この夏兄弟で郷里の福井は鯖江へ帰郷しました。目的は、墓参りと旧知と言っても私は小さい時に関西へ出てきましたので10歳年上の姉の知人とお会いすること、そして越前海岸で温泉に入り海の幸を食べ1泊することでした。思いもかけないハプニングもいろいろありましたが、その一つに武生駅でレンタカーを借りた折に、近くで昼食をとりに食堂に入りました。味と量いずれも食べ応えのある越前そばを堪能しましたが、その食堂で80語余りの福井弁とそれぞれの標準語を対比させた一覧表が壁に貼ってありました。販売もしているとのことで、姉からはけげんな顔をされながらも私はそれを買いました。ちなみに200円。私の福井での生活は小学2年まででしたので、その時思い出せる言葉は数少ないものでしたが、なぜが郷愁と言うか親しみを感じ、帰宅後自宅の居室の壁に貼っています。
私は、その後自宅で時々眺めているのですが、小さい時の生活やその後帰郷した時、また関西へ出てきた後の親兄弟との会話を通じて、最初は10語ぐらいだった言葉も徐々に蘇ってきて今では30語近くとなっています。時々眺めて思い出すのは、その言葉を話していた時の状況や親兄弟の口癖などからです。また、突然その意味が降ってきたように思いだされるのは、紙に書かれている言葉からはその発音は読み取れませんがイントネーションが蘇ってきて、忽然とありありとその意味が理解できるようになった言葉もありました。書いてある言葉をそのまま何度読んでも意味がわからないのに、ふと読み方の抑揚が思いだされると、目の前がぱっと開けたような感じで伝わってきました。例えば、「しなろ」、「きねの」、「ながたん」、「けなるい」、「かたいけの」、などなど。
現在大改修中の大阪駅の北陸線ホーム(北の端のホーム)へ行きますと乗客から聞こえてくる話声は、もう福井へ帰った気分にさせてくれます。小学生の頃、言葉が通じずにからかわれた記憶も鮮明に残っていますが、還暦を随分前に過ぎた今でも言葉を通おして生まれ育った土地とつながっているんだな、と改めて思っています。これから新たに思いだす言葉は、もう少しは増えそうです!?