採卵が1個ずつになってきたら 

胚盤胞を狙うリスクが出産数を減らしていることを説明した論文

→

つまり採卵数が減ってきたら

初期胚での妊娠をねらう意味を説明しています

 

こんにちはKinoshitaです。

 

今回はみなさんにとって

衝撃的な内容かもしれませんね!!

 

生殖の専門家でも

この内容を患者さんご夫婦に

説明して正しく理解してもらうのが

非常に難しい

内容です。

 

ぜひ今回しっかりと

整理できるといいと思います。

 

今回のブログはぜひ前回のブログを読んでから

読んで頂きたいです。。

 

そうすると

理解がさらに深まると思います。

 

40歳以上でとか

AMH0でとか

みなさんにとっての体の環境があると思います。

 

そういった体の環境を理解せずに

例えば

20代−30代前半や

AMH3以上

の人と同じ治療をただ繰り返し治療されている方

から多くのご相談を頂いてきました。

 

私は生殖の専門家として

・それぞれの年齢によって

・それぞれの不妊原因によって

・それぞれの卵巣環境によって

・今までの治療結果によって

 

治療をご夫婦ごとに

適正化できると考えて

治療プランを組み立て実施していきたいと

考えています。

 

その中で当院では

自費の体外受精において

(PGT-Aを希望しない場合)

卵胞が1-2個

受精卵が1-2個

の場合は

前核期凍結から初期胚移植ができる準備を

進めていきます。

→移植数回分ためることができれば

→ご夫婦の希望で胚盤胞も狙います。

→自費では採卵1回1回の負担が大きくなります

→当たり前のように胚盤胞ができなかったので採卵を繰り返す

→という状況を作らないような戦略も必要になります

 

移植を進めていく時点は

年齢、ご夫婦の体、卵巣環境、卵巣機能

に合わせて

採卵でしばらく蓄えていくのか

移植で受精卵の結果を確認していくのか

ご夫婦と一緒に決めていきます。

 

よくよく

「胚盤胞にならない受精卵戻して意味あるんですか?」

「胚盤胞ならないものは全て染色体異常だと言われていた」

・・・

ご質問を受けます。

 

本当にその気持ちもわかるので

今回はこういった最新の論文も交えて

説明していこうと思いました。

 

ではでは早速

私が伝えたいことを数字で示している

論文を見ていきましょう。

 

単一受精卵での初期胚・胚盤胞移植比較論文

この論文は簡単にいうと

 

受精卵が1個しかない患者さんでは、

胚盤胞まで培養する途中で

移植できる胚がなくなるリスクまで含めると、

初期胚移植を予定する方が

“患者1人あたりの出生率”が高かった!!

 

ということをまとめた論文です。

 

対象)

オーストラリア・ニュージーランドで

2009〜2022年に体外受精を行った、

初回ART周期・未産婦・

正常受精卵が1個だけ得られた11,163人。

 

IVF/ICSIの両方が含まれます。

PGT症例などは除外

 

初期胚移植:6,505人

胚盤胞移植:2,216人

培養途中で移植可能胚がなくなった:2,442人

 

重要なのは、

単純に「移植できた人だけ」を比べた研究ではない!

というところがポイントです!!

 

→みなさんが普段自分で調べて出てくる妊娠率などは、

 ほとんどが移植あたりの妊娠率というものです!

→移植できなかった人がそのデータからは

 排除されているということです。

 

実はこの論文でもその部分を書いてくれています

 

移植1回あたりの成績だけを見ると胚盤胞の方が良い

実測値では、

  • 初期胚移植後出生率:13.5%
  • 胚盤胞移植後出生率:18.4%

 

→ほらーーーやっぱ胚盤胞の方がいいやん!

って思いますよね!

 

しかし、ここには大きな落とし穴があります。

胚盤胞まで育たなかった胚は、

そもそも「胚盤胞移植」の分母に入らない

からです

→これが先ほどいった 

 自分たちにとって辛かった胚盤胞にならなかった周期が

 そのデータから排除されてますよということです。

年齢別 初期胚と胚盤胞移植の出生率比較グラフ

ではこの図も見ておきましょう

 

横軸が

女性年齢

 

縦軸が

初期胚移植を予定した場合 ÷ 胚盤胞移植を予定した場合の出生率

です

 

点線の

RR=1

なら両者は同じ効果

 

1より上なら、

初期胚移植を予定した方が出生率が高い

という意味です。

 

年齢が上がるほど

1との差が大きくなっている

のがわかるでしょうか!

 

こういった複雑な解析をしていかないと

胚盤胞にならないリスクを踏まえた治療成績を

出すことができないんです。

 

なのでどうしても

患者さんが目にするわかりやすいデータは

移植あたりの妊娠率になってしまう・・・

というわけです。

 

では

なぜ年齢が高いほど差が広がるのか

 

今回のこの論文のモデルにおいて

受精卵から初期胚まで到達する割合は、

約92%

でした。

 

一方、胚盤胞まで到達すると予測された割合は、

35歳:58.9%

40歳:49.9%

でした。

 

つまり40歳では、

正常受精した1個の受精卵を胚盤胞まで培養すると、

およそ半分しか胚盤胞として残らない

というモデルです。

 

だから、

1個しかない受精卵

↓

Day 3なら移植できた可能性が高い

↓

Day 5まで待つ

↓

胚盤胞にならない

↓

移植0回

という患者さんが多く生まれます。

 

今回の議論で最も大切な部分は

「胚盤胞移植が優れているというデータを、

 受精卵が1個しかない患者さんに

 そのまま当てはめてよいのか?」

 

というポイントです。

 

受精卵が少ない患者さんでは、

すべてを胚盤胞まで培養すること自体が

最適とは言い切れないこと

 

著者ら自身も、

受精卵が1個しかない患者では、

Day 5まで培養する間に

“移植できる胚そのものを失うリスク”が大きく、

その損失を胚盤胞1個あたりの出生率だけでは

補えないことにあるとしています。

 

という部分が少しでも

イメージできれば

みなさんがこれから実施していく

治療選択肢の幅がより広がるのではないかと

思います。

 

難しい部分なので

なるべく簡単に簡単に書いたつもりですが

わからないことがあればぜひ

外来でご相談ください。

 

実際の私の外来では

こういった選択肢も理解してもらいながら

さらにご夫婦ごとの状況に合わせて

個別に対応していきます。

 

最後にKinoshitaから)

最初に書いたように

私は

・それぞれの年齢によって

・それぞれの不妊原因によって

・それぞれの卵巣環境によって

・今までの卵巣刺激結果によって

・今までの培養結果によって

治療方針は違うべきだと思っています。

 

今回はあくまで

保険が終了したけど妊娠できなかった

年齢的に保険が使えない

という方々に対しての

自費治療での話をしました。

 

保険がまだ使える方に対しては

さらに違う戦略で治療提案をしています

 

2022年より始まった保険治療

保険には保険の

自費には自費の

魅力があると

ようやく言えるように

私の中での治療方針ができてきました。

 

全国の多くの方にご相談いただいていますが

ぜひ、

保険の選択肢もある方であれば

ぜひ

保険回数が残っている状況でご相談頂けると

当院ではより多くの選択肢がご提案できるかと思います

→保険部分のアドバイスはまた改めてまとめますね!

 

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