1台のPCで複数のServerを動かそう ! -9-
<話題の履歴>
前回はSametime Server用のDomino 7 Enterprise Serverを導入してNotes.iniなどの基本設定を行うところまで実施しました。
今回は、Sametime Serverを導入する前に、このDomino Serverの設定を行っていきます。
Sametime Serverを単体で導入する場合でも、Domino Server導入後、今回紹介する設定を行った後に導入されることをお勧めします(但し、今回は複数Serverを同一PCで動かすという例外的な処理をしていますので、その部分は通常のSametime Server導入の前準備では不要です)。
前回の続きから実施されている場合はDomino ServerもSametime用のDomino Serverも稼動した状態になっていますが、作業を中断した場合は両方のServerを起動してください。
作業を開始する前にDomino DirectoryのReplicationを実施します。
というのも、Domino Serverが稼動すると、ServerのRelease情報などがServer文書に書き込まれるため、そのままServer文書を編集すると競合文書になってしまう場合があるからです。
Domino Server Consoleから、以下を入力します。
今回は、Sametime用のServerではなく、最初に導入したDomino Serverから操作します。
repl STSrv/LotusSW names.nsf
Replicationが完了したことを確認してから、Domino AdministratorでServer文書の編集作業を開始します。
今回は、前回の作業の続きで作業していることを前提にしますので、Server文書はDomSrv/LotusSWにあるDomino Directoryを操作していきます。
Administratorで「Configuration」タブの「Server\All Server Documents」 ViewからSametime Server用に導入したServer文書を編集します。
以下、順番に設定を行っていきます。
1.Basicの設定
Basicタブの設定はSametime Serverであることの設定のみです。
Basicタブの中のBasic Sectionの右下にSametime Serverかどうかの指定がありますので、「Yes」に変更します。
(基本的には、以降は前回紹介したServerの設定 とほぼ同じとなりますので、画像は省略し、要点のみを記載します。詳細の画像が見たい場合は、1台目のServerの設定の記事 を参照願います。)
2.Securityの設定
Server文書のSecurityタブを開きます。
2.1.Administratorの設定
Administratorとして、LocalDomainAdmins/Server管理者IDをFull Access Administrators/Administrators/Full Remote Console Administrators/Server Administratorsに設定します。
2.2.Server Access権限の設定
Server Access権限のReplicaやDB作成権限者として、LocalDomainAdmins/LocalDomainServers/Server管理者IDを指定します。
また、信頼できるServerとして、LocalDomainServersを指定します。
2.3.Programmabilityの制限設定
Programmabilityの制限の設定として、LocalDomainAdmins/LocalDomainServers/Server管理者IDに全ての権限を与えます。
制限つきAgentや式の実行権限は全てのUserに与えます。
3.Network設定の確認
「Ports」タブの「Notes Network Ports」タブを開き、Server Setup時に指定したFQDNが正しくTCP/IPのNet Address欄に記載されていることを確認し、間違ったFQDNが記載されている場合は正しく修正します。
4.Internet Protocolの設定
Serverを同一のPCで複数台稼動させるために、HTTP TaskもIP Address限定で稼動するように設定を行います。
4.1.HTTPの設定
「HTTP」タブを開き、Host NameにServerのFQDNを設定し、Bind to Host Nameを有効にします。
これにより、Host NameにBindされますので、HTTP TaskはHostsに設定されたFQDNを参照し、IP Address(今回の場合は172.16.0.2)に限定した形で80 PortでListenするようになります。
4.2.Domino Web Engineの設定
「Domino Web Engine」タブを開きます。
Web Agentの同時実行及びXML Serviceを有効化しておきます。
また、今回導入しているBeta版は英語版ですので、Defaultの文字セットが英語になっていますので、以下のように日本語に変更します。
以上でServer文書の設定は完了です。
変更を保存して閉じてください。
これで、Server文書の設定が完了しましたのでDomino Server(DomSrv/LotusSW)のServer Consoleから以下を入力して、names.nsfをReplicaします。
repl STSrv/LotusSW names.nsf
names.nsfのReplicationが完了したら、Sametime用のDomino Server(STSrv/LotusSW)のConsoleから以下を入力してDomino Serverを再起動します。
restart server
Serverが再起動され、HTTP Taskが起動するまで待ちます。
HTTP Taskが起動したら、Internet Exploreを起動して、以下にアクセスしてください。
どちらのServerにも別のBrowser Sessionから同時にAccessできることが確認できます。
また、MS DOS Command Promptから、netstat -an を発行してみてください。
172.16.0.2を限定した状態でHTTPのPortであるPort 80がListenしていることが確認できます。
これで、Sametime ServerのためのDomino Serverの設定が完了しました。
次回は、Sametimeの導入前提となっている、LTPA TokenによるSSO(Single Sign On)の設定を行います。
