今できる全てを尽くされた 当院採卵10回・移植15回目での妊娠卒業
不妊治療の分野は
日進月歩だと思って
ここまでずっと
治療の選択肢を増やし
それを適したご夫婦に
提供できるようにと
やってきました。
そんなクリニックとともに
ずっと戦ってくれていた
ご夫婦が
当院で5年間
前医を含めると6年以上の治療から
妊娠継続となり
無事卒業されました。
今の保険診療ではできない
治療の進め方もここには
ありますが
治療を長く頑張っておられる
ご夫婦には
参考になる部分も多くあると
思います。
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(当院での経過)
前医で採卵を4回経験して
未熟卵、変性が多く
胚盤胞に全くならなかった為
当院を紹介された
33歳 AMH2.44で当院初診
自費時代であったので
繰り返し採卵を実施しています
採卵1
hMGのみで刺激
排卵抑制なし
採卵数20
排卵誘発 点鼻薬のみ(アゴニスト)
成熟卵15
受精卵数8
前核期2個凍結
胚盤胞数0
ポイント!
#事前に未熟ばかりと聞いていたが
当院の刺激方法、採卵時期なら
成熟卵までもっていけることがわかった
#受精した直後から分割が遅く3日目で
既に1日遅れの状況であった
その遅れのまま
胚盤保にならないパターン
#分割はいいも受精卵は
ほぼフラグメンテーションとなり
途中で分裂が止まるパターン
→排卵誘発を変えて開始
採卵2
hMGのみで刺激
排卵抑制なし
採卵数13
排卵誘発 点鼻薬+hCG注射
成熟卵7
受精卵数7
前核期2個凍結
胚盤胞数0
#培養した全ての受精卵が
3日目の時点でかなりの
フラグメンテーションがあり
分裂が停止となる
胚盤胞になりにくいので
前核期をもっと増やしたいと希望
まずは
移植できる選択肢を増やしたいと
→採卵後の
成熟度や受精時間などを見ながら
卵巣刺激方法とともに
排卵誘発時間などを変えて
いきます
採卵3
クロミッド+hMG-アンタゴニスト
採卵数17
排卵誘発 点鼻薬+hCG注射
成熟卵10
受精卵数5
前核期5個全て凍結希望
採卵4
クロミッド+hMG-アンタゴニスト
採卵数15
排卵誘発 点鼻薬+hCG注射
成熟卵9
受精卵数6
前核期6個全て凍結希望
移植1
ホルモン補充周期
前核期3個融解し
2日目初期胚 1個移植
残りの2個は胚盤胞ならず
妊娠判定 陰性(hCG0)
→凍結後に培養した受精卵が一番
フラグメンテーションも少なく
分割としては良好であった
→この時から既に
透明帯との癒着があったのかも
凍結処理で細胞を縮めた時に
軽度の癒着が剥がれてくれたのかも
しれません
(透明帯除去法が開発される前の時代)
35歳となられていたので
2個移植希望される
移植2
ホルモン補充周期
前核期2個融解し
2日目初期胚 2個移植
妊娠判定 陰性(hCG0)
今回の受精卵は
フラグメンテーションは少ないが
移植時の分割が既に少なかった
内膜炎検査
病理検査(CD138):陰性
全体として今まで
受精卵の発育が
採卵時の培養よりも
凍結後の培養の方が所見改善されていたので
前核期を融解して移植へ
移植3
ホルモン補充周期
前核期2個融解し
2日目初期胚 2個移植
妊娠判定 陽性(hCG272)
なんと
前医4回採卵
当院2回の採卵後の培養でも
全く胚盤胞にならなかった方が
凍結融解後の初期胚移植で
人生初めての妊娠判定陽性と
なった。
もう本当にこの時は
受精卵を1個ずつしっかり見直して
方針決めて良かったですねと
話していました。
が、、、、、
1週間後胎嚢見えず
化学流産とリました
移植4
ホルモン補充周期
前核期2個融解し
2日目初期胚 2個移植
妊娠判定 陰性(hCG0)
採卵5
クロミッド+hMG-アンタゴニスト
排卵誘発 点鼻薬+hCG注射
採卵数11
成熟卵9
受精卵数1
顕微授精に対して
受精しない
変性となるものが
急に増えた
→こういう状況ありますよね
急に受精状況が変わる
周期が出てくる
2022年4月
ここから保険診療が開始となる
採卵6(保険)
低刺激
採卵数1
→
移植5 新鮮胚移植
2日目 初期胚1個移植
妊娠判定 陰性
採卵7(保険)
低刺激
採卵数10
成熟卵8
受精卵数2
3日目 初期胚凍結
移植6
ホルモン補充周期
3日目初期胚移植
妊娠判定 陰性(hCG0)
移植7
ホルモン補充周期
3日目初期胚移植
妊娠判定 陰性(hCG0)
採卵8(保険)
低刺激
採卵数1
成熟卵0
採卵9(保険)
ゴナール-PPOS
採卵数10
成熟卵10
受精卵数6
全て初期胚凍結希望強い
移植8
ホルモン補充周期
2日目初期胚移植
妊娠判定 陰性(hCG0)
移植9
ホルモン補充周期
2日目初期胚移植
妊娠判定 陰性(hCG0)
移植10
ホルモン補充周期
2日目初期胚移植
妊娠判定 陰性(hCG0)
ここで
保険診療終了となった
この時期に
日本で
フラグメンテーションに対して
透明帯除去の妊娠報告あり
→ご夫婦に検討してみませんかと提案
→希望あり
培養状況をかえ
再度胚盤胞ねらう採卵へ
かなり早い段階で
当院では透明帯除去を
始めています。
知らない方はこちらを参考にどうぞ
採卵10
クロミッド+ゴナール+hMG-PPOS
採卵数13
成熟卵8
受精卵数4
透明帯除去術実施
胚盤胞1個凍結!!
