青木がいい! | 林修オフィシャルブログ「いつやるか?今でしょ日記」Powered by Ameba

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こんにちは。東進ハイスクールの現代文講師、林 修です。日々に思い、少し考えたことをぼちぼち発信していきます。

 レッズが首位を独走するナ・リーグ中地区では、カブス・アストロズの2球団は早々に覇権圏内を外れ、2~4位の3チームがワイルド・カードを目指して激しい争いを繰り広げています。ワイルド・カードは今年から2枚に増えたのですが、その1枚は東地区2位のブレーブスで決まりという感がありますので、残りの1枚を中地区の3チームと西のドジャースが争うという状況になっているのです。




 中地区の今年の経緯を簡単に振り返ってみると、19年負け越しの続いているパイレーツが主砲マッカッチェンのMVP級の大活躍もあって、レッズと首位争いを繰り広げてきました。しかし、徐々に調子を落とし、特に今月に入って3勝11敗(今日のカブス戦まで)と大失速、貯金はわずか2まで減ってしまったのです。8日からのカブス戦でスイープされたのは特に痛かったですね。死に馬に蹴られるとはこのことかもしれません。続くレッズ戦ではいずれも接戦を競り負けて、2カード連続で被スイープ。昨日のカブス戦まで落として7連敗、ようやく今日の夜中に行われたカブス戦で連敗が止まった(それも絶対的な抑えであるハンラハン投手が2点を失い、何とか1点差で逃げ切るという、非常に苦しい価値でした)という非常に苦しい状況になっています。ヤンキースから移籍したバーネット投手が、人が変わってしまったような好投を続けている一方で、前半エース級の活躍だったマクドナルド投手が炎上の連続でチームの足を引っ張ったのが痛いですね。今はまだ3位にいますが、今後の浮上は考えにくい状況です。




 代わって上がってきたのが、ブリュワーズ。青木選手が所属していることもあって、このブログでも何度か取り上げてきました。信じられないようなブルペン投手陣の炎上、特にクローザーのアクスフォード投手の不調もあって、一時は負け越し12と完全に圏外に去ったと思われていました。エース格のグレインキー投手をエンゼルスに放出したときには、今季は終戦、そんな雰囲気だったのです。ところが、先の20連戦を15勝5敗という驚異的な成機で乗り切って、借金を完全返済してワイルド・カード争いに参戦してきたのです。




 その中で青木選手は実にいい働きをしています。1番に定着して、リードオフマンとしてチームを牽引しているといってもいいでしょう。青木選手が塁に出て、主砲ブラウン選手が返すというパターンが何度も見られるようになってきました。




 昨季のブリュワーズは3番ブラウン、4番フィルダーという生え抜きの長距離砲の威力で中地区を制しました。フィルダー選手が契約最終年だったので、勝負を賭けた1年だったといってよいと思います。だからこそ、サイヤング投手グレインキーをロイヤルズから獲得したのです。




 そして今季、フィルダー選手がタイガースに移り、ブラウン選手が薬物使用で開幕から50試合の出場停止という状況であわてて青木選手を補強したというのが実情だったと思います。ところが、ブラウン選手の出場停止が取り消されます。こんなことは前代未聞なのですが、とにかくブラウン選手は開幕から無事出場できることになったのです。チームにとっては喜ばしいことだったでしょうが、青木選手の立場は微妙なものになりました。




 レフトのブラウン選手は不動、ライトのハート選手も固定。空いているのはセンターのみで、しかもそこにはゴメス選手(右打)、モーガン選手(左打)のツープラトン起用。つまり青木選手のポジションはどこにもない、第4どころか第5の外野手というところからのスタートだったのです。




 しかし、彼は少ないチャンスを確実につかんでいきました。ナ・リーグは投手が打席に入るので代打起用が多くなることもあって、ア・リーグよりは出場機会があったのもプラスに作用しました。さらに、一番キャラがカブるモーガン選手が絶不調という「幸運」に恵まれたのも確かです。厳しい状況でしたが、彼はしっかり打てる選手であることを結果として示すことができたのです。そんな状況で、レネキー監督は一つの決断を下します。




 守備にやや不安のあった(去年のポストシーズンでも彼の拙守で落としたと言いたくなるような試合がありました)、ライトのハート選手をファーストにコンバートしたのです。レフトのブラウン選手は不動ですが、センター、ライトの2ポジションが空いたのですから、青木選手の出場機会はグンと増えました。というよりも、レフト=ブラウン、ライト=青木で、センターを先の二人がプラトン起用されるという状況になったのです。