1台のPCで複数のServerを動かそう ! -8-
<話題の履歴>
前回までで、1台目のServerの導入は完了しました。
今回以降は2台目のServerとして、Sametime Serverの導入を行っていきます。
まず、同じDomainの追加ServerとしてSametime Serverを導入しますので、Server IDの作成を行います。
Domino Administrator Clientの「Configration」タブのToolsのRegistrationからServerを選択します。
登録するServerと、CertIDの指定を行います。
CertIDはServerのData Directoryにcert.idがありますので、それを指定してください。
「OK」ボタンで先に進むとCertIDのPasswordが求められますので入力します。
ID Recoveryの設定が行われていませんので、Warning Messageが出ますが、そのまま「OK」で次に進みます。
次の画面でもDefaultのまま次に進んでください。DefaultでServerIDの有効期限は100年となります。
Server名は第二回 のHostsで設定したServer名を指定し、Server Titleはわかりやすく記述します。
また、Server IDはDomino Directoryに保存の指定を外し、Fileとしての保存を選択します。
Domino Directoryへの保存を行う場合はPasswordが必須になりますので、Password無しで起動できるServerとするため、Fileへの保存のみの指定にしてください。
設定が完了したら、チェックボタンを押して、Serverを登録します。
Server IDの登録が完了したら、新しいServerを導入となりますが、導入する前に現在のDomino ServerのRegistry KeyのBackupをとります。
というのも、追加でServerを導入すると現在のRegistryが削除されてしまい、新しいServerの物で置き換わってしまいます。
基本的にWindows環境ではPartitioned Server Install以外は複数のServerを導入することはサポートされていないため、このようになっています(Partitioned Serverの場合はProgram Dirは一つであるため、Registryは1つで済みます)。
Windowsスタートメニューの「ファイル名を指定して実行」を選択し、regeditを入力します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Lotus\Domino のKeyをエクスポートして保存します。
また、HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\Lotus Domino Server (LotusDominoData) のServiceのKeyも同様にExportして保存してください。
このRegistry Keyは今後、このServerをVersion Upする場合などにRestoreして利用します。
Registry KeyのBackupが完了したら、新しいServer Programを導入します。
今回はSametime ServerもSametime 7 Beta-4を導入しますので、Serverも再度Domino 7 Beta-4を導入します。
今回の例では同じReleaseのServerを導入していますが、別のReleaseを導入することも可能です。
但し、Windows環境での複数Release Serverの導入は正式にサポートされていませんので、その点は了解ください。
Unix環境の場合は複数Releaseを同一Server上に入れることが可能で、正式にサポートされています。
さて、では、追加ServerのProgram Moduleの導入を行います。
最初のServerと同様に今回はDomino 7 Beta-4を導入します。
DownloadしたModuleを実行すると、Moduleが解凍され、Installが開始されます。
導入先Directoryの画面では前回導入したProgram DirectoryがDefaultで表示されますので、必ず変更してください。
Data Directoryも同様に変更してください。
前回と同様にEnterprise Serverを選択してProgram Moduleの導入を開始します。
Modukeの導入が完了したら、Domino ServerをStartしてSetupを開始します。
スタート・メニューのLotus ApplicationsのLotus DominoのEntryが上書きされてしまっていますので、そこにあるショートカットを他のフォルダー(例えばLotus Sametime ApplicationsというFolderを作成します)にCopyしてから、ショートカットの内容を元に戻しておきます。
新しいFolderにCopyした方のショートカットからSametime Server用のDomino Serverを起動してSetupを開始します。
今回は追加ServerとしてSetupしますので、追加Serverを選択します。
Server IDをFileから提供します。Server IDはNotes ClientのData Directoryのids\serversに収められていますので、そのIDを指定します。
次に進むと、Server Taskの設定が現れますので、追加ServerはLDAPは構成せずに、HTTP Serverのみ構成します。
また、「Customize」ボタンで詳細の設定を行います。
今回は、Defaultに追加でStatistics/Statsを有効化しておきます。
また、Network Settingsでは前回と同様にTCPIPのHost NameにSametime Server用のFQDNを指定します。
Domino Directoryを取得するServer名及びFQDNを指定します。
この時点で、最初のDomino Serverが稼動していることを確認してください。
稼動していない場合は、Mediaを指定して、最初のServerのData Directoryから直接取得することもできます。
後は、DefaultのままSetupを開始します。
Setupが正常に完了したことを確認してください。
Setupが完了すれば、Serverを起動する前に最初のServerの設定時 と同様にNotes.iniに以下の設定を行います。
