて「MAMUSHI」である。

♪下を向~いて あ~るこ~ぉぉぉ♪

♪マムシに 噛まれ ないよぉぉぉぉぉに♪




幸い私が入ったときには他の人間の姿もとい、マムシの姿は見かけなかったが、男性など用を足そうと小水用便器の前で、自分の棒状のナニをポロンと出しているときに、形状が似てると言えば似ているマムシに「ナニ奴!」といきなり飛びつかれて噛まれた日には呼びたい助けも呼び辛いものである。





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まあ噛まれた日には、普段の倍の倍の倍ぐらいには腫れ上がることだろう。




トイレのはずなのにありえない緊張感。恋はスリル、ショック、サスペンス。

「幽霊注意と書かれた看板のある、廃墟に踏み込むのにも似ている(そんな看板見たことない)。



公衆トイレなんて何気ない面して、何気ない気持ちで利用するのが当たり前となっていた現代人の緩んだパンツの紐に一石投じるここのトイレ。安全にトイレが出来るということが、どれほどありがたいことか分からせてくれるではないか?






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ポロンとした途端に噛まれては大変だが、そんな小水用便器の間には、








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「いつも きれいに 使って

くださって ありがとう   」



軽くタメ口である。


どこかの世界で俗に言う「紙足りず現象」と見た。


その手書きのイヤミ注意文。

文の最初っから最後まで丁寧な言葉で締めようと思いきや、「ありがとう」のところまで書いた段階にて、続く「ございます」を書くスペースがなかったことに気付いた一筆であろう。

雷光きらめくが如く、「足りんがね!!」と気付いたときは既に遅し、紙のスペース具合の計画に不備があったために最後がタメ口となってしまった。


配置スペース的に置けると思って購入した大型冷蔵庫が、配送到着日にまず玄関を通らなかったのにも似ているだろう。「そこだったんかい!」と。



そしてこれは上から見下ろしたパース的にそう見えるのを除いても、「いつも」という文字がちと大きい。

まず「いつも」と書いてみたものの、「ちと残りを書くには大きく書き過ぎたかな?」と一度は文字の大きさに修正を加えたのもアフターカーニバルだったのであろう。



それでもだ。

ここ、マムシが出てくるような山間にポツンと建てられた公衆トイレ。



当然、私がこのトイレに訪れたのは初めてだ。

他の人もほとんどが初めてか、それでも度々訪れるような人はいないだろう。



普段身の回りのコンピニ・公園のトイレならば、まだ「いつも」もなんとか適応されるところだろうが、ここほど「いつも」が似合わないトイレもない。

「趣味は山登り、理想の仕事は山登り、好きなスポーツは山登り、三食昼寝つきで山登り、嫌いな言葉は"遭難"」というほどの山男ならばまだしも、一般ピープルはあまり訪れるような場所ではない。



よくある定型文のイヤミ釘刺し型のトイレの貼り紙を元に書かれたのだろうが、ここでの「いつも」はあまりに日常から遠い。


「初めて きれいに 使って

くださって ありがとう」


と書かれたところで、普段からどんだけノーマナー野郎として捕らえられているんだ、俺の何を知っているんだと問い詰めたくなってしまう。


まだ


「マムシが来ないように

足踏みしながら用を足して下さい」


と書いてくれた方がいいのではないか。

足踏みしながらでもアウト・オブ・便器へのおこぼしは許されない。





最後に個室にて、







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個室内上部に設置された貯水タンクのパイプと壁の隙間に予備のトイレットペーパーがセットアップこと、セタップ。


よく考えれば、棚や掃除用具入れなどといった暗く狭い場所にマムシってば入り込んでいそうだ。

そりゃ掃除される側もいろいろオープンにしておきたいのであろう。


トイレットペーパーを出そうとしてマムシに噛まれた日には孫の代にまで語りつがれる。

「勇敢にトイレットペーパーを出したそうじゃった・・・」





あと、棚がないという点は無視で。







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