胚盤胞ならない・透明帯除去にて妊娠卒業 PCOS + フラグメンテーション多い32歳  AMH: 3.75(エクルーシス)

月経不順(2ヶ月こない)

超音波にて多嚢胞形態

月経時採血:LH上昇(エクルーシス9.9)

 

上記よりPCOSと診断

 

タイミング

人工授精

妊娠に至らず

 

体外受精とステップアップとなる

 

採卵1

ゴナールのみで刺激

排卵抑制なし

排卵誘発:アゴニスト単剤

採卵数19(成熟数15)

受精12

胚盤胞ならず

 

刺激方法変更

 

採卵2

クロミフェン+ゴナール-アンタゴニスト

排卵誘発:アゴニスト単剤

採卵数18(成熟数17)

受精11

胚盤胞ならず

 

タイムラプスにて解析

受精卵の1回目の分割からフラグメンテーション多い

そのせいで

3日目の時点で主要な細胞数が既に少ない

→分裂とともに発育が遅れていく

 

フラグメンテーションについて

 

方針)

排卵誘発にhCG併用するため

刺激方法自体を変更

 

採卵3

レコベルーPPOS

排卵誘発:dualトリガー(アゴニスト+hCG)

採卵数9(成熟数9)

受精8

胚盤胞ならず

 

タイムラプスにて解析

受精卵となった時から

透明帯との癒着疑う所見あり

 

方針)

刺激、ホルモン値、卵胞径、成熟率

卵子の成熟に対しての対策は変更して実施してきた

それぞれの成績は良い

しかし、胚盤胞という結果でず

 

明らかにPCOS以外の

何かが発育を阻害していそうです

 

タイムラプスの分割を見ると共通して

・癒着所見

・フラグメンテーション

・分割の遅れ

が所見として出てきている

 

刺激だけではなく

受精卵自体へのサポートが必要かもしれない

→透明帯除去提案

参照ブログ)

 

今回は受精卵を直接サポートするので

数取にいきますと説明

 

採卵4

レコベルーPPOS

排卵誘発:アゴニスト単剤

採卵数24(成熟数20)

受精15

透明帯除去実施

胚盤胞確保(4AA/4AB/4BA/3AA/)

 

明らかに3日目の分割状況がきれい

(フラグメンテーションないか軽度程度)

成熟率、受精率、排卵誘発変わらないが

分割状況が第一分割から明らかに違う

 

移植

ホルモン補充周期

胚盤胞1個移植(透明帯除去術後)

妊娠判定:陽性(hCG1094)

 

妊娠10週まで発育問題なく卒業となる

 

Kinoshitaより)

治療が難しいと言われる方々は

これが原因でしたと1つが見つかるのではなく

 

妊娠しにくくなる要因が複数重なり合い

治療を難しくなるケースが多いです。

 

そのためには

やはり一度一度の結果を医師と一緒に

見つけていく作業が私は必要だと感じます。

 

こう言ったケースも

ただ胚盤胞になりませんでした

というだけでは次には進まないわけです

 

ただ単に方法を変えるのではなく

例えば

排卵誘発を変更するために、刺激方法、目標採卵個数が変わる

成熟率を変えるために、注射内容、刺激日数、卵胞径が変わる

3日目以降の胚発育を変えるために、受精方法、精子選別方法を変える

目的を持った変更が必要だと感じます

 

悩んだ時はぜひ

主治医の先生との話し合いを大切にしてくださいね。

 

注意点)

※透明帯がない場合の移植は、

受精卵の取り扱いが(ローディング)とても繊細になります。

ぜひ透明帯除去の経験数が多く、

データをしっかりまとめて検討している

胚操作に慣れた施設での実施をお勧めします

 

実際にここ数年の学会で

透明帯除去の報告している施設は

まだまだ特定の施設にすぎません

ーーーーーーーーー

本来、

透明帯はヒトにおいて大変重要な

あるべき糖タンパクであることをご理解ください