不妊治療に関わる雑誌より

当院にご質問がありました。

お答えした内容をこちらでも

共有していきます。

 

相談者

31歳

AMHは41歳くらいと言われたと・・

 

《他院での検査・治療歴》

採卵①

2024.3.18 1回目の採卵

ショート法

2024.3.8-3.11 ゴナールエフ 375UI

2024.312-3.16 HMG F 450IU

2024.3.16 hCG 1000IU 21時30分指定

卵子個数10 MⅡ3個、MⅠ1個 GV4個

顕微授精→1個受精 

胚盤胞までいかず

(4分割までで止まる)

移植なし

 

採卵②

ショート法

2024.5.29 HMG F 450IU

2024.5.30-6.4ゴナールエフ450IU

2024.6.5-6.6 HMG F 450IU

hCG 1000IU 午後9時

卵子12個MⅡ4個GV7個 変性卵1

顕微授精4個受精 

胚盤胞までいかず

(1個は8分割、3個は4分割で止まる)

移植なし

*****

31歳で2回採卵で

移植までいかなかったことから、

夫と話し合い精索静脈瘤の手術を検討中。

 

婦人科の先生のコメントでは

「精索静脈瘤の手術で効果は薄く、効果があったとしても6か月後」

 

泌尿器科の先生のコメントは

「7割良くなり、手術後3か月頃から不妊治療再開できる」でした。

精索静脈瘤の手術で効果が出るのでしょうか?

他にできる治療はありますか?

 

Q1  

検査・治療歴を見てどの様な印象を持たれますか?

先生ならどの様な治療を提案されますか?

 

Kinoshitaより)

採卵内容を見せて頂きましたが、

1回目の成熟率30%、2回目の成熟率23%、

GV卵もかなり多い状況です。

 

成熟率がかなり低い採卵となっています。

特にGV卵子は成熟卵になる二段階前の未熟度の高い卵子です。

 

#成熟障害
卵子が受精できる状況になっていない
精子を正しく受け入れる状況になっていない
精子が入ってから卵子が活性化される状況でない
という状況のことです

 

未熟が多いけど、成熟卵はありました。

その成熟卵に受精を施してるから大丈夫です。
というわけではなく!

 

成熟しづらい環境にある場合、

核は成熟していても、

細胞質は成熟していない場合、

 

成熟卵と判断されても

まだ紡錘体が確認できていきない場合、

 

極体の所見が強く

成熟卵判定が非常に難しい場合、

など

 

成熟障害がある場合あらゆる状況を想定して、

刺激法選択、採卵決定、培養環境設定を

進めていく必要があります。

 

卵子の成熟度(核成熟、細胞質成熟)は

受精率・良好胚盤胞を確保する上で

当院が最も大切にするところです。

 

今回の採卵結果であれば、

当院では

最初に

卵子側の因子を徹底して対策する状況です。

 

#成熟障害に対して
・刺激方法変更
・排卵誘起の種類・時間変更
・刺激日数の延長
・刺激日数を伸ばすための注射量調整
・採卵決定時の卵胞計調整
・採卵から受精までの前培養時間調整
・紡錘体チェックによる顕微授精時間調整
・タイムラプスによる第二極体確認
・第二極体が放出されるまでの時間確認
・前核が形成される前の時間確認

それらをもとに最終は

培養液変更もしていきます。

 

精索静脈瘤が疑われる場合、

精液検査に加えて
・精子のDNA損傷を調べる検査(DFI)
・DNA損傷が少ない精子を選別する方法検討

→その対策として

スパームセパレーター

PICSI

IMSI

などを検討していきます

 

現在の採卵内容の場合、

精索静脈瘤のオペだけで

全ての問題が解決されるわけではないのかな

という印象です。

 

当院では、

まずは採卵の内容をしっかりと吟味して、

卵子の状況、受精状況、胚の培養状況の詳細を検討した上で

男性へ手術を提案していく流れとなります。

 

もちろん、

精索静脈瘤の程度、

精液所見の程度で

男性手術を優先していただくケースもあります。

 

ここで少し最新情報を示しておきます。
当院でもどれだけ成熟対策を徹底して行っても、

培養環境をどれだけ変更しても、

変性卵・GV卵子が特に多い方がおられます。


また、

そういった方の受精卵では

3日目までの分割ですでに遅れが出ている

ことが多くあります。


現在では

卵母細胞・受精卵・胚が成熟を停止をする
Oocyte zygote embryo maturation arrest(OZEMA)

というグループ概念として原因となる遺伝子が

いくつか報告されています。


当院では治療で何度も明らかに

変性卵・G V卵子・受精障害

・3日目までの胚発生が明らかに悪い方

に対しては報告のある原因遺伝子の研究検査のご提案も始めています。

参考ブログ)

 

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