 昨日までの青木選手の成績は、




 133試合出場 448打数128安打 30二塁打 4三塁打 8本塁打 67得点 41打点 49四死球 打率.286 出塁率.353 ops.777




 打率.286はまずまずと言えますが四死球が多いので、出塁率3割5分越えは合格点と言えるでしょう。(ちなみに、今日のレイズ戦で久々に1番に起用されたイチロー選手は打率.269はともかく、四死球22で出塁率.295は一番打者としては完全に失格です。) しかも、こういう数字だけでなく内容が実にいいんですよ。最近のMLBハイライトは、彼の打撃を見るために録画して見ているようなものです。(必ず放送してくれるダルビッシュ投手登板試合と違って、ナ・リーグの試合はあまり放送されませんから。)




 さて、彼のバッティングのどこがよいのでしょうか? 昨年ツインズに入団した西岡選手の失敗によって、日本人野手の評価は地に堕ちました。非力でメジャーでは使い物にならない、そういう評価が定着してしまったのです。実際、今年マリナーズに入団した川崎選手も、打率2割に満たない悲惨な成績になっています。そもそも西岡選手の失敗さえなかったら、青木選手だってもっと高く評価されたと思うんですよ。逆に言えば、西岡選手が下げてしまった日本人野手の評価を青木選手が再び上げているのです。今オフ、メジャーに移籍すると言われている西武の中島選手は、青木選手にお歳暮くらい送っておいた方がいいでしょうね。(笑) ちなみに、井川・松坂両投手が失墜させた(あっ、川上投手もいたか)日本人投手の評価を、ダルビッシュ投手が復権させました。大谷・藤波両投手の高評価はその延長線上にあるといってよいでしょう。




 では、青木選手と西岡、川崎選手のバッティングはどこが違うのでしょうか? 




 西岡、川崎両選手はオープン戦では好調だったのですが、シーズンに入ると全く打てなくなりました。その理由を僕は以下のように考えています。彼ら二人はいわゆる「合わせる」バッティングです。ボールにさからわず、きれいに流すといった打ち方です。こういう打撃が日本では好まれるんですよねえ。ちょっと振り回すと、解説者がすぐに「あんなに振り回してはいけませんよ」と言います。しかし、しっかりブッ叩かないと球威あるメジャーの投手のボールはちゃんと飛んで行かないのです。西岡、川崎選手のような打撃では球威に負けて、ショートゴロや、ショートフライ、こねればセカンドゴロといった結果になるのです。




 しかし、青木選手は違います。このブログでも以前に書きましたがしっかりボールを叩きに行きます。だから、ホームランも8本打てているのです。なかでも先日のカージナルス戦における、クローザーのモット投手の159キロのストレート(159キロですよ!)を完全に捉えた同点ホームランは、彼のキャリアで最高のホームランなのではないでしょうかね。全体的には真中からインサイドのボールの「叩き方」がいいですね。




 そんな彼の打撃を、ずっと誰かに似ているなあと思っていたのですが、先日ようやくわかりました。レッドソックスのペドロイア選手です。




 ペドロイア 173センチ 75キロ


 青木    175センチ  83キロ




 身長165センチのアストロズの1番アルチューブ選手ほどではないにしても、大男ぞろいのメジャーにあっては、二人とも小柄な方です。しかし、二人ともしっかりとボールを叩くのです。だからペドロイア選手の打球がしばしば、グリーンモンスターを越えていくのです。




 ただ、二人の打撃を見ていると、アウトコースのボールをしっかり踏み込んで叩けるペドロイア選手に対して、青木選手はまだ「合わせる」バッティングをしているような気がします。あのあたりを思い切り踏み込めるようになったときに、3割の壁を超えていけるのではないだろうかと、勝手に考えています。




 まだカージナルスとは3.5ゲーム差ありますが、今の勢いならブリュワーズがポストシーズンに出てきてもおかしくありません。残り20ゲームを切った今、ブリュワーズの、そして青木選手の打撃を注視していこうと思います。




 今日も勝っているようですね。青木選手は2打数1安打1打点。四球を2つ選んで計3度の出塁。いいですね。四球をしっかり取れる、これは一番打者として、極めて重要なことです。


 カージナルスとの直接対決はもうないので、チームとしてはただ勝ち続けるしかありません。22日からのナショナルズ戦が一番ポイントになりそうです。




 カージナルスの本拠地セントルイスやフィリーズのフィラデルフィアのファンの熱狂ぶりは有名ですが、ブリュワーズのミルウオーキーもなかなかのものです。オヤジ達が顔を真っ赤にして応援している姿を見ると、本当に野球が好きなんだなあとしみじみ思います。そんなスタンドの光景を見るのも、また楽しいものがあります。NHK様、是非放送をお願いできませんかね?