体外培養で
人生で初めての胚盤胞が
透明帯除去で確保
移植11
ホルモン補充周期
二段階胚移植
妊娠判定 陽性(hCG152)
妊娠7週 心拍確認できず
稽留流産となる
採卵11
クロミッド+ゴナール+hMG
採卵数15
成熟卵11
受精卵数7
透明帯除去術実施
胚盤胞5個凍結
今までがまるで嘘みたいに
このご夫婦では
胚盤胞まで発育する
様になりました。
→透明帯除去は
全ての受精卵にすべき技術では決してありません
受精卵には負担となる手技なので
しかし、
症例を絞って対応すると
本当に劇的に発育が変わることが
あります。
→私は難治症例の場合
第一分割から
何か異常な所見が見つからないか
培養士の子と一緒に徹底して
見ていきます。
そんな中で見つかってくる
所見がいくつかあります。
これが、私が思う受精卵1個1個に
対応することだと思っています。
移植12
ホルモン補充周期
胚盤胞2個移植
妊娠判定 陽性(hCG272)
妊娠7週 心拍確認できず
稽留流産となる
流産となったが
連続して妊娠判定までは
これる様になった。
流産原因検索のため
流産絨毛染色体検査
→染色体異常なし
不育検査:異常所見なし
Th1/2 10.3未満 処方適応なし
移植13
ホルモン補充周期
胚盤胞2個移植
妊娠判定 陰性
移植14
ホルモン補充周期
胚盤胞2個移植
→この胚盤胞1個も
前核期融解、透明帯除去後に
胚盤胞となったもの
妊娠判定 陰性
採卵12
クロミッド+hMG
採卵数17
成熟卵17
受精卵数10
透明帯除去術実施
胚盤胞1個凍結
移植15
修正自然周期
胚盤胞1個移植
妊娠判定 陽性(hCG1167)
妊娠10週まで無事発育し
卒業となりました。
Kinoshitaより)
ずっと辛い不妊治療を
ご夫婦で戦ってくれました。
私ができることは
ご夫婦の受精卵と向き合って
少しでも改善できることがあれば
それを見つけ出していくことの
積み重ねだと思い
ただ治療が繰り返されることがないよう
培養部にも注文を出しまくって
ご夫婦専用の治療を作って
対応してきました。
今回の場合は
始まった時にはなかった
透明帯除去法が
大きく治療の流れを
変えてくれました。
本当にこの治療との
出会いが当院でも
数多くの赤ちゃんへと
繋がってきています。
→学会でも継続して報告しています
当院は
受精卵の癒着率まで計測し
癒着率が高く
胚盤胞になりにくい方には
治療提案させて
頂いています。
変性卵が多い
成熟卵ができない
なかなか受精しない
胚盤胞にならない
いい胚盤胞ならない
着床しない
妊娠判定が出ない
流産を繰り返してしまう
難治の方々が
このどれかで困っているのだと
思います。
新たな選択肢を
作り出す
また
最短で導入するクリニックで
治療を長く続けていく
それは
今はない
新たな治療との出会いが
ご夫婦の方向性をガラリと
変えていく可能性があります
私は
こういった全国で
治療に限界を感じた
ご夫婦が前を向ける
クリニックにしていきたいと
思ってこれからも
ご夫婦と一緒に
勉強を続けていきます。
本当に本当に
お疲れ様でした。
ぜひ無事出産が終わりますように
心から祈っています。