甘き人生

『甘き人生』公式サイト

 

1939年生まれで現在77歳のイタリアの映画監督マルコ・ベロッキオ。今回初めて見た監督作品の『甘き人生』ですが、その宣伝チラシには「巨匠マルコ・ベロッキオが、ある男の人生を通して激変の時代を描き尽くした、イタリア映画史に残る傑作!」と、なかなか派手な惹句が躍っております。原作は、イタリア人ジャーナリストのベストセラーになった自伝小説のようです。

 

映画の原題も、原作と同じタイトルの「Fai bei sogni」となっていますが、調べるとイタリア語で“よい夢を”という意味。それが邦題では『甘き人生』となるわけですが、人生に対する考え方が“甘い”というのではなく、“甘き”人生と表現しているところにセンスを感じます。「甘い人生」でもイケませんよね(笑)。劇場は伏見ミリオン座(10ポイント獲得での無料鑑賞)。グッド!

 

甘き人生

 

以下は映画『甘き人生』公式サイトに記載の紹介ストーリーです。

 

1969年、トリノ。9歳のマッシモの穏やかな幼少期は母親(バルバラ・ロンキ)の謎めいた死によって閉ざされてしまう。神父が母親は天国にいると伝えても、小さな少年はこの喪失を受け入れようとはしない。時が経ち90年代、ローマ。大人になったマッシモ(ヴァレリオ・マスタンドレア)は、腕利きのジャーナリストとして成功を収めてきた。しかしサラエボでの紛争取材の後、パニック障害を起こしてしまい、駆け込んだ病院で、精神科医のエリーザ(ベレニス・ベジョ)と運命の出会いを果たす。

 

それまで人を愛することができなかったマッシモだったが、この出会いによって次第に心を解きはじめる。そんな折、父親(グイド・カプリーノ)の逝去を機にトリノに戻ったマッシモは、幼い頃両親と住んでいた家を売ろうと決める。様々な思い出が詰まったその家で、マッシモは再び過去のトラウマに向き合うことになるのだった…。

 

甘き人生

 

1969年、9歳の少年マッシモの前から、ある日突然に母親がいなくなってしまう。司祭から母親は天国にいると諭されるも、その事実を受け入れらないまま喪失感にさいなまれるマッシモ。そして30年近くの時を経た90年代。ジャーナリストとして成功を収めた主人公ですが、いまだ心の傷は癒えていません。そんな折、精神科の女医エリーザと出会って、恋に落ちます。ラブラブ

 

1960~90年代の古都トリノと首都ローマを舞台に、自閉的で癒しがたい孤独を抱えた男の内面世界に迫っていく人間ドラマであると同時に、彼が母の死の真相にたどり着くミステリー風の味わいもある作品です。原作に忠実な映画化だとすれば、主人公は1960年生まれですから私とほぼ世代。40歳前後になって運命的な女性と出会うと同時に、深い愛情を抱いたまま母親に“置いて”かれた少年期のトラウマから、ようやく脱却できそうな印象を残すラストです。

 

1970年代直前の少年期と成人した1990年代。映画はこの二つの時代をいく度となく行き来しながら、主人公マッシモの屈折した内面世界を描いていきます。正直いえば、私にはすっきりと理解できるような構成になってはいませんでしたが(汗)。戦後のイタリア社会の歴史なども少し学習しておき、機会があれば、もう一度見直したいと思わせる“巨匠”の映画でした。パー

 

 

(2016年、監督・脚本/マルコ・ベロッキオ、脚本/ヴァリア・サンテッラ、エドアルド・アルビナーチ、原作/マッシモ・グラメッリーニ、撮影:ダニエーレ・チプリ)

甘き人生

 

甘き人生

 


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