前回からの続きとなります。

前回ブログから読んでいただければとおねがい

 

相談者Q.

精索静脈瘤・精子DNA損傷(Sperm DNA fragmentation)について

 

 

Kinoshitaより)

不妊症の原因の40%に男性側の要因があり、

実際に精子濃度や運動率が低い症例においては、

IVFの成績が低下することは知られています。

 

しかし、

一方で顕微授精(ICSI)においては

精液所見と治療成績と相関がないとする報告もあります。
Wang C.Fertil Steril.2014

 

そんな中で出てきたのが

精子数や運動率以外に受精卵の発生に関わる因子として、

精子のDNA損傷が注目される様になりました。

 

精子DNA損傷と体外受精の成績には

関連があるという報告があります。
Agawal A.World J Mens Health.2020

 

この精子DNA損傷に関わるとされる原因に

今回の精索静脈瘤があるわけです。

 

顕微授精では

精子DNA損傷の影響が少ないという報告より、

精子DNA損傷が多い症例では、

早期に顕微授精を検討していくという考え方もあります。
Agawal A.World J Mens Health.2020

 

現在では、

精子DNA損傷が低い精子を厳選する方法も出てきており、
スパームセパレーター

PICSI

IMSIなど

 

精子DNA損傷が少ない精子を選別して

顕微授精に用いる選択肢があります。

 

しかし、

精子自体が非常に少ない状況では

選択できる精子がないので、

TESEや精索静脈瘤手術などの

男性手術が選択肢に入ってきます。

 

先ほど

精液所見の程度で

当院では男性手術を優先していただくケースもあります。

と書いたのは

こういった精子選別ができない場合についてです。

 

精子DNA損傷は妊娠率に影響がない

という報告もあるので、
(Huang CC.Fertil Steril.2005)


相談者様のようにすでに体外受精を希望されている、

実施されているご夫婦に対しては

当院では精索静脈瘤があるから全て手術、

精子DNA損傷が高いからすぐ手術

という様にはしていません。


治療が中断となる数ヶ月

大変不安に思われる女性も多くおられるからです。


また、

女性側の因子(卵子側)がある場合、

男性因子の改善だけでは卵子の改善には至らないからです。

 

上記対策の上で、

採卵結果、卵子の状況、顕微授精の結果において、

明らかに男性因子を疑う場合に対しては

女性側の治療を中断してでも、

男性手術をご提案することがあります。

 

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