ここでは要点だけ書きますので、詳しくは前回の記述 を参照ください。今回は、前回のIPと異なり、IPは172.16.0.2となります。
Notes.iniのNetwork Port設定のわかり易い位置(Ports=TCPIPの下くらいに記述するのがわかりやすいでしょう)に以下を記述します。
TCPIP_TCPIPAddress=0,172.16.0.2:1352
Design Taskの夜間の定期稼動を停止するために、以下のServerTasksAt1=からDesignを削除します。
ServerTasksAt1=Catalog,Design
Notes.iniの最後の行に以下を追加して、改行を追加します。
No_Force_Activity_Logging=1
設定が完了したらNotes.iniを保存して、Serverを起動し、完全に起動が完了するまで待ちます。
MS DOS Command Promptを開き、netstat -anを発行して、Sametime用のDomino ServerがIPを限定してPort 1352でListenしていることを確認します。
これで、基本的な2台目のServerの設定が完了しました。
次回以降は、このServerの詳細な設定を行い、Sametime Serverを導入していきます。
1台のPCで複数のServerを動かそう ! -7-
<話題の履歴>
前回はServer文書の設定を行いました。
今回はServer設定文書(Server Configuration Document)の設定を行っていきます。
Domino Administratorで「Configuration」タブの「Configurations」 Viewを開き、「Edit Configuration」 ActionでServer Configuration Documentを編集します。
以下で、順番に基本的な設定を行っていきます。
1.Basicタブの設定
まず、Basicタブの設定を行います。
このServer Configuration Documentが全てのServerのDefault設定となるように、最初の項目にチェックをつけます。
また、Calandar Detailの収集を有効化します。この設定により、6.x以降でサポートされているCalendarのEntryの概略情報が収集されます。
更に、License Trackingを有効化し、ServerにAccess可能な最低限のClient Levelは6.0以上とすることにします。
2.Domino Web Accessの設定
必ずしもこの時点で設定する必要はありませんが、今回は事前に設定しておくことにします。
以下の設定以外はDefaultのまま利用することにします。
2.1.Mail Encriptionの設定
Domino Web Access(DWA)では暗号化Mailの送受信をサポートしており、その為の設定です。
今回はDemo/Test環境の為、UserによるIDの削除、Exportを許可します。
また、暗号化MailへのAccessにSSLが必要となっているのがDefaultですが、今回はSSLの設定を行いませんので、この設定を「No」に変更しておきます。
2.2.別名サポートの設定
まだ、別名の設定は行っていませんが、DWAでの別名サポートを設定します。
英語版ですので、Defaultは英語のみになっていますが、ここに日本語を追加します。
また、Userが別名表示か基本名表示かを選択できるように設定しておきます。
2.3.Browser Cache Managementの設定
DWAではSecurityのためにBrowserのCacheをDWA終了時に削除してしまうことができるようになっています。
ここでは、Cache Managementの自動導入と、Browserを閉じた場合の履歴の削除を有効にします。
3.Activity Loggingの設定
Domino 6以降でサポートされたActivity Loggingの設定を行います。
必要が無ければ設定しなくても問題はありません。
「Activity Logging」タブを開きます。
3.1.Activity Loggingの有効化
Activity Loggingを有効化し、収集する情報は全てを選択します。
DWA 7では、DWA Requestの収集も可能になっています。
3.2.Activity Trendの設定
Domino 6以降でサポートされたActivity Trendも有効化します。
収集は平日のみがDefaultですが、今回は1週間全ての日を収集するように設定しておきます。
4.Change Controlの有効化
この機能もDomino 6以降でサポートされた機能で、ServerのLoad Balanceを行うためのTivoliの機能です。
Tivoliが有効化されていない環境では意味はありませんが、今回はとりあえず有効化しておきます。
「Change Control」タブを開いて、Chenge Control Serverの指定を行います。
5.Diagnosticsの設定
Domino 7ではServer/Client Crashなどの障害情報を集めたDBの内容をClean Upすることができるようになっています。
「Diagnostics」タブを開いて、その設定を行います。
障害情報を収集するDBは「Lotus Notes/Domino Fault Reports」を指定し、一定期間以上たったDataは消すように設定します。
また、重複した障害情報は添付ファイル(NSDなどの詳細情報)を削除するように指定します。
以上でServer Configuration Documentの設定は完了です。
文書を保存して終了します。
保存が完了したらServer Consoleから以下を入力して、Domino ServerをRestartします。
Restert Server
ServerのRestartが行われますが、Service機動かApplication起動かを尋ねるPromptが表示されますので、Application起動を選択します。
Demo/Test環境ですから、Service起動する必要はありませんので、今後このPromptが出ないように設定しておくと便利です。
Serverの起動が完了したらMS DOS Command Promptから以下を入力します。
netstat -an
以下のように、HTTP PortであるPort 80がIP限定でListenするようになったことがわかります。
これで、最初のDomino Enterprise Serverの基本的な導入は完了です。
次回以降は、2台目のServerとしてSametime Serverの導入を行っていきます。